見出し画像

Fラン大学不要論について

高校卒業後の進路

SNSで定期的に盛り上がる「Fラン大学不要論」だが、高校卒業時点で「自分のやりたいこと」が見つかってない人は、とりあえず大学行った方がいいと思う。

逆に「これやりたい!」「これになりたい!」と決めてる人は、専門学校に行くのが近道かもしれない。多くが2年制か3年制なので、4年制の大学よりコストもかからないからお勧めだ。(ちなみに僕は、最終学歴が専門学校卒になっている。)

高卒で働くというのもありだ。今は高卒の年齢で「成人」だ。社会的にも一人前の大人が、本当に働きたいと願っているなら、働くのが一番だと思う。

例としては特殊かもしれないが、徒弟制度の伝統工芸の世界などでは、十代の繊細な感覚を持っているうちに技術を身につけ、それで一生食っていく。ある職人に言わせれば、弟子入りは大卒では遅すぎで、なんなら高卒でも遅いらしい。

中学生や高校生の時に「自分の一生の仕事はこれだ。自分はこれで一生食べていくのだ!」と決心できるなら、そのため職人に弟子入り修行してもいいし、専門学校に行ったっていい。

しかしどれだけの人が、中学生や高校生で「この道に行く!」「この仕事こそ自分に取って一生の仕事だ!」と決められるものなのか。もし具体的に将来の希望がないなら、大学に行く方がいいと思う。「大学卒」の資格は、専門学校で取得できる技術や資格より潰しがきくからだ。

高卒や専門学校卒は転職で不利になる

僕は専門学校を卒業してグラフィックデザイナーになった。入社した会社には美大卒も大勢いたが、その時点ではまったく学歴差別などもなく、何ら困らなかった。しかしデザイナーの仕事を辞めて他の仕事に就こうとすると、大学卒の資格がないことで門前払いされることがすごく多い。

三十過ぎ、四十過ぎの転職では、もはや「大学で学んだこと」に何の意味もないと思う。卒業から10年も20年もたてば、学んだ知識にもアップデートが必要で、それは働いてから何をしてきたかで評価されるべきなのだ。それでも転職市場では、大学を卒業しているか否かで、まず書類選考のフィルターをかける。

募集資格に「大卒以上」とあれば、学校がどこであっても、卒業学部がどこであっても求人に応募することができる。しかし高卒や専門学校卒は、社会でどれだけの知識経験を身につけ、そこそこ実績を積んできても、最初から応募することができないし、応募しても書類ではねられてしまう。

そんな自分の経験から言うのだが、高校生が大学に進学するかどうかで悩んでるなら、それは間違いなく大学に行った方がいい。

Fラン大でも卒業すれば大卒

「高卒で社会に出て仕事を憶えた方がいい」
「○○の仕事なら学歴がなくても稼げる」

そんなアドバイスは、卒業後の最初の就職に関しては正しいのかもしれない。でも今の日本は、社会に出たら70歳まで、あるいは今後はさらに高齢になるまで仕事をし続けなきゃならない。

社会に出てから転職や職種替えをする可能性は、昔に比べればずっと多くなっている。勤務している会社が業種転換する可能性もあるし、会社がなくなる可能性もある。そもそも最初にしていた仕事が、世の中から消えてなくなることだってあり得る。病気や事故、家族の都合などでの転職もあると思う。

最初の就職から50年働き続ける社会では、学校卒業後に勤めた会社で定年まで働くなんてまずあり得ないと思った方がいい。多くの人は一度や二度必ず転職すると思う。

そのとき高卒と大卒とでは、受けられる会社の数がまるで違ってくる。

「Fラン大学なんて就職の役に立たない」
「高卒で就職した方がコスパがいい」

それは学校を卒業した時点では、確かにそうかもしれない。でも大学卒という最終学歴は、10年後20年後に転職するときも必ず役に立つ。門前払いされる確率が低くなる。

「Fラン大学不要論」は、そう考えるとずいぶん無責任な意見だと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?