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ネルソン先生のド迫力

James Marshall, Miss Nelson is Missing, (Houghton Mifflin Co., 1977)

原書(英語版)に出会ったのは1995年のことだから、かれこれ四半世紀も前になる。当時、私はボストン大学教育学部大学院でChildren's Literature を履修中だった。 担当の先生は以前 Weston Woodsで働いてらしたその道のプロ。課題の読書量はすさまじいし、提出物に文法やスペリングのミスを許さないし、プレゼンへのコメントは毒舌だしで、絶えず緊張感のあるクラスだった。でも、その厳しさが児童書への愛と本気度の裏返しであることを、生き残り組の学生は知っていたと思う。

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James Marshallの作品はどれも面白いのだけれど、私の中でとりわけMiss Nelsonシリーズが印象に残ったのは、無意識のうちにMiss Nelson (or Miss Viola Swamp)を担当の先生と重ねていたのかもしれない。けっして厳しい先生が良いとは思わないが、年齢が低いほど教師には時に「猛獣使い」の要領が必要になるのも事実だ。一旦なめられてしまうと、授業が成り立たなくなるからだ。

当のJames Marshall自身 は学校の先生が大嫌いで、先生の似顔絵ばかり描いていたそうだ。でも、そんな負の体験がこのような楽しい絵本を編み出すなら、大人はこどもの「嫌い」をもっと大目に見ていいかもしれない。

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(ご当地図書館キャラクターが手に持っている絵本に注目!)

邦訳は意外に遅く2017年に出された。この絵本の面白さに気づいてくださった出版社名を検索してみると、Twitterで情報発信されていることを知った。数多くの良質の書籍を出されている朔北社さんだった。日頃はネット書店を利用しているのだが、朔北社さんの本はまとめてホームページからと心に決めている。