今野敏①

このところ『隠蔽捜査』シリーズを読んでいる。
 『隠蔽捜査3.5』、それが町の図書館にあったから借りてきた。(江戸川乱歩賞受賞作小説二冊と共に) そしたら、前の『疑心』とか二作めとかを読んでないとわからないような内容の短篇集で、つまりスピンオフ作品。
 全部読んではいるはずだがだいぶうろ覚えだった。 そんで先日街の書店に行ったら『隠蔽捜査』一作めの文庫本があったから買ってきた。  
二作めの『果断』と三作めの『疑心』は買った本がまだ手元に残っていた。

『果断』のラスト、妻との会話がよかった!! 今野敏の円熟さを如実に表している、と思う。
『疑心』は、唐変木の竜崎が、アメリカ大統領来日の警護の方面本部長を担いながら、妻の入院と、あろうことか部下の美人秘書官に恋心を抱いてしまい、苦悩する様が描かれていて、そこから脱出する描写が秀越だった。

   今野敏の小説は、前に『怱角流浪』について書いたことがある。

上智大学生在学中に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞受賞し作家デビュー。その後、レコード会社勤務を経て作家専業。   だが、何よりも今野敏の特異性は自らが「空手道今野塾」を主催する武道家(空手と棒術)ということだろう。(北海道出身。1955年生まれ)
最近は警察小説が多いようだが、 前にも書いたように僕が今野敏の小説を読み出した最初は、『神々の遺品』や『海に消えた神々』で、それから武道・格闘技ものにはまり、『弧拳伝』シリーズは、漫画の『拳児』と共に、全巻読みとうした。   『虎の道竜の門』も好きだった。
『山嵐』『義珍の拳』『武士猿』も読んだし、『ST警視庁科学特捜班』シリーズや『TOKAGE』や『特殊防諜班』シリーズや『警視庁強行犯係』ものも読んだし、『とせい』や『任侠学園』も・・・・
  集英社文庫の『スクープ』の解説で関口苑生が書いているように、作家デビュー以来、休む事無くずっと小説を書き続けてきているのだ。   しかも、空手道も続けながら!  今野敏自身「量が質を生む」と信じているようだ。
同じく集英社文庫で『琉球空手、ばか一代』という“爆笑”自伝エッセイ本も出している。  実はこの本は未だ読んでなくて、いつ何歳の頃「今野塾」を始めたのか定かではないのだけど、、 「今野塾」を主催し後進の指導をし、時には彼らと痛飲し、「指導の合間に本業に勤しむ立派な空手ばか」だそうで・・!

  たとえば、丸山健二、石原慎太郎?とかもだと思うのだが、 若くして作家デビューして、なおその後も作家として書き続けている作家は、 まことに凄いことだと思うわけで、、それにしても、彼らは、いったいに、 どこでどのようにして作家なりえたのだろう?なんて思わないわけではない。

警察ものややくざものを書いている作家として、やはり僕は笹本稜平も好き。『未踏峰』のこと書いたことある。アスペルガー症候群、関連で。

  今野敏は、作家デビュー以後長らく賞には無縁だったが、'06年『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞(新人賞だって!?)、 '08年『果断・隠蔽捜査2』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を、受賞。
拍手!!\(^O^)/
  
HP
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