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「保護犬」の選択肢に光を当てたい #いい部屋ペット

プロフィール
金子志緒/ライター・編集者
レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、雑誌、書籍、Webの制作に携わる。主な取得資格は愛玩動物飼養管理士、防災士、いけばな草月流師範。甲斐犬のジュウザに続いてサウザーを迎え、おもしろおかしく暮らしている。
ブログ:https://www.shimashimaoffice.work

犬を飼うときの選択肢としてはペットショップやブリーダーが7割以上を占めていますが、近年は「保護犬を迎える」という選択肢も注目されています。

今回は保護犬に焦点を当てて、「ペットとして迎える方法(譲渡のしくみ)」や「保護犬を迎えた方の日々の暮らしのエピソード」などを詳しく紹介していきます。


飼育放棄や迷子で…「保護犬」が生まれてしまう背景

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保護犬とは、自治体の動物愛護センター(保健所)や民間の動物愛護団体に保護されている犬のこと。純血犬種や雑種(MIX)、子犬から老犬までさまざまです。個人のボランティアが預かっていることもあります。いずれも飼い主がいない(もしくは不明、迷子など)の犬たちで、その理由は主に以下の4つです。

・飼い主が飼育放棄した犬
飼い主が何らかの理由でペットの世話ができなくなって放棄した犬です。犬が増えすぎて世話ができなくなって放棄する「多頭飼育崩壊」という状況もあります。

・ペットショップやブリーダーが飼育放棄した犬
ペットショップやブリーダーが飼育放棄した犬で、純血犬種が多くを占めます。主に繁殖できなくなった犬(繁殖引退犬)や、何らかの事情で販売できなかった犬など。犬が増えすぎて世話ができなくなって放棄する「ブリーダー崩壊」という状況もあります。

・迷子の犬
災害などで家族と離ればなれになったり、何らかの事情で家から脱走したりした犬です。

・野良犬(放浪犬)
飼い主が捨てたり迷子になったりして放浪していた犬です。この野良犬同士が繁殖して子犬が生まれることもあり、雑種(MIX)が多い傾向にあります。

これらの犬たちが自治体の動物愛護センター(保健所)に持ち込まれたり収容されたりすると、かつては一定期間をおいて殺処分となっていました。近年の「殺処分ゼロ」を目指す活動により、平成29年度の犬の殺処分数は10 年前と比べて12分の1にまで減っています。

※犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況より
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html


飼い主募集サイトや譲渡会で出会える

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保護犬は、自治体の動物愛護センターや民間の動物愛護団体などで暮らしながら、新たな飼い主を待つことになります。

保護犬を迎える(譲渡してもらう)条件は、自治体や動物愛護団体によって異なります。自治体では事前に「譲渡講習会」に参加し、犬の飼い方について学ぶ必要があるケースが増えています。動物愛護団体では新たな飼い主に対して譲渡の条件や、譲渡までの保護犬の医療費などの支払いを定めていることが大半です。

飼い主を募集している保護犬の情報を見られるサイトや、保護犬に出会える譲渡会について以下にご紹介します。

※平成30年 全国犬猫飼育実態調査(ペットフード協会)より
https://petfood.or.jp/data/chart2018/11.pdf

・保護犬情報サイト
環境省では、各地の自治体の動物愛護センターに保護されている犬の情報を一括で検索できる「収容動物検索情報サイト」を公開。各動物愛護団体もそれぞれの運営サイトで情報を公開しています。連絡後、センターや団体まで足を運べば保護犬に出会えることもあります。

・飼い主募集サイト
犬を飼えなくなった飼い主や、保護犬を預かっている動物保護団体、ボランティアが、新たな飼い主を探すために「飼い主募集サイト」で情報を公開しています。

・譲渡会
自治体や動物愛護団体が主催する譲渡会では、実際に多くの保護犬に会うことができます。定期的に開催されていることもあれば不定期の場合も。事前に情報を確認していきましょう。猫を飼うときに保護猫を選ぶ方が増えていますが、保護犬はまだ猫ほど広まっていません。もっと当たり前の選択肢になればと思います。


保護犬と暮らして幸せ! 3つのエピソード

実際に保護犬を迎えた家庭のエピソードを紹介しましょう。出会ったきっかけや、現在の日々は……?

①工場の前で倒れていたMIXを保護/mitsuru177cmさん

5年前、工場の前に倒れて動けなくなっていたMIX犬に出会ったmitsuru177cmさん。職員さんが保健所に連絡しているところでしたが、「近所の犬かもしれないので」と話して家に連れ帰ったそうです。首輪やマイクロチップがなく、迷子の届け出もなかったため、mitsuru177cmさんが“ペコ”と名付けて迎えました。保護されたときとその後の「ビフォーアフター」にはびっくりです!

すでに愛犬となっていた先輩犬の“グーフィー”は「若い娘が来た!」と若返ったとか!ペコは次の後輩犬の“ひまわり”のお姉ちゃんとしても仲良くしています。

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ビフォー

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アフター


②2頭の保護犬と楽しい日々/toto_kichiさん

トイ・プードルの“トト”と、マルチーズの“りり”と暮らしています。トトは飼育放棄によりボランティアさんに保護された犬でした。toto_kichiさんが友人の紹介で迎えることになり、楽しい日々がスタート。その後、トトを迎えられたことへの恩返しのため、引き取り手のない小型犬の里親になることを決め、SNSで里親募集を見て手を上げるようになったそうです。その中でご縁がつながったのが、繁殖引退犬のマルチーズ。引き取ってりりと命名。2頭の表情から、toto_kichiさんとの楽しい日々が伝わってきます。

③東日本大震災で放浪、今は幸せ太りが悩み/Nさん

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東日本大震災で被災し、放浪していたところを保護された“トモ”。しばらくは保護施設にいましたが、飼い主が見つからなかったため、東京都のNさんがスタッフとして働くカフェで愛犬兼看板犬として引き取りました。ご近所にも愛される存在になり、おやつもたっぷりもらって今ではすっかり幸せ太り!健康のためにダイエットに励んでいるそうです。


飼い主として犬の命に責任をもとう

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保護犬を迎えることは特別なことではなく、飼い主の誰もが経験する愛犬との幸せな日々の始まりです。これから犬を飼おうと思っている人は、保護犬も選択肢に入れてみてほしいです。

「保護犬を迎えたいけど、事情があって迎えられない」という方も、保護犬のためにできることはたくさんあります。例えばSNSで保護犬や譲渡会の情報を共有するだけでも十分。もしすでに飼い主として愛犬と暮らしているなら、改めて世話や環境を見直してみましょう。家庭で暮らしている犬も災害や脱走がきっかけで保護犬になる可能性があります。飼い主として愛犬の命に責任をもち、「愛犬を保護犬にしない」ことも大切です。

自分にできることから始めて、保護犬の幸せをサポートしていきましょう!


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