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#77【アベンジャーズ / エンドゲーム】ep.1「なぜエンドゲームがすごいのか」

※この記事はPodcast番組「映画にみみったけ」内のエピソード#77にあたる内容を再編集したものです。

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【アベンジャーズ / エンドゲームについて】

 2019年公開
 監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
 音楽:アラン・シルヴェストリ

作曲家作品

 バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 1,2,3
 プレデター 1,2
 ボディガード
 スーパーマリオ 魔界帝国の女神
 フォレスト・ガンプ/一期一会
 マウスハント
 スタートレック 叛乱
 スチュアート・リトル 1,2
 ハムナプトラ2/黄金のピラミッド
 リロ&スティッチ
 トゥームレイダー2
 ヴァン・ヘルシング
 ポーラー・エクスプレス
 ナイト ミュージアム 1,2
 特攻野郎Aチーム THE MOVIE
 キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー
 アベンジャーズ
 アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
 アベンジャーズ/エンドゲーム
 レディ・プレイヤー1
 ピノキオ

登場人物

 スティーブ・ロジャース / キャプテン・アメリカ:
 アベンジャーズのビッグ3の一人で、リーダー的存在。
 ヴィヴラニウム製のシールドを扱う。
 
 トニー・スターク / アイアンマン:
 ビッグ3の一人。大企業の社長で、発明家。
 自身の開発したパワードスーツを着用して戦う。
 
 ソー:
 ビッグ3の一人で、北欧神話の雷神。
 魔法の槌「ムジョルニア」を持つ。
 
 ブルース・バナー / ハルク:
 アベンジャーズのメンバーの科学者。
 感情が昂ぶると緑の大男に変身する。
 
 ナターシャ・ロマノフ / ブラック・ウィドウ:
 アベンジャーズのメンバーで、元S.H.I.E.L.D.エージェント。
 ハルクをなだめることができる数少ない存在。
 
 クリント・バートン / ホークアイ / ローニン:
 家族全員を失った悲しみから、ローニンとして悪人を殺して回る。
 
 ジェームズ・“ローディ”・ローズ / ウォーマシン / アイアン・パトリオット:
 トニーの親友兼相棒。
 新型スーツ「アイアン・パトリオット」を装着して戦う。
 
 スコット・ラング / アントマン:
 体を縮小・巨大化させることができる。
 
 キャロル・ダンヴァース / キャプテン・マーベル:
 スーパーパワーを持つ元アメリカ空軍パイロット。
 
 ロケット:
 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの生き残りのアライグマ。
 
 ネビュラ:
 サノスに育てられた、ガモーラの義理の妹。
 
 サノス:
 本作のメインヴィラン。
 宇宙の均衡を保つため、全生命体の半分を消し去った。

あらすじ

 前作「インフィニティ・ウォー」で野望を達成し、宇宙の全生命の半分を消し去ったサノス。
 アベンジャーズやその家族も例外ではなく、残されたメンバーたちは悲しみにくれていました。
 そんな中、サノスに育てられたネビュラさんは、かつてサノスが「目的を達成したらガーデンという惑星に行く」と語っていたことを思い出します。
 さらに調べてみると、サノスが生命を消し去ったときと同じ周波数がガーデンから観測されたこともわかります。
 そしてインフィニティ・ストーンをもう一度使えば消えた人々を取り戻せると考えたアベンジャーズのメンバーたちは、サノスの居る惑星ガーデンに乗り込みます。
 一人小屋で過ごすサノスを急襲し、制圧するアベンジャーズ。
 しかし目的を果たしたサノスはすでに、インフィニティ・ストーンを破壊してしまっていました。
 そして最後の望みを絶たれたソーさんは、怒りにまかせてその場でサノスの首を切り落としてしまいます。
 5年後。いくつもの悲しみを残しながらも、ヒーローたちはそれぞれに人生を送っていました。
 そんな折、量子世界にとらわれていたスコット・ラングさん(アントマン)が、突如元の世界に現れました。
 そして驚いたことに、彼は5年も姿を消していたにもかかわらず、自分では5時間ほどの出来事に感じていたのです。
 自分の体験をアベンジャーズに伝えるスコットさん。
 そして量子世界では時間の流れが異なっており、この仕組みを応用すればサノスが目的を果たす前の時間に戻れるのではないかとも説明します。
 突如湧き上がったタイムトラベルの可能性に、メンバーたちも初めは半信半疑でした。
 しかし少しずつ協力する者が増え始め、散り散りになっていたかつての仲間たちも集まり始めます。
 そしてついにタイムマシンが完成しました。
 ヒーローたちはインフィニティ・ストーンを手に入れるため、それぞれの時代へと旅立っていきます。
 しかし彼らの前にはひとつ、大きな障害が残されていました。
 現在の時間軸ではすでに死亡したサノスでしたが、過去の時点ではまだ生きており、彼らと同じようにストーンを探していたのです。

