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住宅購入の頭金、入れるべき?目安は?


※この記事はNewsPicksトピックス「ロジカル不動産」で連載された過去記事を引用しております。最新記事はこちらからお読みください。

ロジカル不動産

以前、マンション購入のススメを投稿しましたが、では実際に買うとなった時の頭金どうすべきか質問も頂いたので解説します。
結論から先に伝えるスタイルでいくと、「頭金は(ローン条件が悪くならない限り)、少ない方がお得」です。
だよね。(ニヤリ) と思う人は金融リテラシーが高いですね。どういうことだね、ということで、順をおってみていきましょう。

頭金とは?払う理由

そもそも頭金とは、
物件購入時に、物件価格に当てるために、ローン以外で払うお金」のことを指します。
よく混同されがちなのが、「購入諸費用」です。購入諸費用は、物件価格ではなく、購入に当たるまさに諸費用なので、これは払う必要がありますし、これは頭金ではありません。いろいろケースがありますがおおよそ物件価格の約5-7%ほどかかります。
例えば、5000万の中古マンションであれば諸費用役350万。これを、諸費用を払った上で、5000万のローンを借りるのではなく、500万現金で払って、4500万円のローンを借りる。この500万が頭金になります。
ではなぜ頭金を払うことがあるのかというと、以下3つの理由・メリットがあります。

  1. 月々の返済額が小さくなる

  2. 住宅ローンの金利が変動する

  3. 金融機関の審査に通りやすくなる

1はご想像の通りで、借りるローンが減るので、その分月々の返済額が減ります。100万円を頭金に入れると、約2823円の月々支払の差が出ます。(金利1%35年固定で計算)
ローンは複利なので、100万の違いでも例えば4900万と5000万のローンでは35年計算で18.5万円、総支払金利は変わってきます(金利条件同)
この月2823円、35年で18.5万円の違いをどう見るか、、は後ほど解説しましょう。
2.住宅ローンの金利が下がる
銀行はもし借り主が毎月払えないとなってしまったら、物件を売却してローンを回収します。その際に、いくらで売れるかが大事ですが、頭金が入っているということは、物件価格に対して借入が小さいので、全額回収できる可能性が高まりますね。つまりはリスクが低いということで、金利が安くなる力学が生まれます。
代表格がARUHIフラットで、こちらの図のように、頭金を入れるほど、金利が下がっていく傾向にあります。

出典:ダイヤモンド不動産研究所:住宅ローンの頭金の目安はいくら? 頭金のメリット額もシミュレーションで計算!


ただ、すべてのローンがそういうわけではなく、特に今主流に利用されている変動金利については、すでに安いということもあり、上記のフラット35ほどの金利割引はありません。
むしろ、最低金利が頭金がないとでないが、XXX万円頭金を入れてくれたら最低優遇金利が出せる、という話になったりします。
3. 金融機関の審査に通りやすくなる
こちらは先程お伝えしたように、銀行側のリスクが減るため、そもそも満額は借りられない。という場合に、頭金を入れることで、ローンが組めるようになる。というケースも存在します。

頭金目安、みんなどれくらい入れているの?

気になりますよね。実態はこちら。

出典:住宅金融支援機構:住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2022年4月調査)】


ちょっと見づらいですが、どの金利タイプであっても、融資率90-100%が最多数。つまりは頭金を0-10%入れている人ということですね。100%も含まれていると考えると、入れてない人がほとんどかと予想ができます。その次が80-90%以下。10-20%ということ。
100%超とはなんだ、と思うかもれませんが、これは購入諸費用も一緒に借りる諸費用ローンというものがあり、それを使って借りているケースになります。
またこう眺めると、変動型の人のほうが頭金を入れない傾向にあることも見えますね。これは先程伝えたフラット35の金利優遇を受けるために固定型の人ほど入れる傾向にあるということでしょう。

