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「こわい」をどうするか

新井洋行 作・森野百合子 監修『かいじゅうたちはこうやってピンチをのりきった』(パイ・インターナショナル、2021年)

ビビリなんだと思う。こどもの頃から地震カミナリ火事オヤジ全部こわかったし、オバケが出そうな暗闇も苦手だった。でも大人に相談すると、いつもはぐらかされていた気がする。「オバケはいるの?」「いないにきまってるでしょ」「こわがってたって仕方ない」「早く寝なさい」とか。

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この本はそんなこわい気持ちをしっかり見つめて、こわさと共存する道を示してくれている。まさに処方箋。

なんせビビリだから、以前にも処方箋を入手していた。その時は深入りせずに一通り眺めて終わったのだけれど、改めて開いてみるときわめて西洋的な対処法だったことに気づかされる。(ちなみにこちら↓はアメリカ心理学会企画のシリーズ①)

ドーン・ヒューブナー著 ポニー・マシューズ絵 上田勢子訳 『だいじょうぶ 自分でできる心配の追いはらい方ワークブック』(明石書店、2009年)

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自然への恐怖がやがて自然を人間の支配下に置くことを追求し、結果、幾何学模様の西洋庭園を生んだように、このワークブックでは「心配モンスター」を閉じ込めたり追い払ったりして制御することを主眼としている。

その点、前者のかいじゅうさんたちの「ゾワゾワちゃん」の扱いはどうなのか・・・は読んでのお楽しみだけれど、日本式庭園が山河を取り入れて自然との一体化を試みているように、きわめて東洋的な処方と思う。

どの処方箋が合うかは人それぞれ。私の中のビビリは至極こわがりだから管理下に置かれることは苦手かな。だから今回、かいじゅうさんたちに出会えてよかった、と心から思うのだ。