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一度だけ、カワセミを見たことがある

夜中、ですね。

ふと思い出したことを、きっと明日には忘れてしまうでしょうから。

今のうちに、書き留めておこうと思いまして。


高校二年生の、二学期、ということは覚えています。

海外研修のために受けられなかった英語のテストを、個別に受けていました。

テストを終え、先生に回収された直後。

「見て、カワセミ。」

先生に言われて振り向くと、確かにそこには、キラキラとした青い羽を持った小さな鳥がいました。


遠目からでも見える、青。

美しい。


すぐに飛び立って、何処かへ行ってしまいました。

きっと、現実の時間ではほんの十数秒のことだったと思います。

でも、私にはそれが、1分とか2分とか、それくらいのように思えました。


ふと思い出してみて、もしかしたらあれが、最初で最後のカワセミとの出会いだったのかもしれないなって。

「学校」なんて場所で出会うことは、奇跡的な体験だったと思いますし、きっとこの先一生ない出会い方だったと思います。

普通、澄んだ川の辺で生きているものなのだろうし。


でも、もし願ってもいいのならば、もう一度野生のカワセミとすれ違いたいです。

絵にも写真にも私の記憶にも、何にも残せなくっていい。

ただもう一度、私の人生とすれ違ってほしい。


思いの外、山へ行けば会える鳥さんなのでしょうか?

そうだとしてもきっと、私は会いに行かないと思います。

会いたいのではなく、すれ違いたい。

運命の出会いをしたい、乙女なのです。


会えたらいいな。

よろしければ、サポートよろしくお願いします。 社会復帰に使う、なんて言いながら、きっと、私の人生を彩って、これからもnoteで言葉を紡ぎ続けるために使います。