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往復書簡・映画館の話をしよう「子ども時代の映画館①」(山口雅)

前回の大浦さんのお話、面白く読みました。他の劇場との違いに刺激を受けたんですね。京都みなみ会館は、私も思い出深い映画館です。

京都みなみ会館、とっっっても良い映画館でしたよね。
初めて行った時のこと、よく覚えています。ワンスクリーンで、パチンコ店の2Fにあった頃でした。レイトショーの映画を見終えて出てくると、五重塔が夜に浮かび上がっていたあの風景を思い出します。道の向かい側に移ってからも何度か行きましたが、閉館は今なお残念です。

さて、「子ども時代の映画館」のお題でした。
初めて行った映画館について記憶をたどってみたのですが、何が一番最初だったのか、さっぱり思い出せません。
うちの親は特別な映画好きということもなく、ごくたまに、父親が自分の見たい映画に家族全員を無理やり連れていくという感じでした。
最初の映画体験として思い起こせるのは、映画館ではありません。
スーパーの駐車場でした。

昔、家の近所にあったスーパーでは、夏になるとお祭りがありました。
イオンみたいな巨大スーパーじゃなく、町の小さなスーパーです。駐車場には金魚すくいやヨーヨー、綿菓子などのちょっとしたコーナーが出て、小学生の私は小銭を握りしめ、友達と一緒に行くのを毎年楽しみにしていました。夜のお出かけは、子どもにとっては最高にワクワクです。

駐車場の一角では、子ども向けのアニメ映画も流していました。白い布の両端を棒に固定したような即席のスクリーン。地面に敷いたブルーシートに、ぎゅうぎゅうに座った子どもたち。
私にとっては初めての、不特定多数の人と映画を見る体験だったと思います。みんなで一斉にワァッと声を上げ、げらげら笑って、みんなで笑っているその状態が面白くて楽しくて、また笑う。
子ども向けのアニメだったのでしょせん小さい子どもしかいないのですが、それでも知らない子たちと集まって映画を見るという行為は、不思議で大人っぽいことのように思えました。

映画の内容はまったく覚えてません。すごくワクワクして、すごく楽しくて、ものすごく汗臭かったという、場の感覚と雰囲気だけを覚えています。思えばあれが「映画館」の原体験かもしれない。まあ外ですけど。

大浦さんのおうちは、映画に連れていってくれる家庭でしたか?
子どもの頃の原体験など、ぜひ聞かせてください!



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