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Goldfishの声明


今回の記事は、
Goldfishという海外のとあるサイトが出した声明について。

本当はもっと早く出したかった記事なのだけれども、
あまりに忙しく、訳す手間に加えて、
詳しい説明まで考えていたらと随分と時間がかかってしまった。

Goldfishとは、

・戦略記事
・シングルカードのデータベース
・カード検索機能
・新セットのカードプレビュー
・シングルカードの価格表示(紙での価格、Magic Onlineでの価格に対応)
・多岐にわたるレギュレーションのデッキ紹介。
 スタンダード~ヴィンテージ、EDHなど
 (デッキ単位で構築に必要な価格が表示される。)
・Youtube等での動画配信

など、MTGに関する情報を手広く扱っている海外の大手サイト。

「日本のWisdom Guildに動画+デッキ紹介が合わさったようなサイト」
と言えばわかりやすいだろうか。

つまり、
結構な情報力と発信力があると考えて差し支えないところだと思われる。

そんな大きなサイトが今回WotC社に対して声明を出した事が話題になった。

「If You Are Not Happy with the State of Magic,
 Stop Giving Wizards Your Money」
https://www.mtggoldfish.com/articles/if-you-are-not-happy-with-the-state-of-magic-stop-giving-wizards-your-money

今回の記事は前提として、
1:加藤英宝個人の意見ではなく、
 Goldfishさんの意見です。
2:英語力のある者が訳しているわけではないので、
 訳した文章が間違っていても文句を言わないで下さい。
3:この文章は《創造の座、オムナス》禁止前の記事です。
 時期による矛盾等へは対応出来ません。
4:文章が大きく間違っていて修正すべきと思った人は、
 直接連絡をしてくだされば、修正をするつもりです。
5:あくまでGoldfishさんの意見を世間に広めるためであり、
 自身の営利行為のための文章ではありません。
6:もしGoldfishさんのご迷惑になるような事があった場合、
 この記事は削除する可能性があります。

を了承したのちに読んで下さい。

「If You Are Not Happy with the State of Magic, Stop Giving Wizards Your Money」

以下声明の訳
---------------

先週、Magicコミュニティで2つの新しい騒動があった。

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1:2020年9月28日、《創造の座、オムナス》がスタンダードを席巻している状況で、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のみ禁止というぬるい判定を下したこと。

ウーロの禁止自体は妥当だが、他にも禁止すべきカードがあるはず。

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2:この禁止改定の数時間後、レガシー以下で使用できる、
完全新規のSecret Lair【The Walking Dead】を発表したこと。

特に2について、期間限定でしか入手できないコラボカードを、
実際のゲームで使用できる形で作ってしまった事が問題視されている。
使用できないように銀枠にする(Ponies: The Gallopingのような)とか、ゴジラシリーズカードのように既存のカードの名前違いの形で作成するなど、完全オリジナルでない形で収録することはできなかったのか?

もしもThe Walking Dead収録のカードで、
レガシー以下で必須レベルのカードが出てきてしまった場合、
Secret Lairは再生産されないため、シングルカードとして購入するしかない。
そうなったら、そのカードは非常に高額になる恐れがある。

WizardsがThe Walking Deadの販売で利益を得て味を占めてしまった場合、
第二、第三のSecret Lairコラボが発生するかもしれない。

Wizardsは企業のため、お金を儲けることが優先される。
しかし、その利益の獲得方法を問題視する声も大きい。

例えば、
・MTG Arenaのヒストリック専用カードは、
それを作成するために必要なワイルドカードが通常カードの2倍必要であること
・ダブルマスターズのVIP版が1つ12000円もすること
など。

Wizardsは常にこういった抗議を受けているが、
それが実際に運営に影響しているかどうかは不透明。
反対意見を受けて修正したものもあるらしい。

そして結局、今のWizardsが抱えている様々な問題点を無視して、
ユーザーはカードを購入し、Wizardsにお金が入り続けている。

今のWizardsと親会社のHasbroは顧客の意見を聞き入れない。
なぜなら、そんなことをしなくてもユーザーはカードを買ってくれるから。

ユーザーがどんなに文句を言っても、
Wizardsに怒りのメールを送りつけても、電話をしても変わらない。
結局ユーザーはMTGのカードを買うしかないのだから。

会社はお金で動いている。
つまり、会社はお金のことしか考えていない。
今のWizardsに反省させるには、Wizardsにお金を渡すべきではない。
大企業の唯一の言葉はドルとセントだ。
もし彼らにあなたの声を聞いてほしいのであれば彼らの言葉で話す必要がある。

