再会したらマルチだった件
再会。
久しく会っていなかった者同士が再び相まみえる事。
子供の頃には使う事のあまりない言葉だが、
大人なるとなんらかの形で使う事のある言葉。
ある程度の場合は
過去を懐かしんだり、
成長や出世を互いに喜ぶ事となるはず。
けれどもそれだけでは無い事もある。
長らく連絡をしていなかった人が、
突然にして連絡をしてくる中で悪いケースの筆頭がある。
１：宗教
２：借金
３：ネズミ講orマルチ商法
だ。
もちろん突然の訃報だとか離婚なんて話も無いわけじゃないが、
とりわけこの３つは面倒事になりやすい。
して、今回のお話はタイトルからわかると思う。
３だ。
ネズミ講とマルチ商法
まずはネズミ講とマルチ商法の違いから。
ネズミ講とは、
無限連鎖講という名前が正式名称で、
「１カ月に２人、入会させるだけで貴方は不労所得が入る。
あとはその２人が新しい会員を２人ずつ増やしていけば、
その入会費の一部が紹介料としてあなたの収入になる。」
という感じの説明とシステムで勧誘されるもの。
この会員倍々システムを会員数が増えていく事を前提で計算していくと、
３年程度で日本の人口全員が会員になってしまう。
詳しく書くと、
２の２７乗が１億３４２１万７７２８なので、
この時点で日本人口より上。
倍々が前提でなくとも、
ちょいと計算や思考すれば、
「成立するわけがない。」
「儲かるわけがない。」
と理解出来るものなのだが、
結構コレに騙される人は多い。
で、このネズミ講と同じようなやり方がマルチ商法。
こちらは、
「購入者が会員となり、
バックマージンを得るために商品をさらに他の人に販売する。
販売に成功した際にバックマージンが入る。
その商品を購入した人も会員にするのが基本。
という形で商品の購入者を増やしていく商法。」
ネズミ講とは厳密には異なり、
一応定められた法令を遵守している限りは違法にならない。
ネズミ講は違法。
ただ、マルチ商法で本当に成功しているという個人はまずいない。
そしてこのシステムを見る限り、
「ほとんど変わらないだろ。」
と判断しても問題ないだろう。
下手に法に触れていない分だけタチが悪い場合もある。
法令を守っているという前提があるだけに、
騙される側が違法だと思わない事と、
騙されいたと気づいた際にどうにも出来ないという点において、
購入者が不利益を被る可能性があるのがマルチ商法。
(もっともネズミ講でも損害は戻って来ないと思うが。)
このマルチ商法やネズミ講はだいたいにおいて、
「大きな夢を！」
「皆で喜びを！」
「新しいビジネスを！」
といった綺麗事で勧誘してくる。
この綺麗事で騙されてしまう人は多い。
これに騙されてしまうと、
久しく会ってない人に突然連絡をしてくるのが定番だ。
友人との再会
さて、
事の始まりは数年会っていない友人ひろちゃん(仮名)からの連絡。
ひろちゃんは２～３年前にマッサージ士になったと聞いていた。
「久しぶりすぎてちょっと怪しいかもしれないんだけど、
もっと稼ぎたいとかある？」
と来た。
これ、一般人で、
「いや、今の収入で１００％満足しているから。」
と言える人があまりいない質問だ。
そらもう店主、満足する収入があったら、
《Black Lotus》を１００枚買ってる。
なんだか怪しいなぁとこの時点でも思いながら、
一応「今の収入に満足はしていない。」という旨を伝えてみる。
そしたら、
「俺はマッサージが体力的に将来やばいなーって
色々副業探してて、初めてリスクもなくて、
商品＆システムのいいビジネスに出会ったから教えたいって思ったさ。
一緒にやる初期メンバーが重要だから
信頼できて仕事できるやつって考えた時にせらがすぐ思い浮かんでな。
まあ、勧誘は絶対したくないから興味あったら声かけて。」
ほう・・・。
リスクの無い商品とシステム・・・。
何を言っているのか。
そんなものがこの世にあるわけがなかろうに。
休み休み言っても馬鹿だぞ。
と思いながら、
適当に興味のありそうな返事をしてみた。
ひろちゃんからは、
「内容はネットワークビジネスなんだけど、
おれもひどい目みて元々アンチだから
ひょっとしたら怪しいと思うかもしれないけど、
他の所を知って説明をしっかり聞いた上で、
商品とシステム、リスクが一般のこづかい程度、
どれも文句無しだったから、
やらなくてもいいけど知って欲しいなって思う！」
ああ、なんだか怪しい空気が満々になってきた。
ネットワークビジネスという単語の時点でもう危険なニオイがぷんぷんだ。
さらに、
「実際稼いでる人と話すには、
セミナーやサロンに行かなきゃなんだよね。」
ああ、セミナーっていうさらに怪しげな単語が来た。
「せらと喜びを分かち合いたい。」
とも言われた。
・もっと稼ぎたくない？
・リスクが無いよ。
・いいビジネス。
・ネットワークビジネス。
