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晴明&博雅が挑む最初の事件 『陰陽師0』

陰陽師0
4月19日(金)公開 全国ロードショー

■あらすじ

 平安時代。暦や占い天文などで朝廷に使える陰陽寮(おんみょうりょう)に、安倍晴明という優秀な学生(がくしょう)がいた。

 高名な陰陽博士賀茂忠行の弟子であり、本来は陰陽師を目指して修行中のはずだが、晴明は自身の出世にはとんと興味がない様子。しかしその能力がずば抜けていることは誰しも認めざるを得ず、独特のカリスマ性から「狐の子」などと噂されているほどだ。

 その晴明のもとに、帝とも親しい上級貴族の源博雅がやって来る。彼の従姉妹でもある伊勢神宮の元斎宮・徽子(よしこ)女王の屋敷で、奇妙な事件が起きているので解決してほしいというのだ。この依頼に興味を持った晴明は、博雅と共に徽子の屋敷へ向かい、無事に事件を解決させる。

 だがその晴明自身が、事件に巻き込まれることになる。陰陽寮の学生のひとりが変死し、晴明がその殺害容疑者になってしまったのだ。我が身に降りかかる火の粉を払うため、晴明は事件を調べはじめる。

■感想・レビュー

 夢枕貘の伝奇小説「陰陽師」シリーズを原作とした実写映画。過去には滝田洋二郎監督が野村萬斎と伊藤英明主演で映画化(2001・2003)しているが、今回の映画はそれとは別のリブート版。原作の設定を借りつつ、主人公たちの若き日の出会いを描いたプリクエル「エピソード0」になっている。

 監督・脚本は佐藤嗣麻子だが、この映画の雰囲気はかつて味わったことがあった。佐藤監督が1995年に発表した『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』だ。

 共通点は学園ものであること、超常現象を扱ったVFXたっぷりのファンタジー映画であること、主人公が特殊能力の保持者で、相棒役に能力を持たない普通の人間が付き添ってコンビになることなどだ。『エコエコアザラク』は画面の暗い映画だった印象があるが、今回の『陰陽師0』は画面が明るくてきらびやか。じつに楽しい。

 晴明と博雅のコンビは、ホームズとワトソンの平安京バージョンだ。本作の晴明は高度な呪術を駆使するスーパーマンではなく、徹底した科学的思考と論理的な推論で謎を解く合理主義として描かれる。もちろん「陰陽師」シリーズだから話はそれだけで治まらないのだが、基本線としてはシャーロック・ホームズ型の名探偵。これは以前からあった晴明のキャラクター像だとは思うが、それをここまで押し出すのは珍しいと思う。

 山﨑賢人は『キングダム』や『ゴールデンカムイ』などのヒットが続き、考えるより先に身体が動く熱血型のヒーローが板に付いているわけだが、今回の晴明役もきちんと自分の物にしているのは意外だった。もっとも、大事件を前にして常に冷静沈着な様子は『斉木楠雄のΨ難』(2017)でも見せていたりするので、これも彼の芝居の幅の中なのかもしれない。

 衣装も含めた美術とVFXも本作の見どころ。映像がとにかくすごいのだ。このキャスティングとスタッフでのシリーズ化を期待したい。

109シネマズ木場(シアター4)にて 
配給:ワーナー・ブラザース映画 
2024年|1時間53分|日本|カラー 
公式HP:https://wwws.warnerbros.co.jp/onmyoji0/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt31235903/

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