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戦争の絵本:父さんはどうしてヒトラーに投票したの?

毎年、夏になると図書館では戦争の絵本のコーナーが作られます。

今回はその中から選んで、何気無く読み始めたら思わず最後まで読んでしまった本をご紹介します。

主人公である少年の目から見た、第二次世界大戦前のナチスの台頭から大戦を終えるまでのお話です。


父さんはどうしてヒトラーに投票したの?

ミュンヘン近郊の町で、楽器店を営む両親と、障がいをもって生まれて来た妹と暮らす少年。
彼の眼を通して、ヒトラーの台頭から、政権への反対者の逮捕、ユダヤ人差別・弾圧、障がい者の隔離をはじめとしたナチスの支配、そして第二次世界大戦とナチス・ドイツの敗北までを描いた物語。

出版社の紹介

対象年齢…小学校中学年から

グロい描写は無いので、戦争ものにしては読みやすいと思います。

読み終わってから最後の解説で初めてフィクションだということを知ったくらい、リアルなお話でした。

少年の父は、ヒトラーをとても評価し、彼に投票するんですよね。

今の時代からするとナチスの台頭は馬鹿げた流れに捉えられるかもしれませんが、物語で見ると恐慌や失業で苦しむ街の人たちが、希望を持ってヒトラーを支持していたことが分かります(少年の母は最初からヒトラーに違和感を抱いていたようですが)。

本のつくりとして良いと思った点は下記です。

  • ナチス政権においてユダヤ人のみならず障がい者や黒人も差別の対象だったことがわかる描写がある

  • 当時の写真と解説がほどよく添えられており、より詳しい情報が得られる

  • 少年の暮らしの中で話が進んでいくので、想定読者が追体験しやすい


写真付きの解説がgood


この時代に詳しい人からしたら何も珍しく無い展開かもしれませんが、知識のない子供には、だんだんと街の様子がおかしくなっていく様子に臨場感があって、伝わりやすいと思います。

また、ナチスが反共産主義をプロパガンダに利用していたことは子供にはわかりづらい部分なので、あえてストーリー上は省いたのかと思われます(解説ではちょいちょい触れられています)。

残念ながらタイトル回収となる父と子の議論は成されなかったのですが、この本を読んで子供と話し合ってみるのには良い教材かと思いました。

おわりに

戦争のお話って悲しいし残酷だから子供は嫌がるけど、人間である以上避けて通れないと思うんですよね…。
私も継続的に勉強していきたいと思います。


小さなお子さんには、まずはこのシンプルな絵本がおすすめです↓

へいわとせんそう /   谷川 俊太郎 文 Noritake 絵

くらべてみると、みえてくる。「へいわのボク」と「せんそうのボク」では、なにが変わるのだろう。同じ人や物や場所を見開きごとにくらべると、平和と戦争のちがいがみえてくる。これまでになかった平和絵本!

出版社の紹介

全ページミニマルな線画で、「平和」と「戦争」が一目で分かる!
平和と戦争が見開きで比較できる構成です。印象的だったのは、赤ちゃんが両ページともに同じイラストだったことです。
いかなる理由であれ、戦争においては子供は被害者ですからね…。

それでは、ここまでお読みくださり誠にありがとうございました!

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