今野敏②

『隠蔽捜査』シリーズ。
 竜崎伸也。  
このキャラクターを創出したことが、凄い!!
  
一作め、の新潮文庫版裏書き、より。
【竜崎伸也は警察官僚(キャリア)。警察庁長官官房総務課課長。その朴念仁ぶりに周囲は変人扱い。だが、彼はこう考えていた。エリートは国家を守るため、身を捧げるべきである、自分はそれに従って生きているにすぎない、と。】
   そして、合理性を重んじ、言う言葉にたてまえと本音の違いがなく、人間を人間たらしめているのは理性があるからだとみなし、 メンツとか出身閥とか上司部下とかに関係なく、正当性があり合理的であれば誰からの意見だろうと取り入れるのだ。

  いい意味?でのエリート意識。「国家を担っているのは我々だ」、だから、私的なことが犠牲になるのはやむをえない――そんな覚悟は、いわば当たり前といえば当たり前だろう。
ところが現実はそうではない、ことが多い。
しかし、竜崎伸也は違う。しかも自分では自分のが当たり前だとの信念を持っている。

  こんな警察官僚に対して、警視庁刑事部部長の伊丹という人間を配した。幼なじみとして。
これまた、いい。
とにかく、今野敏は人物造形がすばらしいと思っていた。 
 STシリーズの五人(?だったか。STたちの上司も)、しかり。やくざものの『とせい』や『任侠学園』の組長や若頭、しかり。
 他多数。
しかも、文体が読みやすく、エンターテイメントに撤している。  

『隠蔽捜査』シリーズの竜崎伸也のことを書いておきたいと思ったまで。
 しかるに、官僚に関しても・・と思ったんだけれど……
まぁ、興味もたれた方には読んでみてほしい、というにしておこう。
  新潮文庫から、以後続刊。

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