【はじめに】

 前回はインフィニティーウォーを見てきましたが、全銀河系の半分の生命がいなくなった世界で終わってしまいました。
 その後目標を達成したサノスを倒してから5年後の話ですね。
 ここからどのようにして失われた半分の生命を復活させて、サノスとどのように戦うのか、ドクターストレンジが言っていた1400万605通りの内唯一の勝ち筋である1通りとは一体なんなのか、みたいなことが今作では描かれるということで、公開当時は非常に話題になった作品がエンドゲームですね。
 映画も非常に好評でした。
 僕も公開当時観にいきましたが、観客の熱量も凄まじかったですね。
 いつもの通り、ネタバレの内容を含みますので、お聞きになる際はご注意ください。

【この作品はヒーロー映画を一つ上の階層に持ち上げた話】

 ということで、今回はこの作品がいつものヒーロー映画となにが違うかを話していきたいと思います。
 これまた長くなりそうなので、前後半に分けたいと思います。
 この作品は音楽的な目線でみると、王道のヒーロー映画とは少し違った作りになっています。
 しかしながら見終わった頃にはヒーロー達の長い人生を見たかのような達成感と一つの物語が終わってしまうような物悲しさがあるものの、やはりヒーロー映画だったんだなと思わせる作りになっています。
 まあ何を持ってして王道のヒーロー映画なのかという話にもなるのですが、今作は圧倒的にアクション音楽とメインテーマの演奏回数が少なく、圧倒的にバラードが多い作品になってました。
 これはアメコミというジャンルの中で異例と言ってもいいですね。
 当時はこんなにバラードが演奏されるヒーロー作品はおそらく見たことがないですね。
 その後はJOKERやスパイダーマンノーウェイホームなどでバラードの演奏回数が多い作品は出てきましたが、おそらくはこれが初のじゃないですかね。
 バラードの割合だけで言ったらプラネットアースと同じくらいの割合じゃないですかね。
 わからないですけれども、それくらいバラードが多いです。
 おおよそ全体の半分くらいはバラードです。
 どこまでが演奏かなどの細かい話をおいておいたとして、約125回近い演奏がされている作品ですが、そのうち約50回近い回数バラードが演奏されていました。
 これは相当めずらしいです。
 バラードが多いだけでヒーロー映画らしくないかと言われるとそうではないんですよね。
 しっかりとヒーロー映画を観切ったような充足感もあるからこの作品の評価も高かったんですね。
 それは他の音楽の構成も関わっています。
 映画は全体を通して前半から中盤過ぎとラストに多くバラードが配置されています。
 それに対してアクションは細かく挟んでいるものの後半から終盤にかけてが多いです。
 これは連作だからこそ成し得たと言ってもいいですね。
 前作インフィニティーウォーでは最悪の結果で終幕を迎えています。
 今作エンドゲームではその最悪の結果のまま開幕を迎えます。
 これがまずバラードが多い理由の一つですね。

