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#83【ジュラシック・ワールド】ep.1「過去作を感じさせるにはどうするか」

※この記事はPodcast番組「映画にみみったけ」内のエピソード#83にあたる内容を再編集したものです。

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【ジュラシック・ワールドについて】

 2015年公開
 監督:コリン・トレヴォロウ
 音楽:マイケル・ジアッチーノ

作曲家紹介

 #73にて紹介していますので興味のある方はそちらも聞いてみてください。

作曲家作品

 Mr.インクレディブル
 インクレディブル・ファミリー
 ミッション:インポッシブル3、ゴースト・プロトコル
 レミーのおいしいレストラン(第35回アニー賞音楽賞受賞)
 スター・トレック(2009年)、イントゥ・ダークネス、BEYOND
 カールじいさんの空飛ぶ家(第82回アカデミー賞作曲賞受賞、第52回グラミー賞最優秀インストゥルメンタル作曲賞受賞)
 カーズ2
 SUPER8/スーパーエイト
 猿の惑星: 新世紀、聖戦記
 ジュラシック・ワールド、炎の王国、新たなる支配者
 インサイド・ヘッド
 ズートピア
 ドクター・ストレンジ
 ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
 スパイダーマン:ホームカミング、ファー・フロム・ホーム、ノー・ウェイ・ホーム
 リメンバー・ミー
 THE BATMAN-ザ・バットマン-
 バズ・ライトイヤー
 ソー:ラブ&サンダー
 
 (ゲーム音楽)
 ロストワールド:ジュラシックパーク
 ジュラシック・パーク:カオス・アイランド
 メダル・オブ・オナー、アンダーグラウンド、アライド・アサルト、史上最大の作戦、ヴァンガード、エアボーン
 コール オブ デューティー、ユナイテッド オフェンシブ、ファイネストアワー
 マーセナリーズ

登場人物

 オーウェン・グレイディ:
 パークの監視員。クレアの元恋人。
 
 クレア・ディアリング:
 パークの管理責任者。
 
 グレイ・ミッチェル:
 クレアの甥。ザックの弟。
 
 ザック・ミッチェル:
 クレアの甥。グレイの兄。
 
 サイモン・マスラニ。
 ジュラシックワールドのオーナー。
 
 ヴィック・ホスキンス:
 インジェン社の警備部門長。恐竜を兵器として使うことを目論む。

あらすじ

 ジュラシック・パークの悲劇から22年後。
 島の所有権はサイモン・マスラニ社長の手にわたり、新たに「ジュラシック・ワールド」として人気のテーマパークとなっていました。
 クレア・ディアリングさんはそんな施設の運営責任者で、やってきた甥のザックくんとグレイくんの面倒を見る暇がないほど仕事に追われていました。
 二人をアシスタントに任せたクレアさんは、サイモンさんとともに遺伝子操作で新たに生み出された恐竜「インドミナス」の視察に向かいます。
 インドミナスはティラノサウルスのDNAをベースに作られたハイブリッドの恐竜で、ジュラシック・ワールドの新たな目玉となる予定でした。
 そして全く新しい恐竜の姿に気を良くしたサイモンさんは、インドミナスを囲う防壁の安全評価をラプトルの調教師オーウェン・グレイディさんに任せることに決めました。
 サイモンさんの指示を受け、インドミナスの飼育エリアを訪れたオーウェンさんとクレアさん。
 ですが餌を吊るしてもインドミナスは現れず、さらに防壁の内部には生々しい爪痕が残されていました。
 クレアさんはすぐに恐竜が脱走したと判断し、職員たちが確認のためエリア内に入ります。
 しかしそれはインドミナスの罠でした。
 立ち入った職員を食い殺したインドミナスはそのままゲートを破り、本当に脱走してしまったのです。
 すぐにパークには警戒態勢が敷かれ、来客たちは避難させられます。
 しかし二人だけで行動していたザックくんとグレイくんは逃げ遅れ、インドミナスに追われてしまいます。
 なんとか一命をとりとめた二人ですが、逃げ込んだ先は旧ジュラシック・パークのビジターセンターでした。
 子どもたちを救うため、危険なエリアへとおもむくオーウェンさんとクレアさん。
 いっぽう施設の管理棟では、インドミナス駆除のためラプトルを兵器として利用する計画が進められていました。
 様々な遺伝子を組み込まれた未知の恐竜によって、パークは再び恐怖におちいります。

