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草蜻蛉


草蜻蛉 (クサカゲロウ)
臭蜻蛉 (クサカゲロウ)


アミメカゲロウ目、クサカゲロウ科の昆虫。


細長い薄緑色の身体に、透明な網目ある透明
な羽が特徴のカゲロウとなる。これを捕まえて
みると薬系の青臭い変な匂いを出す。


この虫は農家にとって厄介者であるアリマキ
(アブラムシとも呼ばれる)を幼虫の時には
貪欲に捕食する昆虫で知られているが、その
実力たるや、一本の草本に幼虫一匹で丸ごと
アブラムシが完全駆除されるという程の実力
を持っている。


アリマキと呼ばれるこの害虫の名前の由来は
植物の茎部分にこれらアリマキが群がってる
姿を良く見かけるが、アリがこのアリマキの
護衛をしているのもよく観察すると見る事が
できる。


アリマキは植物の汁を吸った後に、お尻から
甘いツユを出す。アリにとって糖分は貴重な
栄養源である。なのでアリマキの天敵である
テントウムシ、テントウムシの幼虫、そして
クサカゲロウの成虫や幼虫を追い払うので、
アリマキとアリとは共生関係を結んでいると
言える関係なのである。


だが、このクサカゲロウの幼虫は一枚うわ手
の技を使ってアリに襲われない対策をとって
いる。それは幼虫の背中には鉤爪状のトゲが
複数本生えており、捕食したアリマキの死骸
をここに引っ掛けてしまうのである。甘い蜜
を出すアリマキに対し、アリは一切攻撃など
をしない。この習性を逆手にとっていわゆる
カモフラージュしているのである。幼虫など
の柔らかな体表は、アリの強靭なアゴの攻撃
に耐えるには弱すぎるし、下手をするとアリ
のエサとして巣に運ばれる。なのでこの戦法
はクサカゲロウの幼虫に大きく軍配が上がる。


農家さんも出来るだけ、農薬などは使いたく
ない。日本の農業は、国より許可の下りてる
農薬しか使ってはならないし、その分量とか
散布回数とかも厳格に規定が置かれている。
食の安全確保のためである。もちろん、流通
側も、独自に農薬類規定範囲の野菜や果物を
採用する。


そんな中、無農薬栽培をと考える農家さんは
アリマキの天敵を育成して、害虫対策の取組
をされてるところでは、このクサカゲロウや
テントウムシ、ヒラタアブ(こちらも幼虫が
アリマキを貪欲に捕食する)などを、対策に
起用しているところもある。


クサカゲロウは家屋の天井や壁などに細長い
糸にチョコンと卵が付いたものを産みつける
のだが、これが有名なウドンゲ(憂曇華)と
呼ばれるものとなっている。


ウドンゲとは、仏教の法華経の中に出てくる
如來が如来の三千年に一度、訪れてくる際に
咲く花とされている。と、いう事で家屋内に
ウドンゲの花が咲いてる(クサカゲロウの卵
だとは誰も知らない頃)のを縁起が良い兆し
と昔の人はたいそう喜ばれたらしい。まあ、
それだけミステリアスなものだったという事
なのだと思う。

そんなウドンゲそのものを私は長いこと見て
いない。面白いあの卵の姿をまた見たいと切
に願う。

クサカゲロウは、成虫になるとほぼ何も口に
せずに過ごすと言われている。幼虫の時には
片っ端からアリマキやカイガラムシの駆除を
していたのに、成虫になるとその小さな口で
接種するのはほんの少しの植物の露らしい。

ラストステージは恋のみに生きてパートナー
との時間に費やされて、その命は幕は閉じる。


この、クサカゲロウのレースの様な美しい羽は
夜間の捕虫ハンターであるコウモリの超音波を
感知する能力を持つのでそこから逃げだせる。

ただ、夜間の蛍光灯の光を好む性質から、あの
殺虫灯の罠には誘い込まれて、命を終わらせる
個体も少なくない。アリマキを一生懸命に駆除
してくれる彼等の終わりとしては、あまりにも
残酷な仕打ちなのである。



和名 草蜻蛉 (クサカゲロウ)
   臭蜻蛉 (クサカゲロウ)
洋名 グリーン レースウイング
   (GREEN LACEWING)
学名 クリソピダエ
   (CHRYSOPIDAE)
分類 アミメカゲロウ目、クサカゲロウ科
種類 カゲロウ類
全長 10〜30mm
出現 4〜10月
分布 日本全土
撮影 十三駅前の自販機横

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