マジックプレイヤーやゲーム愛好家にとって、
Wizards of the Coastがビジネスであるという事は簡単に忘れてしまえる。
親会社のHasbroはWizards以上に大きなビジネスであり、彼らはお金を作るために存在している。

Wizardsを作ってきたのはマジック愛好家とプレイヤーであるため、
(プレイヤーや愛好家は)Wizardsを友人と簡単に思ってしまう。
ただ、それは違う。
会社とは(Wizardsも例外ではなく)心なき貪欲なモンスターだ。

ありがたいことに、過去25年間、Wizardsのお金を稼ぐという目標は、
マジックを楽しいゲームにするというコミュニティの目標とほぼ一致していた。

途中途中でミスはあったものの
(※おそらく禁止カードや、失敗した商品、
 例えば「Global Series: Jiang Yanggu and Mu Yanling」
 などを指していると思われる。)、
Wizardsが精力的にフォーマットを制定し、
定められたルールの中で健全な場を提供し続ける限り、
ユーザーはカードを買うことができ、
みんなが楽しく、幸せになることができた。

Wizardsはお金を稼ぐという目標を達成するための最良の方法は、
「最高のゲームを提供することである」
という事を知っていた。

何百万人もの人々がそれをプレイしたいと思うほど楽しくて良いゲームを作るなら、お金は自然にWizards社に流れていく。
数週間または数ヶ月だけでなく、何年も何十年も。

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しかしそれは、
ごく最近になって、何かが変わってしまった様な気がする。
HasbroがMTG Arenaを作り出すために巨額の投資を行い、
その投資資金を回収するためにあらゆる手段を講じているように見える。
実際のMTGのバランスやゲーム内に存在するカードなどを一切顧みず、
「いかにユーザーからお金を搾り取るか?」
という事しか考えていない。

なぜWizardsやHasbroはユーザーやゲームバランスの事をあまり気にかけず、
短期的な利益を上げることだけを気にしているように思えるのだろうか?

第一にMTGカードの品質はここ数年で確実に劣化している。
特にFOILカードについては明確に酷くなっているうえ、
今のWizardsはこの問題を修正するつもりがないらしい。

高品質のカードを作ること自体はおそらく可能。
長い間、FOILカードについて問題が起きることはなかった。

高品質なカードを印刷するにはコストがかかるが、これを改善する必要はない。
なぜなら、そんなことをしなくてもユーザーはカードを買ってくれるから。
ユーザーがWizardsにお金を与え続ける限り、この状況は改善されない。
それどころか、今後はさらに紙質が劣化する可能性があるかもしれない。

もし、Hasbroが、マジックを愛する低賃金のインターンと一緒に、
「タコベルの後ろのゴミ箱から引き出された使用済みナプキンにマジックカードを印刷する」
方が有益だと思ったなら、間違いなくそうなると思う。

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また、カードの強さにも問題がある。
特にここ1~2年の間で作成されたカードが酷く、
多くのフォーマットで深刻な問題が発生している。
モダンホライゾンを台無しにした《甦る死滅都市、ホガーク》、
多数の構築フォーマットで禁止された《王冠泥棒、オーコ》など。
カジュアルに遊ぶ分には問題ないかもしれないが、
競技プレイヤーにとっては禁止カードが乱発されるとつまらないフォーマットになってしまう。

今はSecret Lairが連発され、数週間ごとに新製品をリリースできるような状態になっている。
競技プレイヤーがゲームをプレイしなくなっても、Wizardsにお金は流れ続ける。
例えMTGのフォーマットが破壊されても、
短期的に見た場合のWizardsの収益に影響はない。
してもしなくても変わらないのであれば、
なぜわざわざWizardsはフォーマットの禁止カードを定義しなければならないのか?
する必要はない。
定義などしなくてもお金は入ってくるのだから。

短期的に見た場合のWizardsの収益は変わらない。
しかしこれが長く続いた場合、ユーザーがMTGから離れてしまう。

「MTGが楽しくプレイされ続ける」という大前提がある限り、新セットやSecret Lairは売れ続ける。
ユーザー離れが起きた場合、その大前提が崩れ、カードが売れなくなるという事をWizardsはわかっていないように思う。

