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擦々猫


擦々猫 (スリスリネコ)



食肉目、ネコ科、ネコ属の哺乳類。

全世界で犬と同様に豊富な種類がペットとして
飼われる素敵な生き物である。


犬は人との繋がりの中で、ミニオン (MINION)
の役割を果たす。ミニオンはグルーというマッド
サイエンティストの右腕である科学者の手により
バナナを改造され造られたキャラクターであり、
ユニバーサルスタジオに於いて人気のある可愛い
キャラクターである。ミニオンの言葉の意味は、
辞書をひいてみると『手下』とか『シモベ』とか
いわゆるご主人様への忠誠を誓った者を指す言葉
となっている。


小学生から大学生の時まで真っ白な紀州犬を家で
飼っていてリードを持った私の周りを駆け回って
「散歩、散歩、嬉しい散歩!」と私に千切れん
ばかりに尻尾を振ってくれた犬。女の子だった。
本当に犬は可愛くて仕方がない。


犬の場合は、狩猟のお手伝いからご主人様のお供
や家のボディガード、良き家族の一員として我々
に寄り添って生きる道を選んだ、可愛く頼もしい
生き物。である。


さて、片や猫である。
猫は犬とは全く違った立ち位置で我々人間の世界
に存在する素敵な生き物だが、彼等にはミニオン
の要素などは一欠けらも見られない。世話をして
くれるので一緒に住み、自身の欲望のままに我々
の片隅に住んでいる。指図も面倒な事も嫌いな事
は一切しない。ソファーや柱で爪を研ぎ、お腹が
空くとご飯はまだかなと擦り寄ってくる。狩猟の
お供に連れて行ったとて、蝶を追い回し、暑いと
木陰で涼み、グースカピーと眠り、ご主人の危機
の時には身を隠しやり過ごす、家に泥棒が入れば
これまた身を隠してやり過ごす。


ネコジャラシで一緒に遊んでくれるのも好奇心が
旺盛な子猫の時期だけと、まさに自由そのもの。
でも、犬同様に可愛くて仕草の楽しい大切な家族
の一員である。


実家の裏庭に生み落とされたまま育児放置されて
息も絶え絶えの子猫がいた。たまたま実家に帰り
そんな可哀想な仔猫を発見し、急いで身体を拭き
ミルクを飲ませる。せっかく生まれてきた命だし
救えるなら救ってあげたい。タオルを身包みにし
撫でてあげながらミルクを飲ませる。その甲斐も
あって一命を取り留めた。母親も可愛い可愛いを
連呼してミンキーと名付けた。そこからヤンチャ
で飛び回るは走り回るは元気いっぱいに遊び回る。


そんな子猫のミンキーは朝の来訪者と玄関先で母
が隣の人と話してる時に玄関と門扉を飛び出して
車に轢かれて亡くなった。私は家からの電話口で
玄関や門扉を開けたまま、隣と話し込んでだ事を
悔やんで悔やんで泣き続ける母親の言葉に涙した。
あのまま放置されたままなら、カラスに襲われて
亡くなったろうし、我々の愛情の中で短いながら
人に愛される事を知っての短い時間はミンキーに
とっても、多分幸せだったのじゃないかな。そう
思う。そこからはミンキーの死を悲しむ母親との
電話は連日毎晩、続いたものである。


犬も、猫も、私は大好きである。どちらも愛情を
もって接してあげるのは自身にとってもペットに
とっても大切な時間だと思う。


写真の猫は、いつもの自然探索の場で遭遇した。
グレーの毛並みが美しくて、精悍な姿の猫である。
右耳には桜猫を表す切欠けがあり、誰かによって
ちゃんと生かされている証が見える。


猫は人の男女を見分ける能力があり、男性である
私をそれも大概が黒尽くめの服装にサングラスに
帽子にマスク姿を見ると警戒して直ぐ逃げていく。
猫が持つ警戒心の強さとは種の存続に大切な要素。
なのだが、珍しくもこの猫は動じずに逃げない。
度胸がある猫だなと眺めていたらば、伸びした後
に私に近づいて、擦り擦りまでしてきた。


短い間だが実家にいてくれたあの時のミンキーを
思い出しちょっと涙ぐむ。よしよしと頭を撫でて
あげると気持ち良さそうにしていた。長生きする
のだよと言葉をかけまた会えるのを楽しみに次の
定点観察現場へと向かいそこを離れた。


猫の命を守る桜猫プロジェクトの方々には改めて
感謝の言葉を述べたいと思う。


灰色猫は、三国の公園にて撮影したもの。


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