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蓑虫

ミノムシとは、ミノガの幼虫を指した名称。


幼虫時に自己防衛の為の蓑状の巣を枯葉や
枝などを利用して作るミノガの幼虫のこと。
その巣は昔の雨具の蓑(ミノ)に似る事から
蓑虫(ミノムシ)と名がつく。


ミノムシは、かつては身の回りを探せば幾ら
でもいた虫である。写真の様に枯葉や枯枝を
集め、出した糸でそれらをくっつけ、自分が
入る大きさに袋状に整えてその中で成長して
いく。


この寝袋状のモノは外敵から身を守る為には
優れた防護機能を持ち鳥類、蜂類など、一般
の幼虫や毛虫の天敵はごまんといる。だから
こそ、このシェラフ状の防御袋で身を守って
生存率を高めているのだ。昔の人が身に纏う
蓑に似る事でミノムシの名前で呼ばれるが、
英語ではバッグワーム(BAG WORM)の名
が付く。


これならミノムシは安全だと思いそうだが
上には上がいるもので、この防護壁を破る
生き物が二種類いる。


そのひとつはオオミノガヤドリバエ。寄生蝿
である。蓑の中に卵を産みつけて、その幼虫
がミノガの幼虫を襲う。この事象によって
オオミノガは絶滅を心配されるほど減少した
ものの、このオオミノガヤドリバエに対して
寄生をするキアシブトコバチによるアタック
があって、ミノガは辛うじて絶滅の危機から
脱している。


もうひとつの天敵はアリ。
ハリブトシリアゲアリ。お尻をツンと上げる
アリで子供の頃にはよく見かけた。このアリ
はミノムシの袋を食い破って幼虫を襲う。


ミノムシにとってのもうひとつの敵がある。
地球温暖化によるミノ内の温度上昇によって
ある程度の通気性を持つ仕様とはいえ、年々
世の中は暑くなっていっている。例えるなら
サウナの中で寝袋に入っている状態である。
暑さより死ぬ個体が増加するのも事実なのだ。


ミノムシは一昔前ならば子供の遊びで、ミノ
から取り出した幼虫を細かく切った折紙とか
カラフルな糸の中に入れてやるとその素材で
新たなミノを作ってくれるので子供が身近で
自然の生き物と遊べるものだったが、周りで
ミノムシは殆ど見ない。本当に減ったのだ。


ミノムシの存在すらも知らない子供達も今も
増えてきている。当たり前に身の回りにある
ものが姿を消してゆくのは寂しい限りである。


ミノムシのオスは蛹から孵化するとミノの中
から出て、メスの元へ向かう。このオスには
口はない。交尾する為だけの命で、その目的
を果たすと死んでしまう。


ミノムシのメスは蛹から孵化するも、羽も脚
すらもない。一生、このミノから出ず、オス
がやってくるのを待ち交尾を果たす。ミノの
中で卵を産んだ後に、このメスは地面に落ち
その命を終える。


なんとも儚くも悲しいミノムシの一生である。



下の写真のものは枯葉の欠片が動いてるなと
観察していて、ミノムシのまだ幼い幼虫だと
気付いた。写真では分かりにくいがこうして
ミノムシの小さな姿に見入ってしまった。


真ん中位の赤っぽい葉っぱが、トコトコ動き
止まって、またトコトコと移動して可愛い。


過去に撮影した大きなミノムシも載せておこう。


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