DAU.退行 5時間と1時間の内訳(覚書き)

映画 DAU.退行は6時間9分の中身のうち、5時間はほぼ何もおきない。では一体なにが起きているのか?また、5時間は見た人にどうとらえられているか、実際に頂いた感想などを基に内訳を書き込んで、この5時間の解説と考察とキャラクターの背景について書きたいと思います。そして問題の1時間に関しては映画館で確認ください。

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まず相関図を記したいと思います。5時間この相関図のキャラクターたちが交互に現れて物語は進んでいきます。映画を見た人の中には「つまらなかった」という人はこのキャラクターたちの日常風景が淡々としているという意見が多かったです。

① ダウ家

レンダウ 創設者。ノーベル物理学賞受賞した科学者。交通事故により半身不随である。超人思想と国家貢献のための施設ダウ研究所を創設。科学者、民間人、軍人など施設内で活躍させる。ただし、社会主義のイデオロギーやルールに縛られず研究所の中では資本主義の意見などもと入れることが可能というルールを設けている。

ダニー。レンダウの1人息子。作曲家。ソ連の社会主義に基づく芸術(古典芸能のみ認められる世界)とは別に資本主義(前衛的で抽象的な意味も含める)の芸術を取り入れたオペラを作曲中。父、ダウの家業は継がないがダウの自由意思が疎通できる施設の思想には親子ともに共感している。

レンダウの妻。ダウの献身的介護を担う。ただし、施設内の自由な空気とは別に施設の嫌がらせに混沌しており施設外からダウを救護したいと考えている。

② ダウ施設 警備監督

ウラジミール・アジッポ。元KGB。●●所長解任後のダウ研究所の所長。前所ソ連の全体主義(監視と独裁と平等)が行き届いた価値観での管理を始める。前所長の資本主義という名のやりたい放題に呆れかえっているため施設の存続と貢献をソ連全体主義に基づくものとするべく自身も外部相談を頻繁に行うとともに、優性思想を実験の被験者たちに教授していく。外見は常に穏やかそうな顔をしているが、口調は時折恐喝のような暴言を吐く。一方で、部下に諭す事で命令を自発的に行わせる恐怖体制のプロであり、感情を出さない。

アジッポ所長の前の施設長。事務的仕事と外交のみを行い管理体制には興味がない。車椅子で意思決定権が不足しているダウの資産を食いつぶし、自らは所長という権限のもと秘書たちとの不倫や賄賂贈与を10年続ける。スーツのベストを自慢とし女性を口説くときはベスト姿をみせつけセックスアピールを行うが、女性たちの興味を惹くことはない。紳士的態度によるイギリス風を気取る。実態のない仕事を多忙といい、


③科学者たち

ドミトリー・カレージン 物理学者。ダウ施設においては肉体の実験ではなくダウ研究所の情報管理を解くことで新しい価値観=情報化社会を開拓できると思い施設に志願。実際は混沌とした毎日の中で、●●と恋愛関係になり遅咲きであるが子供が誕生する喜ぶと不安を抱えてもなおかつダウの資本主義の中で子供を育てるべきだと考察している。本作の中でも良心的存在。しかし現在も進行している不倫に悩まされる。

④ ダウ施設 労働者たち


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ダンテ神曲になぞらえた1から9までの内容をここに記録します。

−序章−
ユダヤ教のラビが米国からダウ施設見学に訪れる。真夜中のダウの運動場では、放射能による埋葬実験が行われようとしている。ラビはまた9章全ての概念をナレーションで観客に伝える。

