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短歌

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気になる短歌についての考察や歌集評、制作した短歌などをこのマガジンにまとめています。
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#歌集評

三田三郎『鬼と踊る』歌集評③~全体構成を語る読書会

歌集全体の構成について書き起こし: クサナギ それぞれ「鬼と踊る」を読んで評をしてきましたが、二人に共通して「歌や連作の並びが計算されている」という感想がありました。 では、歌集全体の構成はどうなっているのでしょうか。下記のように連作をいくつかのブロックに分けて考察してみました。 第①ブロック95首 ワンダフルライフ(11 首) 自律神経没後八年(10 首) ワイドショーだよ人生は(12 首) 前科があるタイプのおばあちゃん(9 首) パーフェクトワールド(15 首)

三田三郎『鬼と踊る』歌集評②~「人生」から「人生(Part2)」までを読む(文・クサナギ)

泥酔と日常の反復横跳び文: クサナギ 「鬼と踊る」を通読して、目を引かれるのはやはり飲酒をテーマとした連作群だろう。私も酒飲みだと自負しているのだが、それにしても「酒」というテーマ詠でここまで歌をつくれるものかと感嘆してしまった。 例えばこの歌は、一首単体で読むとお酒の歌とはわからない。上の句を贅沢に使って口の中の感覚に焦点を当てていて、官能的な感じさえ受ける歌だ。だがその前の歌と合わせて読むと、お酒にのめり込んで咀嚼すらめんどくさくなったような主体の姿が浮かび上がってく