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海辺の映画館 キネマの玉手箱 / LABYRINTH OF CINEMA(2020年7月31日劇場公開)

「映像純文学の試み」は果たして成功したのでしょうか?

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最初から最後まで、179分間、常に二つのスイッチが切り替り続けていました。「映画にYES」、「戦争にNO」。印象的な核になるショットを反復させながら大林宣彦監督が強烈にその想いをスクリーンに焼き付けていました。以下印象的な4つのショットを載せます。

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原爆ドームと呼ばれる前の広島産業奨励館の前にたたずむ希子。

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原爆ドームの見える部屋の隅に座っっている希子。

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戦争映画に入り込んで私たちに能動的な映画鑑賞を促す3人が狂言回し役。

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尾道水道に沈む夕陽、その海の上を軍服の兵隊が渡って行きます。

純文学の最大の効用が読者の生き方に能動的な衝動を与えることだとすれば、この映像純文学の試みは観客に能動的な映画体験を促すことが出来ている点で大成功だったと思います。

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この映画は、大林宣彦監督作品中ではもちろん戦後日本映画における最高の到達点だと思います。ベスト・オーパス / the best opus と呼びます。 

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