見出し画像

珍奇植物が何故、江戸時代に流行したのか?


今もビザールプランツと呼ばれている、珍奇植物
は人気がとてもあり、鉢植されたものの中には
ウン十万円もするものもある。


そんな珍奇植物のブームはタイトルにある通り
江戸時代に日本国内で沸き起こっていること。


下に掲載したのは、金魚葉椿(キンギョバツバキ)


ツツジ目、ツバキ科、ツバキ属の突然変異種。


その葉の先端が複数に裂けた様な形が泳いでる
金魚のシルエットに見えた為、キンギョバツバキ
と名がついた。植物探索の新ユニット『芳し会』
の女性達にこれを紹介すると、その形の面白さを
目の前に写真撮影大会となったもの。


この様な一般的でない葉のカタチをする椿の事を
変葉椿(カワリバツバキ)と呼ぶ訳だが、これら
は発見されて以来、珍重されてきた椿のひとつ。
これら珍種、奇種の植物が日本国内で珍重される
様になった時代というのは江戸時代の事となる。


戦国時代の終わりからの社会の変化や文化の発展
が大きく影響している。この変化の流れを以下に
解説していく。(京都府立植物園のガイドツアー
の中での解説をベースにしてまとめたものとなる)



戦国時代から江戸時代への移行

1. 戦国時代の終結と安定期の到来
戦国時代(1467-1603年)は日本国内では内乱
が130年と長く続いた時代であり、社会全体が
不安定であった。徳川家康が江戸幕府を開いた事
により、約260年もの間に渡り続く平和で安定
した時代。この安定期は人々の生活が豊かになり
文化や芸術などの発展に繋がった時代となった。





2. 武士から文化人への転換
平和な時代が続く中で、武士階級は戦闘から離れ、文化的な活動に従事するようになった。それまで
彼ら武士が評価されてきた戦果や武勲などはなく
なってしまい、茶道、華道、庭園作りなど、芸術
や文化に対する関心が高まっていく。、特に茶道
や華道の世界では庭園や草花が重要な要素となり
多様な植物が求められるようになっていった。




江戸時代の社会と文化


1. 園芸文化の発展
江戸時代は園芸文化が大いに発展した時代。武士
のみならず、商人、農民などが競って庭園を作り
美しい花や珍しい植物などを栽培し始めた園芸は
社会的なステータスシンボルとなり、特に都市部
では庭園や盆栽が人気を集め始める。




2. 品種改良と植物の交換
園芸家や農民たちは積極的に植物の品種改良へと
取り組む様になり、新しい花や作物などをを作出
する事となった。これにより、日本固有の植物が
多様化し、色や形の異なる品種が次々と生まれる。また、各地の植物愛好家や農民が植物の交換など
を行い、新しい植物が広がる様になる。



3. 将軍や大名の奨励
将軍や大名たちも豪華な庭園を競い合う様に作り
その中で珍しい植物を育てることに力を入れる。
江戸城や大名庭園では国内外から集められた様々
な植物が植えられる様になる。これにより珍しい
植物類が広く知られるようになったものである。
この辺りから蘇轍(ソテツ)などが日本庭園へと
持ち込まれた時代とされている。




経済と技術の発展


1. 商業と都市の発展
江戸時代には商業活動が活発化、都市が顕著なる
発展を遂げ、都市部では市場や園芸店が栄える様
になり、多くの植物が流通し始める。これにより人々は様々な植物を容易に手に入れる事が可能と
なったのである。(画像は流行した変種朝顔)



2. 蘭学の影響
鎖国中でも、長崎の出島を通じてオランダとの間
では交易が続いた。オランダから伝わった西洋の
学問や植物学(蘭学)が日本に様々な影響を与え
新しい植物や栽培技術がもたらされる様になる。
これにより、植物に対する知識や興味がさらに
広がったのである。(画像は当時の植物図鑑)



社会的な背景


1. 文化の普及
江戸時代は町人文化が花開いた時代でもあった。
浮世絵、歌舞伎、茶道、華道などが庶民の間でも
広まり、これによって植物や花などを愛でる文化
が広く普及、花札がこの世に生まれてきた時代は
江戸時代の中期の事となる。




2. 庶民の生活向上
経済の安定と発展より、庶民の生活も向上した。
余暇を楽しむために、園芸や花卉の栽培が庶民の
間でも人気を集め始め、庶民も自宅の庭や鉢植や
盆栽などで多様な植物を楽しむようになる。



このように、戦国時代の終結から江戸時代の平和
と安定と文化の発展によって、多種多様な植物が
珍重される社会的な背景が形成された。これらの
要因が相まって、江戸時代には植物愛好が盛んに
なり、植物文化が豊かに発展したのである。


日本を訪れたスコットランド出身の植物学者にして
プラントハンターでもあったロバートフォーチュン
(ROBERT FORTUNE)は次の言葉を残している。


『日本人の国民性の著しい特色は、庶民でも生来の
花好きであることだ。花を愛する国民性が、人間の
文化的レベルの高さを証明する物であるとすれば、
日本の庶民は我が国の庶民と比べてみると、ずっと
勝っているものだといえる』

上の言葉は著書『幕末日本探訪記―江戸と北京』の
中に残されているものである。



和名 椿 (ツバキ)
洋名 ジャパニーズ カメリア
   (JAPANESE CAMELLIA)
学名 カメリア ジャポニカ
   (CAMELLIA JAPONICA)
品種 錦魚葉椿 (キンギョバツバキ)
   金魚葉椿 (キンギョバツバキ)
   金魚椿 (キンギョツバキ)
分類 ツツジ目、ツバキ科、ツバキ属
種類 多年生植物
草丈 2〜15m
開花 3月
花色 濃紅色
咲型 一重咲、猪口咲
花径 7〜8cm 中輪
花弁 一重、5片
蕊形 筒蕊
歴史 江戸時代
原産 日本
言葉 誇り
   控えめな優しさ
撮影 服部緑地都市緑化公園


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

#椿
#ツバキ
#ジャパニーズカメリア
#JAPANESECAMELLIA
#カメリアジャポニカ
#CAMELLIAJAPONICA
#錦魚葉椿
#金魚葉椿
#キンギョバツバキ
#金魚椿
#キンギョツバキ
#京都府立植物園
#京都園芸倶楽部
#服部緑地都市緑化植物公園
#芳し会


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?