【前回の振り返り】

 やはりこのポッドキャストではジュラシックパークから始まったのもあって、とても親近感のある作品ではあるのですが、今回はその続編と言いますか、リブート作品ですか?リバイバル作品ですか?
 この時期はこのような作品が多かったですよね。
 ターミネータージェネシスやポルターガイスト、マッドマックス怒りのデスロードもそうでしたね。
 そしてこのリブート作品は過去のヒット作に現代の解釈を加えた作品に仕上がっているため、音楽家も違ったりします。
 例えば今回、元々ジョン・ウィリアムズさんが担当されていたジュラシックパークを、マイケルジアッチーノさんがジュラシックワールドでは担当したりと前作のイメージを生かしたまま、現代のニュアンスを追加できる音楽家が重宝されていました。
 どうせなのでちょっと雑談まじりですが、リブート作品というかシリーズで違う音楽家が担当することは結構あるので、今回はシリーズの中で意外と違う音楽家が担当されている作品を一部ですが、みていこうと思います。

【シリーズの中で違う音楽家の採用】

シリーズで音楽家が違う作品1 ハリー・ポッターシリーズ

 以前にも話したのですが、やはり音楽家の担当が多く変わったのはハリーポッターシリーズです。
 1、2、3(賢者の石、秘密の部屋、アズカバンの囚人)ではジョンウィリアムズさんが担当されていたのですが、4(炎のゴブレット)ではパトリックドイルさんが担当されています。
 パトリックドイルさんは実写版のシンデレラやハムレット、チャールズ3世の戴冠式の戴冠式行進曲を作曲したりと、非常にアカデミックで格式高い楽曲に定評のある音楽家です。
 そう考えるとイギリスが舞台のハリーポッターシリーズでパトリックドイルさんの起用は頷けますよね。
 5、6(不死鳥の騎士団、謎のプリンス)ではニコラスフーパーさんが担当されています。
 不死鳥の騎士団の監督でもあるデヴィット・イェーツ監督との関係もあり、2作起用されています。
 ちなみに8作目の死の秘宝パート2でも1曲担当されています。
 そして7、8(死の秘宝パート1、死の秘宝パート2)ではこのポッドキャストでも取り上げた、アレクサンドル・デスプラさんです。
 これはもう言わずもがなですね。
 怪しげな雰囲気の楽曲を書かせたら右に出るものはいないと言っても過言ではない音楽家の一人です。
 やはりハリーポッターシリーズと言ったらヘドウィグのテーマが有名ですが、この楽曲がすでに怪しげな雰囲気を纏っていますよね。
 この怪しげな雰囲気の作り方は、シーズン1 SP9で解説していますので、興味のある方は初月無料の月額300円で聴き放題のサブスクリプションを試してみてください。
 ということでハリーポッターシリーズは8作品ありますが、パトリックドイルさん、ニコラスフーパーさん、アレクサンドル・デスプラさんが担当されていました。
 ハリーポッターシリーズでいうとファンタスティックビーストでも違いましたね。
 ファンタスティックビースト作品ではジェームズニュートンハワードさんが担当されていました。

シリーズで音楽家が違う作品2 マッドマックスシリーズ

 マッドマックスでも1979年公開ではブライアンメイさんが担当されていて、2015年公開のマッドマックス怒りのデスロードではジャンキーXLさんが担当されています。
 マッドマックス怒りのデスロードはこのポッドキャストでも取り上げたタイトルですけれども、ジャンキーXLさんはもともとはテクノミュージック、ダンスミュージックですね、ダンスミュージック畑の音楽家で、今作のチェイス主体の音楽に見事マッチしていました。