この記事は「Wizardsの商品を買うな」というボイコットの意味で書かれたものではない。
これは各コミュニティへの注意喚起だ。
ユーザーのネットワーク上での発言や記事は、WizardsやHasbroに対して何の影響ももたらさない。

彼らが見ているのは目先の利益だけだ。
顧客満足度が下がり続けることに対し、彼らは関心がない。

あなたの我慢が限界を超えるようなルール変更、新商品、その他の決定があるなら、
それをすぐにWizardsとHasbroに直接、メッセージの形で送るべきだ。
あなたが感じているすべての不満を言うべき。
ツイートやビデオによる愚痴などはWizardsとHasbroにとっては単なるノイズであり、
彼らの泳ぐ、我々のお金でできた大きなプールの水しぶきで失われてしまうだろう。

---------------

ここまで。


私達の愛するMagic the Gatheringのために・・・

個人的感想としては結構納得。

カードショップ経営者の立場で追加で言わせてもらうと、
小売店は新商品の予約を発売日の数ヶ月前に行う。
もちろん事前情報など全く無しに。

これだけでもリスクを伴う事は間違いなく、
それでいてカードセットがハズレだったり、
禁止カードが出たりすると赤字になる事も多々。

そのうえカードの印刷の質が下がっている。
時々お客様から、
「初期の印刷の質の悪いものなどは、
 お店側で返品対応等してもらえないのか?」
と言われるけれども、基本的に出来ない。

WotC社に問い合わせると対応してくれる事もある。

が、
どちらにしてもお客様が最初に問い合わせる先は小売店である事が多いだろう。

これは当社に限った話でもないし、
お客様がその初期印刷の酷さに泣き寝入りしている事も多々あるはずだ。  

仮に近年のカードセットの売上が良くなっているとしても、
ユーザーは基本的には禁止カードが出る事を喜んだりはしないし、
印刷の雑さを喜べる人もいないと考えると、
顧客満足度は高いものではないはず。
小売店やお客様が泣き寝入りするようなサービスは正しくない。

また、店主が尊敬する投資家、
世界最強の投資家と呼ばれるウォーレン・バフェットさんの言葉で、

「信頼できるもの、そして10年、20年、50年経っても、
 皆が欲しいと思うものを作っていく事業なのか。
 これらが、私が投資判断するうえでの基準である。」


という言葉がある。

店主はMagic the Gatheringという存在は、
10年、20年、50年経っても、
皆を魅了するだけの価値があると信じている。

Goldfishさんは、
「過去25年間、Wizardsのお金を稼ぐという目標は、
マジックを楽しいゲームにするというコミュニティの目標とほぼ一致していた。」
と言っている。

その後の文も含めて要約すると、
「今のWotC社の姿勢では、
 10年、20年、50年経った時、
 皆が欲しいと思っているものを作っていく事業かどうかわからない。」
と言っている。

そして
「そんなものにお金を払ってはいけない。」
とも。

ウォーレン・バフェットさんの言葉も逆説的な言い方をすると、
「信頼できないもの、そして10年、20年、50年経った時に、
 皆に必要とされない事業にお金を出すな。」
と解釈可能。

店主自身はMTGというものの魅力に取り憑かれているが、
現在、自分がお金を出す気になるカードは新商品ではない事は間違いない。

ここ数年の間に発売されたカードで買う気になったものは、
「ヴィンテージやレガシーやEDHで活躍するから、
 ひとまず買わないといけない最低限だけは揃えよう。」
というものだけだ。

Goldfishさんの意見同様、
FOILの仕様はひどいものだし、
印刷の粗雑さも目にあまるものがある。

実際のところこれは市場もそうなっていて、
最近のFOILカードは以前ほど高額でもない。

Goldfishさんは、

「このままWotC社を調子に乗らせるな。
 正しくないサービスにお金を払ってはいけない。
 私達の愛するMTGは今のMTGではない。
 WotC社にそれをわからせるべきだ。
 私は不買運動をしようというのではない。
 愛するMTGがあってはならない方向へ行くのを止めたいだけだ。」