頭金に関する注意点

何故か昔の人ほど、不動産を買うのに頭金は必須、、という考えを持っていますが、今は頭金なしで買うことが一般化してきました。
一方で、頭金なし=購入時にお金がいらない、というわけではないのに注意です。先程伝えた諸費用は借りれるんですが、基本的には現金で払うことを私は勧めています。理由は2つで、1つは諸費用は不動産価値ではないため、そこに対する金利は住宅ローンに比べて高くなることが多いです(住宅ローン金利で諸費用も借りられるケースもあります。それは嬉しい)。
もう一つあ、購入時に必ず手付金というものを一時的に支払う必要があります。これは不動産価格の5-10%が相場ですが、これは契約から決済までの間の保証金となり、結果的に帰ってきます。帰ってきた金額を諸費用に当てることが多いですが、この手付金はどうしても借りられない。手付貸与の禁止といって、不動産会社側も貸してはいけないと決まっており、これはどうしても現金で必要なので、住宅購入も今は頭金無しで買えるんだ!と思っていて手付金が必要と知ってびっくり、、とならないように注意しましょう。

さて。頭金はどうするのがいいの?

だいたいわかったよ。という感じかと思いますが、ではおすすめは何なのか。
これは、頭金無しではできる限り入れないほうが得。というのが正解です。
何故か。大きな理由は、今はローン金利が低いから。につきます。
例えば今500万円手元にあり(諸費用を払った上でも残る自由に使えるお金)、これを頭金に入れるかどうかを悩んでいるとします。物件価格は5000万円。4500万のローンを組むか、5000万のフルローン(頭金を入れないローンをのことをフルローンといいます)にするか、悩みます。また、頭金にしない場合、500万を口座に入れておくのはさすがに勿体ないので、運用をするとします。ここで何数字を使うのかが難しいですが、税引き後利益で年利1.5%で回るものとします。
すると、以下になります。35年は遠いなぁと思う人用に、10年バージョンも用意しています。
※頭金が減ると、ローン手数料が安くなるので(2.2%分)考慮しています。
※住宅ローン控除は考慮していませんが、このケースでは影響を与えません。


直感的にわかりやすいようにグラフにするとこう。

もちろんこれは、金利条件・利回り条件によって変わってくる。運用と聞くと、リスクもあるじゃないか!となりますが、それを踏まえて実質利回りを何%と置くかはほぼ価値観です。
上記のシミュレーションは大きく常識を逸していない、なんなら利回りは控えめかもしれません。
逆に言えば、金利が高い場合は、頭金を入れた方がいい。
例えば、投資物件のローン金利は2%台になるので、その場合はおおよそ2.5%以上確実に利回る自信がない限り、頭金を入れた方がいいとなりますね。
また、起こり得るかつもったいないのが、頭金を入れてしまったばっかりに、なにか突発的な支払いが対応できずに、生活費ローンを借りないといけなくなってしまう場合。5%以上の金利になるため、それこそもったいない。頭金入れるとしても十分な余剰資金で入れるようにしましょう。

繰り上げ返済はどう?

とはいえ、月々の支払いが減るのはいいことです。頭金は運用に回せと言われたけどそれもハードルが高い。そんなときのために取れる手段が繰り上げ返済。数十万からでも、このお金は余剰だな、、と思ったときに繰り上げ返済することで支払総額をへらすことができます。が、そのお金も基本的には運用に回したほうが得になることが多いですが、確実に、という場合はこの方法。銀行によって、繰り上げ返済の手数料があったりなかったりなので、それは確認しましょう。最近のネット銀行ではだいぶ無料のところが増えてきました。いいことですね。
ということで、本日はローンの頭金について解説しました。
ローン・資金計画は極めて重要。ほしいから買う、だけじゃあうまくいかないことがあるのが不動産購入。数千円の違いは気にして生きているのに、住宅購入となると100万円単位の話になるとよくわからなくなってしまう人も多いですが、上記のシュミレーションのように数十万以上の差がつくことが大いにあるので、ぜひ慎重に、情報収集をし、よきパートナーと相談しながら住宅購入を進めて下さい。

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