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『接地』について、最近、気づいたこと(フォアフットからミッドフットへ)

ランニングにおいて、一番重要な局面は、『接地』であると、かなり前から考えて来ました。それは、ランニングという自分の身体を前方向に移動させる物理運動において、そのエネルギー源を確保出来る、唯一の局面が、『接地』時だからです。

大迫傑選手が、マラソンで日本最高記録を樹立して以降、彼の接地時の特徴である『フォアフット』(前足部着地)が、話題となりました。

一般的なランナーの多くが、踵から着地する『リアフット』であることから、大迫選手の速さの秘密が、『フォアフット』にあり、マラソン界を席巻している東アフリカ勢の選手たちも、多くが、フォアフットで、その理由が、幼少期から裸足で生活していることに由来していると、報じられました。

私も、大迫選手のファンであったこともあり、4年程前から、本格的にフォアフット接地に取り組み始めました。それまでは、リアフット接地でしたので、当初は、ふくらはぎを中心に、何回かの故障をしました。ようやく慣れて来たのは、ここ2年程であると認識しています。

それが最近、あることに気がつきました。

それは、「フォアフットというよりも、もう少し、足裏全体で接地する『ミッドフット』の方が、長距離走には、向いているのではないか」ということです。

先月の東京五輪男子マラソンで2連覇を達成した、エリウド・キプチョゲ選手の走りに、改めて感動して、ここ2週間程、彼の走りのエッセンスをイメージしながら走っていて、そのことに気づきました。

冒頭の画像は、キプチョゲ選手が、1回目の『Breaking 2hours』に出走した際の、横方向から撮影した写真です。以下に、その動画も貼付しておきますが、彼の接地に注目すると、前足部というよりかは、足裏全体で、スッと地面に着地して、次の瞬間、サッと地面から足裏が離れていく、そんな接地に見えるのです。

先程、接地が、ランニングという前方向に身体を移動させる物理運動における唯一のエネルギー源になる局面であると説明しましたが、反面、接地の仕方により、エネルギー源どころか、『ブレーキ』が掛かる局面になり得るとも言えます。

それは、接地が、身体よりも前に来る場合に起きることになります。一歩一歩、脚を前に出す度に、杖で、グサッ、グサッと突き刺しながら走る、極端に言うと、そんなイメージになります。

上記のようにならない為には、上半身を適度に前傾させることが必要になりますが、その姿勢をキープしながら、接地を、ブレーキではなく、推進力を得る局面にする際に、より最適な接地の仕方が、『ミッドフット』であると言えるのです。

キプチョゲ選手の映像を見て頂ければ、スムーズに地面から力を得ながら、前方向に進んでいくには、足裏全体でスッと地面に入り、サッと離れていく『ミッドフット』が適していると、理解頂けると思います。

『フォアフット』も、前方向に素早く進むには、適していると言えますが、若干、上下動の動きを生む要因にもなり得るので、安定的に前に進むには、ミッドフットが、より適していると考えます。

実際、大迫選手も、疲れが出て来ると、上下動が出ることが自身の課題であると、以前語っていましたが、前述のフォアフットのマイナス面を表わしていると思います。

私が、ミッドフットで走る際に、気を付けていることは、『接地時の足首周りと大腿部のリラックス』です。どちらにも力が入ってしまうと、上記の『スッと入って、サッと離れる』ミッドフットのスムーズな動きに、ブレーキが掛かることになってしまいます。

その接地時の『力み』が無くなったことで、脚への負担が、かなり減ったと実感しています。

このように、速さと安全性の向上に寄与する『ミッドフット』を、ランナーの皆さんにも是非試して頂きたいと思う次第なのですが、一点、留意頂きたいことがあります。

それは、接地の局面のみを切り取った感じで、自身の走りに取り入れることは避けて頂きたいということです。

これは、フォアフットが話題になった際に、多くのランナーが誤解したことにも通じるのですが、接地は、あくまでも、ランニングの一連の動きの中の一部分であり、その挙動は、姿勢の維持や全身のフィジカル的な強さがあっての結果であると認識すべきであると考えます。

したがって、ミッドフットを取り入れる際には、接地の形だけに注意を向けるのではなく、適度な前傾姿勢のキープと、接地時のリラックスをもたらす、身体全体の筋力アップに繋がるフィジカルトレーニングを並行して行うようにして頂きたいと思います。








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