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エアコンからバジルへのリインカネーション(後編)

(前回までのあらすじ)
自動おそうじ機能がアシュラマンの高笑いと共に止まり、水漏れも止まらない我が家のエアコン。
考えられる対策、手立てを講じたが改善はせず、残された手段は、メーカーに頼ることだけだった――。

まずは、説明書に記載されていた「エアコンご相談窓口」にかけて(当然待たされる)、オペレーターにかくかくしかじかと症状を説明。

オペレーターの女性はなんか弱気で、説明もたどたどしくて回りくどい。「申し訳ありません」「お手数ですが」を連発していたのが印象的だった。
そこに気を取られ、やり取りの詳細は忘れてしまったが、要約すると「一旦コンセントを抜いて5分待って差し直せ、それで2、3日様子を見てね」というものだった。

言われた通りにコンセントを抜き、5分待ってから差し直し、試しに自動おそうじ機能を動かしてみた。
アシュラマンの高笑いの後、程なくリモコンに「診断H51」が表示されただけだった。
水漏れも止まらなかった。

2、3日どころか、30分もたなかった。

もう、修理しかない。

また電話するのもしんどかったので、今度はメーカーサイトで修理見積もりを出してみた。
今は便利なもので、ナビの質問に回答しながら症状を絞り、そこから修理料金の目安を出してくれる。

オペレーターの仕事はすでにAIに奪われつつある

料金の幅でかすぎん?

最大値もなんか……高い。
勘で2万ぐらいかなとは思っていたが、最大91,000円はためらう。
値上げしたプレステ5より高いではないか。
何なら、新しいエアコン買った方が良い気がする。
これに、動かない自動おそうじ機能の修理も加わったら一体どうなるのか。

猛暑なのに震えた。

奥さんにも相談したところ、水は出るが肝心の冷風も出ているので、秋まで様子を見るという結論になった。
壊れたら、その時考えよう。

……という風に到ったのが7月末。
その後も、エアコンの自動おそうじ機能は、たまに動かしてみるもののアシュラマンの高笑いがうるさいまま、水漏れは止まらぬままで現在に到る。

水漏れについては、今も1日3回、毎回3~4リットルぐらいの水を捨てている。
計算では1日10リットル強ぐらいの水が出ていることになる。

9月に入ってグッと減ったが、涼しい日が増えて、エアコンを切っている時間も増えたからだ。

もはや、我が家のエアコンは水源。
水を無から生み出す機能を獲得するに到った。
アジアとかアフリカとか暑い地域の井戸がない村に持っていって、バッテリーに繋いで動かせたら、生活用水として喜んでくれるかもしれない。

そう考えると、毎回ただ捨てるのが何だかもったいなくなってきた。
しかし、これといって有効な使い道は……あった。

ベランダで育てているバジルにあげることにした。

バジルの水遣りは毎日しているが、これまではじょうろをキッチンまで持っていき、水を汲んで、こぼさないようにベランダまで持っていくというひと手間が必要だった。

それが、バケツに溜まった水をベランダへ流す前に、じょうろに補給しておくだけで済む。
水遣りが手軽になった。

冷気と引き換えにエアコンから生まれた水は、バジルの栄養として転生するのだ。

クーラーに育てられたバジル

おかげさまで、今日も我が家のバジルは豊作です。


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