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#142 試験合格のために相続放棄の効力だけは押さえたい

令和4年の相続放棄の申述の
受理件数は260,497件でした。
(参照:令和4年 司法統計年報 3家事編

令和4年の死者数は約150万人なので、
かなりの割合で相続放棄をしていることが
分かります。

そんな「相続放棄」については、
民法938条~940条に書かれています。



代襲相続が発生?…

相続放棄の問題としては、
・代襲相続が発生するのかどうか
・「相続の承認」との兼ね合い
・相続開始前の放棄
などいくつか理解しなければなりませんが、
最も押さえなければならないのは
887条2項と939条になります。

(子及びその代襲者等の相続権)
第887条
 
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

(相続の放棄の効力)
第939条
 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

相続放棄は代襲相続原因ではないこと
(887条)、「相続の放棄をした者は、
その相続に関しては、初めから
相続人とならなかった
」こと(939条)、
この2つにより放棄した相続人の子は
代襲相続することはできません。

相続放棄に関しては、この1つだけを
覚えておくだけで、大体の問題に
対応可能です。


10年に1度の出題頻度…

第四章 相続の承認及び放棄では単純承認、
限定承認についても問われたことが
ありますが、確実に押さえておきたいのは
923条のみです。

(共同相続人の限定承認)
第923条
 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

限定承認は共同相続人の全員が行う、
ということが条件になっていますが、
相続放棄をした者がいた場合、先ほどの
939条の適用により、残りの共同相続人の
全員が行う形で限定承認ができる、
ということになります。

このことが過去に複数回問われています。

939条の「初めから相続人とならなかった」
ということが理解できていれば、なるほど
と思えるところですが、模試などで
ある程度、慣れておく必要はありそうです。


まとめ

第四章 相続の承認及び放棄は
915条~940条までありますが
相続放棄の問題で聞かれるのは
ほとんど939条がらみです。

ですが、単純承認や限定承認について
定義を完璧に覚えるまではいかなくても、
ある程度は理解しておかないと、
「限定承認」という単語に拒否反応が
出てしまいます。

平成24年に相続の承認の問題が出題
されていますが、広く浅くしか勉強して
いない状態では、太刀打ちできない
問題になっていました。

平成24年問題のレベルに対応できるように
ならなければ!と意気込むのは、Cランクの
問題を解けるようになるぞ!と同じこと
なので、「広く浅く」は貫いた方が良い
と思います。

「相続の承認」は全体像を理解や整理を
しつつ、939条がらみの問題で正誤判断を
して、正解を導けるようになりたいです。

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