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春待つ絵本棚より

春待つ絵本棚より『はなをくんくん』につづいて、さらに2冊をご紹介♬

まず、森に春が訪れる様子を息をのむような写真で綴った絵本『だって春だもん』から。 

小寺卓矢 写真・文 『だって春だもん』(アリス館、2009年)

もりは つめたい
ゆきのなか
うごくものは ない
すべてが しんと
こおりついて
しまったよう
でもーー
ほら きこえる
とつ とつ とつ・・・

だって春だもん』より

静けさの中に雪解けの水の音が聞こえてくるかのよう。

一方、こちら『ふゆめがっしょうだん』は賑やかな声と笑い声が聞こえてきそう。

冨成忠夫、茂木透 写真・長新太 文 『ふゆめがっしょうだん』(福音館書店、1986年)

みんなは みんなは きのめだよ
はるに なれば はが でて はなが さく
パッパッパッパッ

『ふゆめがっしょうだん』より

長新太さんの詩は木の芽に向かって語りかけているようでありながら、同時に読み聞かせに耳を傾けているこどもたちにも向けられているように感じられる。
いろんな顔をした木の芽があるように、こどもたちもいろいろ。
「みんなすてきねえ」といわれて喜ぶ笑顔が目に浮かぶようだ。

この絵本を初めて読んだ時、幼い息子と一緒に冬芽を探しに公園に出かけた。
「あ、ここにも!」「こっちも!」と喜んでいた姿を思い出す。

顔にみえるところは、実は、落葉した葉の柄がついていた跡です。その中に、目や口のようなもようがありますが、これは葉に養分を送っていた管の断面です。この顔の上にある、円形や円錐形をした部分、これが冬芽で、これから葉や花になるものが中に小さくたたまれていて、春をまっています。

ふゆめがっしょうだん』あとがき「おとなのかたへ」より