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ライターとしてこんな記事を書きたいと思った「アル」の記事5選【2020年版】

マンガに関する記事を書くのは本当に難しいです。

2020年5月にマンガサイト「アル」のライターに採用していただき、マンガに関する記事を今年は40本以上書いてきました。

書いた記事はこちらです。↓

マンガの面白さを文章で伝えることの難しさに直面した1年でした。「自分の記事は本当に価値があるんだろうか?」なんてことを思い続けています。

アルの他のライターの方々の記事はなるべく読むようにしているのですが、「うわっ!この記事すごい!」と何度も思わされ、自分の力不足を実感してきました。

そこでこの記事では、2020年に公開されたアルの記事の中で「マンガライターとしてこんな文章を書きたい!」と強く思った記事を5記事、ご紹介していきます!

マンガのレビュー記事を書いている方々の参考になればと思います!

①『外天楼』レビュー記事 / もり氏さん

1巻完結の『外天楼』を、読者の感情に寄り添いながら作品の魅力を伝えたレビュー記事です。

『外天楼』を読んでいると、自分は一体何を読んでいるのだろう?と、作品の世界に迷い込んだ気持ちになります。穏やかで平和なメリーゴーランドに乗っていたつもりが、気づけば急激な傾斜に身体ごと持っていかれる、ジェットコースターさながらのとんでもない重力を浴びせかけられます。

マンガを読んだ時の感情を、作品を読んでいない人に伝えるのはものすごく難しいです。しかも1巻完結のマンガであれば、ネタバレを避けるためにあまり内容に深入りすることができません。

そんな難しいハードルをこの記事は華麗に乗り越えちゃっています。

『外天楼』の複雑な物語構造、急転直下な展開、読者の驚きの感情、それらを「ジェットコースター」に喩え、未読の人にも作品の魅力を分かりやすく伝えています。

分かりやすい表現で読者を誘導して、作品の深みを垣間見させてくれる記事です。

<もり氏さんの他の記事はこちら>

②『圕の大魔術師』を人類史と比較して読み解く / by みじんこさん

圕の大魔術師』の物語を、現実世界の人類史と対比して読み解いた記事です。

民族の違いは言語や服装、文化だけでなく、習慣にも表れていて、たとえばラコタ族という一族は親しい者同士では舌を出して挨拶する習慣があります。同様の挨拶が私たちの世界ではチベットにあり、チベットの人たちは舌を突き出して挨拶するんですね。

「チベットの挨拶の風習」など世界の文化を知っていなければ書けない記事です。造詣の深さがスゴイです。

さらに、作品世界を現実世界とリンクしてくれることで、作品世界の現実味が増して、世界観により興味を持つことができます。この記事を読むことで『圕の大魔術師』の壮大で緻密な物語がより鮮明に感じるようになりました。

読者の知的好奇心を刺激しながら、作品の解像度を高めてくれる記事です。

<みじんこさんの他の記事はこちら>

③『BEASTARS』最終回ニュース記事 / midoriさん

『BEASTARS』が最終回を迎えることを取り上げたニュース記事です。

この記事では『BEASTARS』が最終回を迎えるニュースを伝えるだけではありません。現実世界との相違点や作中の対立構造を解き明かしながら、作品に内包された重要な視点を読者に気付かせてくれます。

決して覆らない「肉食獣と草食獣」の「捕食者と被食者」という動物社会ならではの世の中の対立構造や歴史。種族ごとの特性や身体の大きさ、生態に合わせて構築される様々な仕組み。社会が抱える問題は、この世界特有のもの。我々の世界とは決定的に異なる部分が丁寧で綿密に描かれています。

『BEASTARS』を読んだ時、ライターとしてのもどかしさを感じました。「『BEASTARS』ってめちゃくちゃ奥深い気がする。けれどそれをうまく言葉で表現できない…。」と。

この記事は、そんなもどかしさをズバッと言語化してくれて、さらに新たな気付きを与えてくれました。どうしたらこんな記事が書けるんでしょうか?

<midoriさんのTwitterはこちら>

④【マンガの面白さを知り尽くす4週間】連載記事 / ちゃんめいさん

2020年の春に掲載された【マンガの面白さを知り尽くす4週間】という連載記事の最後を飾った記事です。連載記事では、「王道マンガ」・「恋愛マンガ」・「クラシックマンガ」を取り上げ、最後の記事として「注目の最新マンガ」を紹介しています。

注目の最新作として10作品を紹介しているのですが、あらすじだけでなく、読んだ時の魅力やこれからの期待など、読んでいるからこそ書ける内容を10作品もれなく書いています。

しかも、「なぜ今この時代において、この作品が注目されているのか?」という時代性を取り入れているのがこの記事の特徴です。

今までの王道マンガの主人公にはそんな一種のスター性があったように感じます。

ですが、新時代の王道マンガの主人公は違います。才能も無く平凡だったり、私たちが未曾有の新型ウイルスに大きな不安を抱えて弱音を吐いてしまうように、同じように悩んでいるのです。

けれど、そんな"自分を受け入れた上で自分ならではの闘い方を知っている"それが新時代の王道マンガの主人公たちだと思うのです。

社会の変化や人気マンガの変化にアンテナを張り続けていないと書けない記事です。こういった時代性に着目した記事を書けるようになりたいです。

<ちゃんめいさんの他の記事はこちら>

⑤「MANGA Day to Day」総括記事 / 旅するタコさん

漫画家のリレー企画として始まった「MANGA Day to Day」の100日間を、毎日記事で紹介し続けた旅するタコさん。最後に公開されたのが、企画全体の総括記事です。

100日間に公開された作品をまとめるだけでも大変なのですが、この記事はただのまとめ記事ではありません。それぞれの作品に込められた作者の祈り、読者が受け取った想い、温かい空気がTwitterの世界に広がっていく瞬間を、この記事は記録しています。

「MANGA Day to Day」の企画と一緒に100年後も語り継がれる偉大な記事だと思います。

<旅するタコさんの他の記事はこちら>

答えのないプロセスに来年も挑戦したい

マンガの記事を書くことは、「マンガの世界で見つけた自分なりの発見を、加工して読者に伝えることで、読者の気づきに貢献する」行為だと思っています。

このプロセスに答えはなくて、毎回試行錯誤の連続です。ただ、記事を書き続けることで、発見する視野の広さや加工する技術は少しずつ高められると思っています。

今回ご紹介したような記事を自分も書けるように、2021年も記事を書き続けたいと思います。


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