見出し画像

たそがれ清兵衛 / THE TWILIGHT SAMURAI (2002年11月2日劇場公開)・『第12回京都ヒストリカ国際映画祭』トークショー(2020年10月31日京都文化博物館)

山田洋次監督、松竹の大角正会長らが登壇され、18年ぶりにスクリーンで上映された山田洋次監督初時代劇について興味深いお話を聞くことができました。

画像1

2004年度アカデミー外国語映画賞日本代表作品。松竹映画100年の100選の1本。

画像2

映画の構成として岸恵子のナレーションで物語の落ち着きを演出しています。公開当時ラストシーンの存在意義が議論されたようですが、あのラストがあったからクラッシックな地位を獲得し得たと思います。

画像3

7、8年ぶりにスクリーンでこの映画を正しい音で観られて良かった、江戸時代当時の部屋の明るさなど徹底的に拘ったと山田洋次監督、「大船撮影所で人情噺ばかりを撮っていた私が京都撮影所にやってきて、時代劇なんか撮れるのって思われてる」と当時の心境を吐露。大角会長曰く「大船vs京都」の図式だったと。

画像4

当時の民衆の視点から見た武士像というものを時代劇を知らないからこそ基本的な質問をして時代考証にじっくり時間をかけた。京都撮影所のスタッフの力がなければ完成し得なかった作品。京都撮影所の照明スタッフに、行燈に火を灯す時に火打石で出来ますかと頼んだら簡単に点けてくれたというエピソードも。

画像5

山田洋次監督は「時代劇で刀を抜く瞬間の緊張感を演出したかった。藩命に背くことは絶対許されない侍の不合理を通じて、愛読していた藤沢周平原作の下級武士のストーリーを映画化出来て良かった」と。

画像6

松竹の大角会長は、「この映画の公開当時宣伝プロデューサーとして徹底的にクオリティにこだわりました、ポスターのスチールもカメラマンはアラーキー。真田広之も宮沢りえも撮影期間中はずーっと緊張感を保ったままで、そういうみんなの熱意が結実した時代劇映画の最高傑作だと思います」と熱く語られていました。

画像7

トークショーの最後で、現在『キネマの神様』(大角会長から2021年4月16日に公開すると極秘情報が漏らされました)撮影中の山田洋次監督に次作は時代劇を撮ってほしいと満席の会場から拍手での励ましがありました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?