シリーズで音楽家が違う作品3 スター・トレックシリーズ

 そしてタイトルごとに本当に音楽家が違う作品の代表といえばスタートレックシリーズです。
 スタートレックは、ジーン・ロッデンベリーさん製作のSFテレビドラマです。
 元々はテレビドラマだったのですが、今回は映画にだけ焦点を当てても作品数は13作品にものぼります。
 これがどの作品も揃いも揃って超大御所音楽家が担当されています。
 1作目スタートレックは1979年公開作品ではジェリーゴールドスミスさん、このポッドキャストでも映画ハムナプトラで取り上げました。
 そして2作目スタートレック2 カーンの逆襲(1982年公開)と3作目スタートレック3 ミスタースポックを探せ(1984年公開)では、ジェームズ・ホーナーさんが担当されています。
 アバターやタイタニック、トロイなどの音楽を担当されていてこのポッドキャストでももちろん取り上げた音楽家です。
 4作目スタートレック4 故郷への長い道(1987年公開)ではレナードローゼンマンさんが担当されています。
 レナードローゼンマンさんはカリフォルニア大学で教鞭を取り映画音楽もやられている方で、エデンの東のテーマ曲や理由なき反抗、続猿の惑星などの有名作を手掛けている音楽家ですね。
 5作目スタートレック5 新たなる未知へでは1作目を手掛けたジェリーゴールド・スミスさんに立ち返ります。
 6作目スタートレック6 未知の世界では、クリフ・エイデルマンさんが担当されています。
 エイリアントリロジーやディア・フレンズなどの作品を手掛けていて、指揮者としても活躍する方です。
 7作目スタートレック ジェネレーションズでは、デニスマッカーシーさんが担当されています。
 1940年代から活躍する映画音楽家で、宇宙孤児ジョノや謎の宇宙生命体などのSF作品も担当されているのが、スタートレック作品を手がける理由もわかりますよね。
 8作目スタートレック ファーストコンタクトではまたもジェリーゴールド・スミスさんが担当されます。
 やはり1作目から手掛けているだけあって、作品数も多いですね。
 ついでに9作目スタートレック 反乱(叛乱)と10作目スタートレック S.T.Xでも担当されています。
 そして11作目スタートレック、これはリブート作品ですね。
 テレビシリーズの宇宙大作戦の主要キャラを新しいキャストで描いた作品ですね。
 この作品ではマイケル・ジアッチーノさんが担当されています。
 このポッドキャストでも、スパイダーマン ノーウェイホームやズートピアで取り上げました。
 そして今回取り上げているジュラシックワールドもそうですね。
 ちなみに12作目スタートレック イントゥ・ダークネス、13作目スタートレック ビヨンドでもマイケルジアッチーノさんが担当されています。
 13作品あって6名が音楽を担当されているという作品でした。

シリーズ作品を多く手掛けるマイケル・ジアッチーノ

 ここでどうせならマイケルジアッチーノさんの話をすると、ピクサー・アニメーション・スタジオ製作のカーズ作品は、1作目のカーズではランディニューマンさんが担当されていますが、2作目のカーズ2ではマイケルジアッチーノさんが担当されています。
 あとはSP5で取り上げた猿の惑星シリーズから、猿の惑星: 新世紀の音楽も担当されています。
 猿の惑星はもともとジェリーゴールドスミスさんが音楽を担当されています。
 他にもミッション:インポッシブル3やミッション:インポッシブル/ゴーストプロトコルなどのミッション:インポッシブルシリーズでも音楽を担当されています。
 ミッション:インポッシブルも1作目はダニーエルフマンさんですね。
 他にも映画マイティ・ソー(単体作1作目)はパトリックドイルさんが担当されていますが、ソー:ラブ&サンダーではマイケルジアッチーノさんが担当されています。
 他にもTHE BATMANやバズライトイヤーなど、続編やスピンオフ作品の音楽を担当されることがとにかく多い音楽家の一人です。
 これは大きな特徴でありながら、マイケルジアッチーノさんの技術力の高さが窺い知れますね。

【前作のメインテーマの使われどころ】

 そんな前作のイメージを引き継ぎつつも新しいものを作らなくてはならないといけない大変さと戦いながらも、言ってもジュラシックパークの続きとして描かれていますから、もちろん前作の音楽が登場します。
ですのでここからは、前作のメインテーマの使われどころについてみていこうと思います。
 ここからは多少のネタバレの要素がありますので、お聞きになる際はご注意ください。
 実際そんなに多いわけではないのですが、非常にかっこいい使われ方がされています。

前作のメインテーマが使われるシーン1

 まず耳を惹くのは子供達(グレイくん、ザックくん)が島に訪れるシーンです。
 アップルミュージック ジュラシックワールド オリジナルモーションピクチャーサウンドトラック 3曲目に収録されている「ウェルカム トゥ ジュラシックワールド」という楽曲です。
 一部ですがこのような楽曲でしたね。
 (演奏)
 やはりいい曲ですね。
 抒情的でどこか神秘的にも感じますし、どこかワクワクもする楽曲ですよね。
 この時に演奏が始まるのが島が見えた時なんですけれども、これはジュラシックパークのオマージュですよね。
 ジュラシックパークでも、ハモンドさんがヘリコプターに乗っている時に「島が見えてきた」というようなセリフともにメインテーマが演奏されていたシーンがありましたね。
 楽曲自体は違うのですが、島が登場した時に演奏されるのはジュラシックパークファンからしても嬉しい演出です。
 そしてこの楽曲はオリジナルの楽曲とは少し違うアレンジがされていたりして、新たに楽曲も録り直されていました。
 それがわかるのは、木管楽器なのですがこれはまた別の機会に、どうせならサブスクリプションで話そうかなーと思います。
 ということで、弟のグレイくんは大はしゃぎしていますね。
 その時に楽曲は徐々に盛り上がる作りになっています。
 そして、ホテルに荷物を置いて居ても立っても居られないグレイくんが窓を開けた時に、ジュラシックワールドが眼下に広がります。
 その時に楽曲は一番の盛り上がりをみせます。
 これはテンション上がる作りですね。
 グレイくんの興奮が伝わってくるような演出ですよね。
 実際ジュラシックワールドというアミューズメントパークが存在していたらあれくらいテンション上がりそうですよね。
 そんなグレイくんのテンションが伝わってくるようなシーンで使われていました。

