「ペットの防災」を考える。犬と暮らす防災士が命を守るために備えていること #いい部屋ペット
2019年は各地で地震や台風による被害が起きました。防災の大切さを改めて意識した方も多いのではないでしょうか。ペットの飼い主さんは、日頃から自分とペットのために備えておきたいですよね。とはいえ「何を準備すればいいのかわからない」という方もいるのでは?
今回は皆さんと一緒に「ペットの防災」について考えてみたいと思います。犬の飼い主であり防災士でもある筆者の備えも、参考までに紹介しましょう!
ペットのための災害対策をしている人は50%
※ペットのための防災対策に関する調査(アイペット損害保険株式会社)
少し前の2018年に行われたペット保険のアイペット損害保険による調査では、災害を想定した対策を行っている家庭が50.6%。猫よりも犬の飼い主さんのほうが備えていることもわかりました。2017年の調査に比べて対策をしている人が減っています。災害の起きない時期が長く続くと、だんだん気が緩んでいくのかもしれませんね。
同調査では、ペットのために備えているものは、フードや飲料水が最も多く、次いでトイレ用品(猫砂を含む)でした。その他リード、ケージやクレートなどです。環境省から「ペット同行避難」が推奨されている今、いずれも避難や避難生活に必要な防災グッズといえるでしょう。実はグッズよりも必要な備えがあることを知っていますか?
本当に大切な防災は「自分の命を守ること」
非常食や飲料水を備えておくことも大切ですが、防災において最優先するべきは「自分の命を守ること」です。まずは飼い主さんが生き残らなければペットも救えませんよね。筆者も実践している備えを紹介しましょう。
・地域の「ハザードマップ」を確認する
自治体が公表している地域の「ハザードマップ」で、自宅や周辺の危険を確認することが重要です。災害の種類や規模に応じて想定される被害や避難所の情報が掲載されています。
・地震に備えて家具の転倒防止を行う
自宅の家具の転倒防止対策など、できる範囲で自宅を安全な場所にしておきます。
・避難場所や避難方法を確認する
自宅から近くて安全な一時避難場所や避難所を確認しておきましょう。ただし水害などでは避難するのが遅れたら、無理をせず自宅の上階へ避難したほうがよいケースも。ハザードマップを参考に確認することが重要です。
・「防災館」や避難訓練で災害を体験する
地域の防災館や避難訓練では、地震や火事などの災害を体験することができます。いざというときあわてないように、体験しておくのもよい方法! 筆者は愛犬と一緒に起震車に乗ったこともあります(ストレスに弱いペットは避けてください)。
ご近所付き合いやしつけがペットを守る
飼い主さんの安全の延長線上にペットの防災があります。続いて日頃からペットのために主に備えておきたいことを紹介します。
・ペットに首輪をつけ、鑑札や迷子札を装着する
犬は首輪に鑑札、狂犬病予防注射済票、迷子札を装着。猫は首輪に迷子札をつけます。近年はマイクロチップの挿入もすすめられています。
・ペットの居場所の安全を確保する
ケージやサークルをガラス窓や背の高い家具から離して置き、安全を確保しましょう。屋外飼育で係留している場合は、塀から離れたところにします。
・給水器を複数置く
ペットの種類によりますが、飲み水がなくなると数日で命の危険があります。地震でこぼれたときに備えて給水器を多めに用意しておきましょう。
・家族や友人、ご近所で災害について話し合う
飼い主さんが不在のときに災害が起きるかもしれません。いざというときにペットを託せるように、家族や友人、ご近所の方と災害について話し合いましょう。
・クレートやケージで外出に慣れる練習をする
避難するときに使うクレートやケージにペットを入れて外出する練習も大切。避難所に入所する場合は必須です。
・(犬の場合)吠えたり怖がったりしないしつけを行う
避難所では犬の吠えが問題になりがちです。避難所生活を想定している場合は、いろいろな人や動物、物事に吠えたり怖がったりしないしつけを行います。
「ペット同行避難」ではなく「在宅避難」をする
もし自宅が安全であれば、ペット同行避難ではなく「在宅避難」を選ぶのも一つの方法です。避難所は入所できる人数に限りがあるため、在宅避難を推奨する自治体が増えてきました。まずは地域のハザードマップや自宅の耐震性などを確認して、自宅の危険度をチェックしてください。
住み慣れた家で過ごすほうが飼い主さんもペットも落ち着けるでしょう。場所が変わることに強いストレスを感じるペットもいれば、爬虫類や魚類のように自宅から連れ出すのが難しいペットもいるからです。猫は隠れて出てこないケースも珍しくありません。
ただし、危険な状況ではただちにペット同行避難してください。すぐにペットを連れ出せない場合や、飼い主さん自身の安全が確保できない場合は、ペットが自宅から出て迷子にならないように戸締りをして、3日分程度(多めに用意したほうが無難)のフードと水を置いて先に避難しましょう。
自宅の安全が確認できたら帰宅し、在宅避難をするか同行避難をするか、状況に応じて考えましょう。
備蓄品は優先順位を決めて「非常用持ち出し袋」へ
避難するときに素早く持って行かれるように、「非常用持ち出し袋」を用意します。優先順位の高いものから持って避難しましょう。優先順位の低いものは無理をせず、安全が確認されてから取りに帰るのがおすすめです。
■生活必需品
・フード(特に療法食)、常備薬、飲料水を3日分程度、持ち出せる余裕があれば7日分以上
・クレートやケージ(猫は念のため洗濯ネット)
・トイレ用品(ペットシート、トイレ砂、消臭スプレー)
・ビニール袋(消臭機能つき)など
■ペットの情報
・健康状態、かかりつけの動物病院、混合ワクチン接種の履歴
・ペットの防災手帳(ペットの写真や飼い主の連絡先をまとめた手帳)など
■ケア用品
・タオル
・ウェットティッシュ
・おもちゃ
・食器 など
飼い主が留守のときに災害が起きたら……?
飼い主さんは外出先で災害が起きたときに備え、電車に乗っているとき、ビルの中にいるとき、地下街を歩いているとき……と、さまざまな状況をシミュレーションしておくことが重要です。
災害が起きてから、「ペットが心配だから」と無理に帰ろうとして二次災害に遭うよりも、落ち着いて避難場所などに避難することが大切だと思います。状況が落ち着いてから帰宅しましょう。
筆者は交通機関が利用できない場合に備えて「帰宅支援マップ」を用意。そのほか懐中電灯、ホイッスル、モバイルバッテリー、絆創膏などもまとめてポーチに入れ、「防災ポーチ」として持ち歩いています。何が起きるかわからないからこそ、できる限りの準備をしているつもりです。
飼い主の皆さんもペットの防災を見直してみてくださいね。2020年もペットと元気で過ごせるように、しっかり備えておきましょう!
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