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猫飼いビギナーの私が暮らし始めた、「猫アパート」について #いい部屋ペット

文筆家・ライターの佐々木ののかです。

仕事漬けで家には寝に帰るだけという一人暮らしをしていましたが、仕事も私生活もうまくいかなくなり、「いつまでこんな生活をしているんだろう?」と思った瞬間に寂しさが臨界点に。

唐突に「猫が飼いたい!」と思い立ち、猫飼育OKの物件に引っ越しをしてから早2年。今やすっかり愛猫家となり、猫の連載を書かせていただくまでになりました。

しかし、私は、いわば「猫飼いビギナー」。右も左もわからぬ私が今も愛猫のみいちゃんと元気に仲良く暮らせている理由には、私が住んでいる「猫アパート」の存在があるのです。

引っ越し先は、ハートウォーミングな猫アパートだった

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「猫が飼いたい!」と思ったのは、2017年11月のことでした。不動産が動きにくく、ペット可物件を探すのも難しい時期。それでも必死に探して一人で外観を観に行き、滲み出るハートウォーミングさに一目惚れして内見もせずに決めたのが、世田谷区にある現自宅です。

築50年と古いものの、ペット可物件のわりには家賃が安いのも個人的には好条件でしたが、住んでみてわかったのは、アパートに住む人たちだけでなく、同じ区画に住む大家さんも大家さんの妹さんも猫飼いだったこと。

住人さんに会えば挨拶代わりに「猫ちゃんは元気ですか?」「お宅の猫ちゃんは?」などとお互いの猫について自然に立ち話をします。夏の暑い夜に窓を開けたときは、猫を抱いて窓辺でビール片手に夕涼みするお隣さんと目が合ったことも。

おまけに、大家さんの孫世代にあたる私に親身に接してくださって、家に招いてお茶を淹れてくれたり、LINEを交換したり。まさに求めていた以上のハートウォーミングな、猫屋敷ならぬ“猫アパート”に引っ越すことができたのです。

愛猫との出会いも猫アパート前で

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実は、今一緒に暮らしている愛猫・みいちゃんとの出会いも、猫アパートがもたらしてくれたものでした。

猫飼育可能なアパートに勢いで引っ越したのはいいものの、肝心の猫に出会えていなかった私。当時は独身だったので、里親募集や譲渡会が課す条件をなかなか満たすことができません。かといって、ペットショップで購入つもりはなかったので、どうしようと途方に暮れていたのです。

そんなある日、ドアを開けて外に出ると、ペルシャ猫を抱えた大家さんの妹さん(ペルシャ婦人と呼んでいます)と、1匹の雑種の猫が戯れていました。私が外に出ていくと、人見知りもせずに足に頬ずりしてくる人懐こい猫。

思わず「かわいい…」とつぶやくと、「そういえば、あなたまだ猫を飼っていないわよね。この子うちに毎日来る野良ちゃんなのよ。欲しい?」と婦人。

「いいんですか」と聞くと「ちょっと待ってて」と言い、いそいそと家の中に入っていきます。戻ってきた婦人は猫用のカゴと袋いっぱいのキャットフードを抱えていて、先ほどの気品のある穏やかな所作からは想像もできないほどの迫力で猫をゲット。呆然とする私に「はい」と、猫とカゴ、キャットフードの山を手渡してくれたのでした。

「猫のことでわからないことがあったら何でも聞いてね」

そう言って、自宅に戻っていったペルシャ婦人。猫アパートの恩恵を受け、私とみいちゃんの生活は始まったのでした。

世田谷ニャンニャン包囲網で愛猫救出

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みいちゃんが外に逃げ出してしまったときも、猫アパートの住人たちの愛あふれるサポートをしてもらいました。私が半泣きでみいちゃんが逃げてしまったことを伝えに行くと「警察に届けを出すこと」と「張り紙をすること」を勧めてくれた大家さん。

加えて、「まだ近くにいるだろうから、私たちもご飯を置いて猫ちゃんが餓死しないように努めるわ」と言い、家の軒先にキャットフードと水を置くよう、猫アパートの住人たちにもお願いしてくれたのです。

また、地域のつながりがある大家さんは近隣の方にも、みいちゃんの失踪を知らせてくれていたようで、私がポスターを電柱に貼っていると「○○さんから聞いたわよ。見つけたらすぐに連絡するからね。私も猫を飼っているから他人事じゃないのよ」と声を掛けられたときは、思わず涙ぐんでしまったのを覚えています。

結局、翌日にみいちゃんは自ら逃げ出した庭に戻ってきてくれましたが、私が差し出すキャットフードに全く手をつけません。そのときはかなり心配しましたが、後日大家さんにお礼を伝えに行くと、区画に置いてあったすべてのキャットフードが空になっていたとのこと。人の心配もよそに現金な猫です。でも、帰ってきてくれて本当にありがとう。

生活は猫に、猫との生活は猫アパートに支えられている

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みいちゃんと暮らし始めて、もうすぐ2年。いろいろなことがありました。私が泣いていると、みいちゃんがそろりそろりと寄ってきて強めの頬ずりをしてきてくれます。そうして、私が泣き止むといつもの場所に黙って戻っていく老猫のみいちゃん。そうかと思えば、私が台所に立つたびに様子を見に来てご飯をせがむ無邪気なみいちゃん。私がベッドに横になると「撫でろ」と言わんばかりに私に身体を添わせて寝転ぶみいちゃん。

私がうれしいときも、かなしいときも、イライラしているときも、生活をともにしてきたみいちゃんの存在は他の何物にも代えられません。

そして、みいちゃんのことで何か困ったことがあったとき、相談できる猫アパートの住人たちがいなければ、猫飼いビギナーの私が安心してみいちゃんと暮らしていくことはできなかったでしょう。

先日、家の更新時期を知らせる封書が届き、更新の書類にサインをして返送しました。私はみいちゃんとお別れする日まで、この猫アパートでみいちゃんと、愛すべき猫飼いの皆さんと一緒に暮らしていくつもりです。

写真=中村至宏


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