前作のメインテーマが使われるシーン2

 そしてもうひとつのオマージュのようなシーンが、
 15:09
 サイモン・マスニラさんがヘリコプターを操縦するシーンです。
 ここで演奏されるのはこのメインテーマですね。
 (演奏)
 この楽曲のイメージが強いですよね。
 こここそまさにオマージュで、ヘリコプターが降りるシーンまでジュラシックパークのシーンをオマージュしています。
 これもテンション上がりますよね。
 行き先が今回のヴィランであるインドミナスレックスというDNAを操作することで生み出された、ハイブリット恐竜というとんでもない恐竜がいる檻です。

前作のメインテーマが使われるシーン3

 次に演奏されるのは、オーマジュではなく、昔の施設が登場することで演奏されていますね。
 1:07:27
 グレイくんとザックくんがインドミナスレックスに追いかけ回され、どうにかこうにか逃げ切った先に施設を見つけるシーンです。
 この施設がなにを隠そうジュラシックパークだった施設ですね。
 おそらくジュラシックパークのラストで登場したティラノサウルスの骨が飾ってあった施設ですね。
 たしか説明はなかったのですが、この施設があることでジュラシックワールドはジュラシックパークがあった施設だったというのがわかるわけですね。
 そしてここで演奏されるアレンジもとてもイケてます。
 これもサブスクリプションでやろうかなと思います。
 ということで、ここでの演奏は廃墟と化したジュラシックパークの登場が演奏の動機になっていました。

前作のメインテーマが使われるシーン4

 そしてつぎがラストもラスト
 1:48:25
 ティラノサウルスが登場するシーンです。
 しかし、このシーンでの楽曲はこれまたストレートに演奏されていません。
 もちろん恐怖の対象としてティラノサウルスというのは登場するので、ヒーロー的な音楽をそのまま演奏するわけにはいかないのですが、主人公たちを助けてくれるかもしれない対象でもあります。
 複雑な関係性ですが、その関係性を感じさせる演出がされていますね。

前作のメインテーマが使われるシーン5

 そのままラストのシーンでも同じように演奏されます。
 1:55:23
 島にある施設の上に乗っかって、広大な大地に向けて最後にティラノサウルスが叫ぶシーンでも一部使われています。
 最後の音としてこのような音が使われています。
 (演奏)
 最後の音以外はジュラシックワールドの楽曲が使われています。
 これがいいですね。
 基本的には新たに書かれた楽曲が使われているのですが、ほんの一部だけ使うことでジュラシックパークファンをも惹きつける仕掛けがされています。
 もちろん続きの作品なので、それはそうなのですが使い方にもセンスが問われますよね。
 非常にかっこいい演出で使われていました。
 そしてその後すぐのエンドクレジットでも使われていました。
 これはシーンに関係しているわけではないのですが、ジュラシックワールドも結局うまくいかなかったわけです。
 ジュラシックパークも最後はうまくいかずにパークを運営することができなかったわけです。
 この最後の落とし所が、エンドクレジットでジュラシックパークの楽曲が演奏されていた理由と考えることもできますよね。

【エンディング】

 ということで、今回はナンバリング作品の音楽家が違うという話と映画ジュラシックパークで演奏されていた楽曲がジュラシックワールドではどのように使われていたかをみてきました。
 前作の楽曲をどのように現代に落とし込むか、その技術はマイケルジアッチーノさんにとっては慣れっこだったということですね。
 たくさんのナンバリング作品の後続作をたくさん手掛けている、マイケルジアッチーノさんが担当するというのはとても安心感がありますよね。
 そんな話でした。
 前作に登場した楽曲がジュラシックワールドではアレンジされて演奏されていたわけですが、どのようなアレンジがされていたかはサブスクリプションでやろうと思います。
 そのサブスクリプションではさらに「スーパーエイト」という映画もやろうと思います。
 こちら初月無料、月額300円で全てのエピソードを聞くことできますので、ぜひ興味がございましたらご登録よろしくお願いします。

 最後までお読みいただきありがとうございました。
 映画にみみったけ、放送時のパーソナリティはヨシダがお送りいたしました。
 podcastのエピソードは毎週日曜日に配信中ですので、そちらでもまたお会いいたしましょう。
 ではまた!

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