 そもそも最悪から始まっていて、さらにはその元凶であるサノスは隠居生活を送っているわけです。
 それを倒したところでみんなは帰ってこないわけですからね。
 暖簾に腕押しといいますか、根本の解決にはなってないわけです。
 これまたバラードが演奏されるわけです。
 そしてアベンジャーズというのは結束力が高くみんな仲良しヒーローチームというわけではありません。
 様々なわだかまりや行き違いなどがある、意外と仲違いしているチームです。
 それが描かれたのがエイジオブウルトロンですね。
 インフィニティーウォーの一つ前の作品です。
 こんな状況でいい大人が仲違いしていて世界が救えますかってことでまたバラードです。
 ここまでがとにかくバラードなんです。
 もちろん間にアクション音楽やサスペンス音楽が入ったりするのですが、バラードがかなり多く演奏されています。
 そこで今作大活躍のアントマンですね。
 非常に便利なキャラクターといいますか、彼はいい意味でコメディなんです。
 その彼がこの絶望的な状況下を一変させます。
 タイムトラベルですね。
 壊されてしまったインフィニティーストーンを過去に戻って取ってきちゃおうという話になります。
 ここからやっとバラードが終わりかと思ったら、過去に行った先で失った恋人やら父親やら母親やらに遭遇したり、仲間が命を落としたりでまたバラードが演奏されます。
 そして帰ってきてハルクが指パッチンして消えてしまった半分の生命を取り戻してバラードです。
 ここで映画の中盤過ぎから後半入るくらいですね。
 そして過去のネヴュラの一件でサノス軍が現代へタイムトラベルしてきてバトルです。
 ここからはアクション音楽が多く、アクションシーンへと発展していきますね。
 この時点で
 2:03:00
 あたりなので、残すところ45分くらいです。
 そしてなんやかんやみんなで戦ってエンディングです。
 2:30:41
 からやっと終わったという安堵のバラードです。
 2:03:00~2:30:41
 までの間とにかくバラードが演奏されています。
 これが今までになかったヒーロー映画の新たなる一歩ですよね。
 しっかり意味が通った上でバラードが演奏されているんです。
 そしてみながしっかりと過去を清算し、みなで今一度、本当の意味での団結を迎えるわけです。
 この作りが非常に見事であるがゆえにエンドゲームをお勧めしづらくさせています。
 というのも、エンドゲームは本当に素晴らしい映画なんです。
 めちゃくちゃおもしろいから他の人にもぜひ観てもらいたいんですよ。
 だけどこの作りはMCUの単体作含めて初めから観ている人に刺さる作りとも言えます。
 インフィニティーウォーでは王道なアクションヒーローモノだったのに対して、続けてエンドゲームの2作しか観ていない人にはこのエンドゲームは少し不完全燃焼のように感じてしまうかもしれません。
 ほとんどバラードなのでね。
 そんな辛気臭い感じがしてしまう作品に観えてしまうかもしれません。
 かと言って単体作も含めて20作以上ある全てを観たら楽しくなるよとも言いづらいですしね。
 ただ観る価値があるくらいには面白いのも事実です。
 ということで、この映画があまりにもバラードが多いのは、フェーズ1,2,3に登場した主要メンツの清算(終幕)が描かれている映画だからというわけです。
 こんなにはっきりとヒーローの終わりを描いたのもおそらくこの作品が初めてではないかと思います。
 例えばDCコミックですが、バットマンだったら最後姿をくらましたりだとか、彼はどこかで誰かを救っているかもしれない的なのがお約束でしたが、今作は完全にヒーローが役目を終えるというある意味で引退するための映画でもありました。
 これがサノスという強大なヴィランを相手に戦う話と、辻褄を合わせているのは奇跡的ですよね。
 アクションヒーロー映画の道筋として、普段の生活があって、そこに異質なモノ(ヴィラン)が現れる、一旦コテンパンにやられる、この状況はヴィランが悪いのか世の中が悪いのか考えたりする、吹っ切れて戦う、勝つ、普段の生活に戻る、みたいな流れが多いと思いますし、そんなエンターテイメント性が人気のひとつだと思います。
 エンドゲームはそのエンターテイメント性を無くさずに、今までの内容も回収しながら、エモい感じで終幕するといった作品でした。

今回のサノスについて

 すこし時間もあるので、今回のサノスの話を少しだけしたいと思います。
 というか前回のサノスで一つ収録後に気づいたんですが、インフィニティーウォーで最後にサノスが登場した時は演奏が違うという話をしました。
 2:04:59
 ですね。
 サノスが最後のストーンを取りに地球にくるシーンです。
 ここでの登場は今まで登場していた時に演奏されていたサノスのテーマ的なあのフレーズが演奏されません。
 といったのですが、一部あのフレーズが入っていましたね。
 楽曲自体は違うのですが、フレーズの途中に入っていました。
 ということはやはりサノスのテーマだったんですね。
 ちなみにここですね。
 (演奏 最後のサノスのテーマ)
 これのこの部分です。
 (演奏 サノスのテーマ的な部分)
 これがサノスのテーマとして話していたフレーズと一緒で、別のフレーズに忍ばせていたわけですね。
 これはやられました。
 さすがアランシルベストリ先生です。
 そしてエンドゲームでもサノスは大暴れしています。
 その際やはりサノスのテーマ、演奏されていましたね。
 演奏回数こそ多くはなかったものの、サノスがヴィランとしてのヒーローと対峙する時にはちゃんと演奏されていて、なんかにこにこしちゃいますね。

【エンディング】

 今回はアクションヒーローとしての作品性を1段階上の階層に持ち上げた作品として、バラードの多い意味をみてきました。
 ヒューマンドラマを観ているかのようで、アクションヒーローを観ているという今までにない新しい映画を楽しめたことはルッソ兄弟ことアンソニー・ルッソ監督とジョールッソ監督には改めて感謝ですね。
 そしてその期待に100点以上の答えを出すのが、我らがアラン・シルベストリ大先生ですね。
 こんな音楽家を目指すために日々精進したいと本当に思います。
 そして次回はエンドゲームの続きとサブスクリプションでは逆に「アベンジャーズ」これをやっていこうと思います。

 最後までお読みいただきありがとうございました。
 映画にみみったけ、放送時のパーソナリティはヨシダがお送りいたしました。
 podcastのエピソードは毎週日曜日に配信中ですので、そちらでもまたお会いいたしましょう。
 ではまた!

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