と言っているのだと思う。


感じられる強い意志

Goldfishさんは相当に文章が辛辣だ。
いくつか原文含めて紹介したい。

「If Hasbro thought it would be more profitable to print Magic cards on used napkins pulled from a dumpster behind Taco Bell with an underpaid, Magic-loving intern, I have no doubt that it would.」

この部分。
こちらで訳した際に、

「もし、Hasbroが、マジックを愛する低賃金のインターンと一緒に、
 『タコベルの後ろのゴミ箱から引き出された使用済みナプキンにマジックカードを印刷する』
 方が有益だと思ったなら、間違いなくそうなると思う」

と訳している。
タコベルって何?というところから説明しなければならないかもしれない。

タコベルというのはアメリカにあるタコスのチェーン店。
マクドナルドくらいにそこらじゅうにあるタコス店だと思えばOK。
実際にかなりの数のチェーン店数がある。

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この英文は、
「Hasbro社はMTGの奴隷と化している低賃金で働くWizardsの社員と一緒に、
「タコベルのゴミ箱から出てきた紙ナプキンにカードを印刷しても利益がとれる」
 と判断したのなら平然とやりかねない。」
と皮肉を書いているということ。

いくらなんでもタコスやハンバーガーショップの紙ナプキンにカードを印刷する事はないが、
今のHasbro社なら金のためならなんでもやりかねないぞ!
という事を伝えるために書いている文章。

こんな皮肉を書くという事は余程の事だというニュアンスが伝わる。
わざわざ「タコベルのゴミ箱」と書いてくるあたりがすごい。
アメリカンジョークという一面もあるのかもしれないが、
それでもこの言い回しは相当に強烈だ。

もう一文。

「The only language that big corporations speak is dollars and cents. If you want your voice to be heard, you need to speak their language. 」

こちらで訳した際に、

「大企業の唯一の言葉はドルとセントだ。
 もし彼らにあなたの声を聞いてほしいのであれば彼らの言葉で話す必要がある。」

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こちらも要約した言い方では、
「企業と話すに際し、普通の言葉では通じない。
 彼らは金でしかモノを語らない。
 我々の言葉は簡単には彼らに届かない。」
というニュアンス。
これも結構な皮肉が入っている。

日本語には日本語の、
英語には英語の、
それぞれに嫌味、皮肉、強い物言い、そういうものがある。

この声明にはそういった強い物言いを感じるだけの文章だった。
文章全体にGoldfishさんの相当なる不満を感じる。
「今のWizardsとHasbroは間違っているが、
 それでも奴らのところにお金は流れていく。
 それは正しい事ではない!」
とかなり強く言っている。


プレイヤーの意見を

Goldfishさんは現状のMTGに対して、
それだけの警鐘を鳴らしているという事だろう。

これはあくまで聞いた話なので、
100%の自信を持って言えるお話ではないのだが、
Wizards of the Coast社の日本支社は、
数年前までユーザーの不満を握り潰し、
本社への報告を怠っていたらしい。

ところがある時それが露見し、
それからはユーザーの不満は本社に届くようになったのだとか。

もしこの話が本当であるのなら、以前のWotC日本支社は問題アリだが、
現状はそれを改善し、
ユーザーの不満を受け付けてくれているという事になるので、不満を持っているユーザーはその不満をぶつけてみるのも1つだと思う。

Goldfishさんの言っている事は、
後半部分もかなり的を射た意見だと感じる。

特に
「ツイートや動画で文句をいくら言っても無駄だ。
 直接公式にメッセージをぶちこめ!」

というところ。

当たり前と言えば当たり前の話だけれども、
大きな会社ほど個人のツイートや動画を、
その会社の上役の人が見ない。

ユーザーの不満があろうとも、
ツイートや動画では会社まで届かない。

実際にユーザーはSNSで不満を漏らす事が大半で、
直接本社に不満を述べる人は限られている。

「定型文だろ?これ。」
と思うような文だけ返信して終わる会社もあれば、
そうでない会社もある。

そこから先は会社次第。

少なくとも店主はこのGoldfishさんの意見を支持する。
一人の意見は小さくとも、
多くの人が同意見のものを持ち込めば会社はそれを捨て置け無い。
我々プレイヤーは本当にMTGを大切に思うのなら、
本社にそれぞれの意見を述べる事が大切なのだと思う。

ではまた。


【Magic:the Gathering専門店 Cardshop Serra】

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