・初期メンバーが重要。
・セミナーやサロン。
・喜びを分かち合いたい。
数え役満です。
完全にアウト。
でも会って話す事に。
会ってからのひろちゃんのお言葉。
「俺はこの商品素晴らしいと思ってるんだ。
だからお前にもすすめるんだよ！」
「お前にしかこの話はまだしてないんだ。」
「俺は信用出来る人からすすめられて、これはアリだと思ったし、
信用出来る人がすすめてくれたからこそ、お前にもすすめるんだよ！」
「年収３０００万の人もいるんだ！」
「セミナーに行って納得してこの商品を買ったんだ！」
「全部マニュアル？」って言いたくなるくらいの言葉しか出てこない。
しかももうちょっと話を聞いたら
「最初はみんな引くんだよ。」
という言葉が出てきた。
「お前にしかこの話はまだしてないんだ。」
って言ってたよな、ひろちゃん。
お前にしかこの話をしていないのに、
最初はみんな引くってどういう事だ。
いきなり嘘がバレたぞ。
おいおいひろちゃん、色々とまずいぞ。
お金と友人と時間を全てドブに捨てるつもりか。
その後、店主は、
そのネットワークビジネスがどれほど非効率的で、
どれほどのものを失うかを３時間かけて説得するも失敗に終わる。
ひろちゃんは時々泣き落としにかかろうとするあたりまで、
全てがテンプレートのようだった。
なお泣き落としにかかろうとすると書いていると、
店主よりも年下に思うかもしれないが、
ひろちゃんは店主よりも年上だ。
年上でこんなものに騙されるのかと思うとちょっと悲しくなる。
さて次の項目ではその商品の話を。
怪しげな商品
で、その商品とやらも詳しく聞いてみた。
核酸が摂取出来るサプリ
だそうだ。
会員者は定期購入しなければならず、
月に約２万円かかる。
「核酸の一日の必要摂取量って、
イワシだとバケツ一杯必要なんだよ！
それをサプリだけで補えるってすごくない？」
何故、イワシ換算？
君はもしかして魔界戦記ディスガイアに出てくるペンギンもどき？
ふと気になったので、
ひろちゃんと話をした後に、
薬剤師や別のマッサージ士の方に話を聞いてみた。
「その核酸は別にどんな食べ物にもだいたい入ってるから、
無理して摂取する必要がない。」
「別の栄養素と混同してない？」
「遺伝的な疾患持ちか、重度の栄養失調でもなければ、
無理に核酸を摂取する必要性はない。」
「バランスの良い食事をしたほうが健康になります。」
「核酸は６大栄養素には含まれてないので、
特に一日の必須量は決められてないようです。」
という回答が。
加えて二人のどちらからも、
「何故イワシ換算？」
という言葉も。
やっぱりみんな思うのか、イワシ。
そして、
「鰯の頭も信心からくらいの効果ならあるかも。
イワシ換算だけに。」
という話まで飛び出す始末。
鰯の頭も信心から、つまりプラシーボ効果(偽薬効果)しかないなら、
それはもうほとんどインチキだ。
で、このサプリ、
前述の通りで定期購入で月に約２万円かかる。
「仮に月２万円を素直に日常の食材代にまわして、
国産の安全食材を摂取した方が健康になる？」
と聞いてみたら、二人とも「はい。」と回答をくれた。
さらに、
「あくまでサプリは健康補助食品の位置付けのため、
メインにしてはいけません。
バランスの良い食事が基本でなければいけないので、
サプリにそんなお金をかけてメインに据えてしまう事は、
スタンダードで土地無しデッキを組むようなものです。」
という回答が。
あ、書き忘れていたけれども、
薬剤師の方もマッサージ士の方もMTGプレイヤー。
スタンダードを土地無しで、という表現はなかなか面白い。
マッサージ士の人からは追加の一言も。
「その人、コロナの影響でマッサージ士の仕事減ったんじゃないですか？
なにせ人と接する職ですからね。
コロナの影響をモロに受けてマルチに走ったのでは？」
あ。
それだ。
この薬剤師の方やマッサージ士の方に色々情報をもらったので、
再度ひろちゃんの説得を試みる。
「核酸は６大栄養素に入っていないらしいよ、ひろちゃん。」
「７大栄養素だよー。
新しい学校の教科書にはすでに載ってるらしいから、
知らない人は多いかもねー
ハーバード大や、東大などエビデンスはある。」
またまた随分とマニュアルみたいな事を言い出したな。
６大栄養素じゃなくて７大と来た。
そして大学名にカタカナビジネス用語、
(ちなみにエビデンスの意味は証拠や根拠。)
突然不慣れなカタカナビジネス用語が出てくるうえに、
大学名が出てくるというのはダブル役満寸前だ。
典型的過ぎて言葉も出ない。
「次に出てくる言葉はコンプライアンスか？
BtoBか？プライオリティか？コミットか？」
と思ったが、
早速薬剤師の方に言ってみる。
「７大栄養素はその会社が提唱しているものです。
お察しください。」
ああ、７個目は公的じゃなくて自称という事か。
