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KATY と けいてぃー

かの『ちいさいおうち』でお馴染み バージニア・リー・バートンの傑作絵本。

バージニア・リー・バートン『はたらきもののじょせつしゃ』石井桃子訳(福音館書店、1978年)

除雪車は夏の間は道路を直し、冬になると道路の雪を片づける。でもけいてぃーという名の除雪車はとても大きくて力が強いので、雪が少ない時は車庫でじっと待っていなければならない。大雪になって誰も動けなくなった時、いよいよけいてぃーの出番となる。その働きぶりのカッコイイこと。機能不全に陥った街中を走りまわり、多くの人々を助けて車庫に帰る頃には、けいてぃーを拍手で迎えたくなるほどに。壮大かつ緻密に描かれた街の鳥瞰図により、けいてぃーの活躍ぶりが手に取るように伝わってくるのが大きな魅力だ。

息子たちが小さかった頃、日本語版を何度も「読んで」とせがまれたおかげで、私はほぼ暗唱していた。うちのこどもたちに愛された絵本 Best3に入ると思う。「ぶひん」(部品)のことを「ぶぶんひん」(部分品)と訳されている1箇所だけが違和感があり勝手に「部品」に代えて読んでいたものの、総じて石井桃子さんの和訳はリズミカルでとてもこなれているので覚えやすかった。

Virginia Lee Burton, Katy and the Big Snow (Scholastic Inc., 1971)

家に英語の絵本がたくさんあるので、よくバイリンガル教育とか早期英語教育に熱心だったのではないかと勘違いされる。幼少期に短期間とはいえ英語圏の保育園や小学校で過ごした息子たちがせっかく覚えた英語を忘れないように願ってはいたものの、彼らは難解な外国語でのストーリータイムに退屈した経験があるせいか、家庭では英語で絵本を読むのをいやがった。仮にそれでも私が英語での読み聞かせを強要していたら、本そのものを嫌いになってしまったことだろう。私はそれを何より恐れた。だから英語の原書しか手元にない場合でも、ごくわずかな例外を除いて、にわか翻訳や要約をして日本語で読むようにしていた。

これって親が子に教育されていたってことなのかもしれない🤔でも親子で絵本を読んだ時間がどれほどかけがえのないものだったことか。こどもたちには感謝しかない。


※上の画像の内、英語のペーパーバック版は出番が少なかった初代 KATY で、日本語のハードカバー版はご寄贈いただいた2代目けぃてぃーです。改めて感謝申し上げます🙏