サク田サク代さん(83才)(仮名)という女性がいた。 老人ホームの認知症専門棟に入居中のこの方。昔は一杯飲み屋のママさんでもやっていたのか、妙に人懐こくおしゃべり上手でコミュ力高し。 認知能力はやや低下しており、忘れっぽかったり帰宅願望があったりするものの、体はこれと言って悪いところも無く、細身ながらシャッキリした感じのおばあさんであった。 ある時ショートステイで利用中のゴンダとめごろうさん(82才)(もちろん仮名)が、夕方頃になってステーションにやってきた。 ゴンダ
「私、痴呆症(認知症)だーい好き」 これは、私が初めて就職した介護施設の若い同僚の言葉。 介護経験も無ければ資格も知識もない私の反応は 「何言ってんのこのヒト…アタマダイジョブカ?」だった。 私が初めてこの業界に足を踏み入れたのは大学卒業後。ADをやめて東京でプラプラしていた私を田舎の母が呼び戻し、「やること無いならやってみな」と知り合いに話をつけてくれた。 体育会系だった私は、「体力にも腕力にも自信があるし、とりあえずやってみるかな」くらいの気持ちで飛びこんだ。 も