見出し画像

並椿


並椿 (ナラベツバキ)



私は淀川区民センターの前の公園で良くランチを
する。近所のコンビニ、セブンでパスタとサラダ
とかを適当に買って桜の木の下で食べる。


いつもの様に弁当を食べてると幼稚園の年長さん
くらいの女の子がお父さんに連れられて来ていて
落椿を拾って並べている。



他の子供達は群れる鳩を追いかけ回したりしてて
男の子達はボール遊びをしている。そんな中で
小さな女の子はひとりでせっせと落椿を拾い集め
一列にちょんちょんと並べていく。なんと気心の
優しい子だろうと感心して眺めてたら列からの
余った落椿の花を私にも差し出してくれた。
私はそれを受け取った。父親は「すみませんね」
と私に頭を下げたが、気持ちの優しい女の子だな
と思った。



誰もが見向きもしない落椿へと慈愛の気持をもち
それらをちゃんと並べてあげる優しい気持ちに
何だかホロリとした。ひとりでコンビニ弁当を
喜んで食べてる私の事も多分、不憫に思ったの
かも知れない。

弁当を食べ終わり、受け取った落椿は持ち帰って
その後はシナシナに枯れたのを椿の木の根元へと
還した。心根の優しい女の子はいつかきっと素敵
なお嫁さんになるのだと思う。


コロナでの在宅弁当時代のお話である。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?