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30代サラリーマン、副業と投資を始めて感じたこと

1.本業(サラリーマン)について

私は都内の中小企業で正社員として雇用されながら、ノンフィクションのライター業をかれこれ10年間続けています。

最近twitterなんかを見ていると、サラリーマンという働き方をdisって、辞めて起業することを勧める人も結構いますが、私は結構サラリーマンという働き方は結構気に入っています。

例えば、自分自身の好みでは到底選択しなかったであろう分野・テーマについて、命じられたので調べて書いてみたりすると、意外な発見があって面白く、自分自身の視野が広がるので良いです。自分の知らないことが世の中沢山あるということを実感できるので、ボケ防止にもなります。

あと、会社の看板のおかげで、フリーランスだったら絶対アクセスできないような人脈・情報・リソースにアクセスできるのも大きい。また、社会保険料の労使折半、福利厚生、家借りる時の信用なんかの金銭的メリットもあります。

なので、ブラック企業さえ回避できれば、サラリーマンという選択肢はそんなに悪くないです。特に新社会人なら、仕事のマナー・段取りみたいな基本スキルを給料もらいながら覚えられるので、研修感覚で試しに就職してみるのは良いかもしれません。私は10年以上働きましたが、まだまだサラリーマンを辞める気はありません。

2.副業について

とはいえ、サラリーマンというのは結構麻薬で、ジョブ型の組織は別として、メンバーシップ型(いわゆる日本型の年功序列雇用形態)のところは、基本的に労働の成果ではなく、時間(在職年数含む)に対して給料が支払われるので麻薬です。お金が天から降ってくるような感覚なので、年次に比例して給料が増えてくるにつれて、お金を稼ぐことの大変さ・有り難みがだんだん薄れてきます。あと、少子高齢社会の中で終身雇用をどこまで維持できるかという大きな課題も横たわっており、将来は結構不確実です。

このままじゃまずいなという自戒の念もあり、昨年、自ら身銭を切って商売してみようと一念発起し、商社を開業しました。ラーメンからロケットまで何でも扱ってます。まさに総合商社。

開業当初は時給換算で100円ぐらいで全く儲けになりませんでしたが、試行錯誤を繰り返し、要領を掴んで軌道に乗ってくると、時給換算で1~2万円ぐらいの商売になってきて、良い小遣い稼ぎになっています。

副業とサラリーマンとの大きな違いは、やったらやった分だけ収入に比例するので、アップサイドが大きいというのがあります。あと、時間や人間関係に拘束されずに、全て自分の責任で自分の裁量で意思決定できるのも楽しいです。利益率15~20%ぐらいは安定して出せる商売なので、おそらく真面目にやれば本業の収入は超えられると思います。学歴・資格・経験不問で誰でも参入できる商売なので、もし自分が徒手空拳の無職だったとしたら、この商売を真っ先に始めると思います。ただ、今既に気に入っている本業があるので、それを捨ててまでこちらを優先するほどでもないかなと思い、小遣い稼ぎ程度でほどほどにやっています。

3.投資について

私は学生時代に株を始めています。学生ってすごく近視眼的で、10年後の1000万円より明日の1万円が欲しいみたいなマインドセットなんですよ。なので、最初にチャート分析本を買って勉強した後、チャートの形を見て、1日~数日で利確しまくって、資金をドンドン増やせないかなあとか思ってトレードしてました。

当時は2008年のリーマンショックがあった時代の下げ相場で、空売りできる信用口座もなかったので、しばらく全然利益が出ず、資金力も尽きて早々に撤退してしまいました。今から思えば、日経平均が1万円切ったときに全力で買って10年以上放置していれば、多分めちゃくちゃ含み益出てましたね。

その後、投資からは遠ざかって、ずっとサラリーマンの給与所得をシコシコ積み上げてきましたが、最近、10年以上ぶりに投資に復帰しました。投資を再開した動機は、一攫千金を狙うというよりは、最近の手数料を取ることしか考えてない銀行の将来を悲観し、預金としてお金を漬けておくのは勿体ないという消極的な動機です。

運用は、高配当株を分散して買っていますが、基本はつみたてNISAやらiDeCoの非課税枠を中心にインデックスの積み立てをシコシコやってます。インデックス投資は、単純化すれば、(対象国・地域の)経済社会が長期的に進歩するかどうかへの賭けです。コロナとか色々な波乱はありますが、隕石が落ちて人類滅亡しない限り、全世界的に人類は進歩し続け、豊かになっていくと考えています。

そうした考え方での長期投資は、個別株への集中投資と違って、仕事中に値動きが気になることもないので、自分に合ってる気がします。ちなみに、人気のS&P500連動インデックスは、15年以上持っていれば統計的には負けなしです。現在は空前の中央銀行による緩和相場。次の10年・20年はどうなることやら・・・・。

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4.いろいろやって思ったこと

内館牧子の小説で、後にドラマ化もされた『終わった人』というのがあります。主人公は、大手都銀に勤め、役員一歩手前まで行くも、出世競争に負けて子会社に出向させられ、そのまま定年退職することになった60過ぎの男性です。人生をずっとサラリーマン一筋で生きてきたので、退職後は生き甲斐もなく、スポーツジムに行ったり、図書館に行ったり好き勝手に過ごすけれども、現役時代の活躍していた頃を思い返すと、虚しさを感じる描写が妙にリアルです。
(私も社会人生活を一時中断して留学をしてた頃、最初は海外生活が新鮮で良かったのですが、段々と、社会の誰からも必要とされていない自分の境遇が物足りなくなって、社会人に戻って働きたくなったのを覚えています。)

社会とのつながりが切断されると、幸福の土台であるオキシトシン的幸福が失われてしまいます。そういう意味で、サラリーマンは気楽な稼業ではあるものの、それ一本足打法でいくのも、定年退職後の喪失感など考えるとリスクがあるなあと感じます。年齢に関係なく楽しめる副業(あるいは趣味)を持っていると、引退後の生きがいという意味でも、稼ぐ力という意味でも安心だと思います。

一方、副業についても、サラリーマンにはないアップサイド・リスクがある代わりに、ダウンサイド・リスクもあることは十分認識した方が良いと思います。私の場合、売上債権を2ヶ月ぐらい差し押さえられてた時期があり、精神的にかなり辛かった時期がありました。もしこの商売だけに収入を依存してたら、結構メンタルやばかったと思います。

「一つのカゴに全ての卵を盛ってはならない」という投資格言がありますが、収入源などのライフプランについても分散しておく考え方が重要ではないか思います。

現代ポートフォリオ理論という1990年のノーベル経済学賞の対象となった金融理論があります。これは、国債のような無リスク資産と、株式のようなリスク資産を、どう上手に組み合わせることで、リターンとリスクを最適化できるかを研究する理論です(イメージ下図)。

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ライフプランについても、サラリーマンを無リスク資産、副業や投資をリスク資産と捉え、これらを上手に組み合わせたポートフォリオを設計し、リスクとリターンを自分自身にとって最適な形に調整することで、人生の幸福度の最大化も狙っていくことは、これからの人生100年時代において、大いに検討に値するのではないでしょうか。


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