① 
・夜。集会所。
ラビはダウ施設の面々を集め「宗教と次元の取り扱い」について講義する。
・夜。レンダウ邸宅。
ラビは迎賓として晩餐に招かれる。
カレージン教授は物理的産業の発展を望まず情報こそが次世代の産業であるとラビに解く。
○○○教授は1968年でも継続的生産にある物理的幸福が今後も社会主義の幸福の要だとラビに説く。
ダウは杖をついて歩いてる。(時間の進行とともに体力が落ちていくが、施設が数年に渡って時間経過していくことを示す表現のため記述。)
・昼 講義室。
ソ連郊外の大学生4人がラビの教え及びダウ研究所の博士たちの講義に参加する。見た目はビートルズのようにマッシュヘアであり、いかにもヨーロッパの洗礼を期待させる。
・昼 食堂キッチン
調理室では、老労働者たちの間でスタッフがダラダラとサボり「ダウの健康問題」「人事部長の体たらく」が話題になる。
・夜。サロン。運動場通り道。
アレクセイ所長を交えて、学生の歓迎会開かれる。ウォッカ以外にも多くの酒が振る舞われ宴会は運動所でアメリカの音楽を流しダンスに興じる。
・それを見つめるKGBの士官たち。人事部長パルーチにも叱責するが時代が違うと解かれる。





・息子ダニーの甲斐性のなさに母親のノラは呆れ返る。ダニーは既存の音楽に対して新しい音楽の可能性を求めている。
・所長が秘書を入れ替えてまた浮気をする。



④ 1時54分5秒〜2時間30分まで
・アレクセイ所長が所長室でまた不倫秘事を始めようとしている。自慢のベストをチラつかさながらムードを作りやる気満々。その瞬間アジッポ書記官が入ってくる
アジッポ「ノックもせず入ってすまない。」
アレクセイ「5分待ってくれ。」
アジッポ「1分だけまってやる。」
・アジッポと正装したアレクセイ所長。
アレクセイの過去の秘書交代と付随する不倫疑惑のレポートを読み上げアジッポは解く。

「時代が時代なら銃に玉を込めて渡すところだが、幸いにも時代が違う。辞任表を書くように勧める」

事の内容は長い付き合いなので大目に見て公にはしない代わりに辞表を書かせる。
紙用紙一枚を差出しアレクセイ所長は赤いポールペンで書き始める。
「仕事だからね」とあくまで建前で精神を保つアレクセイに対してアジッポは「10年来の中なので心苦しいが頼む。引退してここよ著述を書くといい」と諭す。

・集会室 
副所長がアレクセイ所長の自己退任を皆の前で発表し続いて新しい所長にウラジミール・アジッポ同志が就任する事も発表する。アジッポ同士は「皆とうまくやっていきたい。手を貸してほしい」とへりくだる。
・夜。サロン
アレクセイの送別会が行われる。ドミトリ・カレージン博士は「辞める必要はないだろ。なにかされたのか?」と問いアレクセイは「前から考えていたことなんだ。自分の意思だ」と建前を崩さない。カレージン含めて研究者たちに重い空気。カレージンか「ダスビダーニャ(御機嫌よう)」とその場を去る。
・夜 インスチュートの宿舎
4人と若い研究者の女性陣とで宴会とダンス。そこへアジッポ同志が風紀見回りで現れる。







⑨ からエンディングまで6時間9分
※ここからが問題のラスト1時間。
詳しい内容は伏せます。

・ダウ研究所51周年を記念して近隣の小学校の生徒による祝賀・賛美歌大会が開催される。
・気に入らないアジッポ。「ここはくだらんものが多すぎる」
・一方でカレージン教授と愛人の●●に妊娠の兆し。カレージン教授は喜ぶ。
・マキシムたちがカレージンたちのサロンに○○を連れ出し突如○○○○○をし暴走する。
・マキシムが●●教授の夢「放射能による葬儀(物理的消滅により魂の概念すらなくなるので人が存在しなくなる)」を聴講しながら
○○○は無惨にもその○○でもてあそばれる。
・後日、アジッポ所長がマキシム達にある命令を伝えるマキシムたちはそれを遂行する。
・残った廊下に数頭の豚。
・一匹がカメラによってきてカメラと見つめ合う。

映画が終わる。

終わりです。ダスタービーニャ。

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