ダメだ。
なんというか薬剤師さんが言うと説得力があるなぁ。
しかし、そんな薬剤師さんの言葉があろうと、
説得には失敗した。
どうやってもやめるという選択は無いようだ。
リスクの無いビジネスなんて１００に１つも無いと理解出来ないようだ。
だいたいにおいてひろちゃんは馬鹿なのだ。
何が馬鹿かと言えば、
誘う相手を間違っている事だ。
月２万円もわけのわからないサプリに突っ込むくらいなら、
月２万円素直に紙を買う奴が乗ると思っているのか。
「サプリじゃマナが出ないんだよ！」
と言っても相手には通じないので言わないが、
こちとら健康より紙。
MTG馬鹿は健康捨ててでもカード買っちゃうんだよ。
人生の半分以上をMTGに突っ込んでるMTG馬鹿を説得出来ると思うでない。
神より紙を信じてんだよ。
苦しい時も紙頼みなんだよ。
家に神棚は無いけど紙棚はあるんだよ。
どっかの哲学者が「神は死んだ。」と言ってたが、
紙は死なないんだよ。
MTG馬鹿をなめるなよ。
並みの馬鹿じゃねえんだ。
そりゃあな、
「このサプリ飲んだら土地事故が起きなくなる。」
ってんなら考えないでもない。
ただ、そんな都合の良いもんも、
都合の良い稼ぎ方も世の中にあるわけがない。
結局な、店主のようなMTG馬鹿は健康無視して紙買うんだよ。
サプリで得られる健康より、
紙をタップして得られる快感のほうが健康的だと思ってんだよ。
そんな奴に営業かけても無駄なんだ。
最後に
結論：諦めた。
ひろちゃんには、
「人生をやり直したくなったら、
その時に声をかけてくれ。
相談には乗るよ。」
とだけ伝えて別れた。
いつか目を覚ます日が来る事を祈ろう。
そして、これを読んでいる人へ。
マルチ商法やらネズミ講は、
まず第一にストレートにお金が減る。
お金はそれほど大きな損害にはなりにくい。
一番のリスクはそこではなくて、
「マルチやネズミで他人を誘うと、
多くの友人を失いかねない。」
という事。
ゲームやカラオケに誘って友人を失う事は稀だが、
マルチやネズミに誘ったら結構な確率で友人を失う。
マルチ商法に手を出すくらいなら、
MTGのカードを買おう。
健康的な買い物ではないが、健全な買い物だ。
MTGのカードを買っているだけなら、
友人を失うことは早々ない。
つまり何が言いたいかというと、
もし貴方が今の収入に納得していないなら、
もっと稼ぎたいなら、
MTGのカードを買いましょう！
持っているだけで楽々資産運用が可能！
リスク無しの良いビジネス！
MTGのカードは人と人とのコミュニケーションをつくり、
貴方の人生にイノベーションを起こします！
MTGはアメリカの数学博士が作り出し、
ボケ防止にも役に立つというエビデンスもあります！
また、多くのMTGプレイヤーによるセミナーやサロンもあり、
今から始めたい人にも優しくスタートできます！
何よりも私はこのMTGという素晴らしいものを
皆様と分かち合いたいのです！
おや？本音を言っているのに、
何やら胡散臭い言葉になってしまったぞ。
これはブラッシュアップが必要だ。
もっとカスタマーサティスファクションを考えねば。
社員とMTG(Magic the Gathering)についてMTG(ミーティング)してくるか。
よりコンプライアンスを追求したソリューションを出さねば。
※覚えてもあまり使いそうにない用語解説
プライオリティ：優先順位
コミット：尽力する、責任を負う、約束する
イノベーション：技術革新
エビデンス：証拠、根拠
ブラッシュアップ：磨き上げる
カスタマーサティスファクション：顧客満足
コンプライアンス：法令遵守
ソリューション：回答、解決する
そういえば、
MTG界ではMTGはミーティングではなくMagic the Gathering。
文中で出たBtoBはビジネス用語での意味は企業間取引だが、
MTG界でBtoBと言えば《基本に帰れ/Back to Basics》だったな。
やっと２つ目のカード名が出てきたところで、
今回のお話はこれにて終了。
皆様、マルチに手を出す事無く良きMTGライフを。
※この記事は公益のため、
こういったものにおける注意喚起のために書きました。
特定の個人や会社を叩く目的では書いておりません。
ではまた。
【Magic:the Gathering専門店 Cardshop Serra】
https://cardshop-serra.com/mtg
【Duel Masters専門店 Cardshop Serra】
【Cardshop Serra (MTG) Twitter】
【Cardshop Serra (DM) Twitter】
【加藤英宝 Twitter】
【質問箱】
【加藤英宝 Instagram】
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