想像の翼を広げて
シャルロット・デマートン作・野坂悦子訳 『ぼくといっしょに』(ブロンズ新社、2020年)
この絵本を開いたときに一番最初に思い浮かんだのが
旅人を探しながら世界中を旅する安野光雅『旅の絵本』シリーズ
安野さんの「旅人」は大人だけれど
この絵本の水先案内人は「ぼく」
身近な日常の壮大な冒険の世界へと誘う
「ぼく」の声
「ぼくと いっしょに くる?」
今、いつものともだちと遊べなくても
絵本の中のともだちとなら
すぐに仲良くなって
いっしょに想像の翼を羽ばたかせることだろう
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一読後
なんだか懐かしいなぁ、この世界
と余韻に浸りつつ
「訳者のことば」へ
この絵本は
オランダの個別教育に通じるものがありそう
とのことばに合点がいった
イギリスで垣間見た
シュタイナー教育の世界と似ている
そこでは子どもが自ら発見できる環境が用意され
感性と主体性を育むことに主眼が置かれていた
昨今の日本の問題の多くは
想像力の欠如に由来していると思う
個人よりも集団の論理が優先される社会では
個性や自己発見はむしろ敬遠される
でも
だからこそ
幼いころから想像の翼を広げてみよう
その一助にこの絵本は最適な1冊だ