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疲れたときの1冊

この絵本の始まりは斬新です。

鈴木まもる『だんろのまえで』(教育画劇、2008年)

あるひ ぼくは
やまの なかで みちに まよってしまいました。
ゆきも ふってきて さむくて とっても つかれて あるいていました。

冒頭、ぼくは「とってもつかれて」います。元気な男の子が主役であることが多い世の中で、疲れた子供が主人公であることにまず惹きつけられます。

行く手にはドアのついた大きな木があり、ぼくは「すこし やすませて もらおうと」そのドアを開けます。ところが中は真っ暗。「こっちに おいで」という誰かの声が聞こえ、ぼくがマッチを擦ってろうそくに火を灯して入っていくと・・・その誰かはうさぎなのでした。

そのうさぎの言葉がなんとも素晴らしく、ぜひ絵本を手にとって「ぼく」といっしょに温まって疲れを癒していただけたらと思います。