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北海道家庭学校を見学した感想と私見

●北海道家庭学校を見学してきました

私の聞いた話を記載していきますが、実際との違いがあるかと思いますので、その際は家庭学校が公表している情報を参照していただければと思います。

この施設は児童自立支援施設というカテゴリーで、少年院とは異なる施設です。
少年院は犯罪等を起こした少年を、塀などで隔絶された環境で教育する施設で、いっぽう児童自立支援施設は塀などはなく「犯罪などの不良行為をしたりするおそれがある児童や、家庭環境等から生活指導を要する児童を入所または通所させ、必要な指導を行って自立を支援する施設」ということです。(wikipediaより抜粋)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%90%E7%AB%A5%E8%87%AA%E7%AB%8B%E6%94%AF%E6%8F%B4%E6%96%BD%E8%A8%AD

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博物館と礼拝堂を見学しました。

私が聞いた話
●私立の児童自立支援施設は日本ではここだけ。
●明治32年運営開始していて100年続いている。
●面積は400ha!(すごい!)
●かつては夫婦の元で児童ともに暮らす、という形態をとっていた(夫婦と児童との間には血のつながりはない)
→現在でもこういった形式はあるらしく、応募するためには、国が定めた試験を受ける必要がある。
●林業、畜産業、農業を行っている
●チーズ、バターも現在では生産している。
●今でも風呂は薪で炊いている
●遠軽で博物館がなかったため、家庭学校が初めて博物館を作って、歴史や文化を伝える施設を建てた


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ここに来る児童の多くは家庭環境に問題を抱えていることが多く、この環境から一度離れて、預けるという場所です。
最近ですと、親が自発的に、自分の子供を離島などで1年ほど育てさせるホームステイみたいなものがあるかと思います。
きっかけは違うにせよ、似たようなものかと。
(僕自身は、都会に住んでいる児童は一度ホームステイしたほうがよいかなと思っています。都会では学べない&学校教育では学べないものが沢山存在するので、積極的に利用したらどうかなとも)

この北海道家庭学校で思ったことは

・適切な距離感
・人間の本能をよびさます

この二点だと思いました。

・適切な距離感
家族であっても他人ですので、距離感はとても重要です。
近すぎず遠すぎず。しかもその時々によって適切な距離は変わってきます。
都会のような環境では、どうしても家庭環境が物理的に狭くなりがちで、適切な距離が取れないケースがあるかと思います。
この家庭学校では、圧倒的な物理的な広さがありますし、学校としても適切な距離をとることができる運営をしているものと思いました。

・人間の本能をよびさます

博物館で説明を受けていた時

夕飯の支度の時、まな板のうえで包丁がトントントンと聞こえる音がなんとも心地よい、という児童の感想があった

という話が印象に残りました。
たしかに僕も子供のころのあの音は印象に残ってますし、今でも好きです。
少なくとも、ハンドミキサーとかのウィーンとかいう電子音よりかは、はるかにマシですね。
もちろん、料理の効率という観点ではハンドミキサーのほうがよいでしょうが、もっと広い意味での効率性という意味では、果たして効率が良いか?と。
これって、人間の本能っていうものにつながるんじゃないでしょうか。
科学文明なんてたかが200年程度の歴史しかなく、人間の歴史は4000000年とかいわれているわけで、この4000000年の間に培った歴史は遺伝子にしっかりと組み込まれているはずです。
で、どっちの歴史を信頼できるかということ。
僕は遺伝子の歴史のほうが信用できます。

この遺伝子に組み込まれた歴史を想起させる場所が、この北海道という土地であり、また家庭学校なのではないでしょうか。


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昭和に行われたオリンピックとの橋渡し

家庭学校敷地内にはオリンピックゆかりの木々があります。

・昭和の東京オリンピックの際、各国から木の種子を持ってきた
→この種子のうち、カナダ、ブルガリア、アイルランド、スウェーデン、フィンランドの種子を、家庭学校で育てた
→時がたち、令和の東京オリンピックの際、育てた木々のうち伐採に適した木を、東京の日本オリンピックミュージアムに納品
→日本オリンピックミュージアムで使用されている

ということです。まさに歴史を経験できるところ!

https://japan-olympicmuseum.jp/jp/

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話によると、昭和の東京オリンピックで持ち込まれた種子は全国で育てられたのですが、今現在も管理できている木は合計2か所ということです。この家庭学校と東京にある1か所。

この話を聞かなければ、この木々たちは僕の目にはたんなる木にしか映らなかったのですが、いい話を聞き、経験をさせてもらいました。


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礼拝堂にある「有難」の額。

ありがたい、ということを改めて認識するよい見学でした。

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●おわりに

この北海道家庭学校はあくまでも児童自立支援施設であり、観光地ではありません。
見学という機会を設けていただき関係者には「有難」と感謝しております。

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