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雪餅草


雪餅草 (ユキモチソウ)


オモダカ目、サトイモ科、テンナンショウ属

山の中の比較的樹木の影になる部分に生える
多年生草本で、草丈は40〜60cmまでに
伸びる。春になると変わった形の花が咲く。


テンナンショウ属の植物に共通して見られる
花の特徴は仏炎苞(ブツエンホウ)という蓋付
外套を纏った状態でその中央から伸びた肉穂が
直立してるその独特のスタイルにある。


この雪餅草は外部から包み込んでいる仏炎苞と
その中から突き出た肉穂が完全無欠の純白である
もので雪の様に白い餅に見立て名が付いたもの。
この餅がなければ、食虫植物サラセニア類などと
間違えられそうな外観である。


この天南星 (テンナンショウ) 属の植物全体
にはシュウ酸カルシウムが含まれており、腎臓
障害などを引き起こす毒性物質である。同じく
危険な毒はこの植物の仲間の蝮草(マムシグサ)
浦島草(ウラシマソウ)にもある。これらも同じ
テンナンショウ属の植物である。


さて、このユキモチソウの白餅が飛び出してる
様なこの植物の奇怪なカタチには理由がある。
実はこの植物にはオバナとメバナとがあって、
樹木で雌雄を持つものは良くあるが、草本類の
ものでは珍しい事なのである。


彼等の生殖の手助けは、キノコバエ、ノミバエ
などの小型のハエ類に限定される。というのは
仏炎苞と肉穂との間の狭い隙間に入れるのは、
これら小型のハエ類だけなのである。


オバナの隙間に入ったこれら虫は、花粉まみれ
になる。そしてオバナにはこれらハエが脱出が
出来る隙間があり彼等は無事に外へ逃げ出す。
メバナに彼等ハエが入る事よりメシベに花粉が
付着し受精となり次の命へとつながる。しかし
メバナにはハエの脱出口は設けられておらずに
受粉の助けをしたハエたちは生殖の協力をして
あげながらも閉じ込められ死を迎えるのだ。


一般の植物は蜜と引き換えに、受精を手助けを
してもらうという共生関係にあるのが普通だが
この植物ではメバナのトラップで命を落とす虫
たちは恩を仇で返されるカタチで終わるのだ。


世の中には不条理な出来事がある。残念だけど
善意を裏切られる事もこの世にはある。自然の
中に浮かばれぬ魂があるのもまたひとつの教訓
なのである。




和名 雪餅草 (ユキモチソウ)
   歓喜草 (カンキソウ)
洋名 コブラリリー (COBRA LILY)
   ジャック イン ザ パルピット
   (JACK IN THE PULPIT)
学名 アリサエマ シコキアナム
   (ARISAEMA SIKOKIANUM)
分類 オモダカ目、サトイモ科、
   テンナンショウ属
種類 多年生草本
草丈 40〜60cm
開花 春
原産 日本
言葉 苦難の中での力
撮影 六甲高山植物園
写真 花、茎

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