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吠犬




大野川緑陰道路へと続く道を、自然探索の為に
キコキコチャリを漕いで、植物の写真を撮って
いたらキャンキャンと背後から甲高い声で吠えて
くる犬がいてうるさいな、と振り返る。


子供の時に紀州犬を家で飼っていて、妹達など
よりも犬と遊んだ時間の方が長かった私なのが
よその犬が吠えてくると逆にその手前まで行き
吠え疲れるまでその犬の目の前に居座り続けて
根比べをするなどという遊びをよくしたものだ。


犬からすれば自分のテリトリーである事の主張
であるのだが、今でも吠えられると、つい子供
の時の習慣が身体に甦る。


逆に何もないと犬もつまらないので、こういうの
を相手にしてあげるのも大切である。彼等なりの
使命感があって吠えるのだから。

ちゃんと彼(彼女)にも仲間のタヌキがいる。
この信楽焼タヌキさんは女性であるが、肝心の犬
の方はオスメスの判別が出来ない。



向こうは犬一匹に加えて狸三匹、七福神の一人が
加勢、多勢に無勢である。



ちょっと、強気な視線が実に可愛い。
もう盛んにワンワン吠えてるのを撮影しているのに
何故か口を閉じてしまっている写真ばかりである。
うむ、西部劇で街中にやってきたアウトローを前に『アンタの来る街じゃないよ、とっととお帰り』と
語るオバサンの目つきそのものである。




よく見ると、ちょっと楽ができる様にワンちゃん
の顎がキッチリ載せられるフェンスに飼い主さん
のほんの少しの愛情が垣間見える。


『後載せサクサク』ならぬ『顎載せラクラク』。



私ももう大人なので、子供の時みたいに何時まで
も犬の前でがんばり入道をするつもりもなく、
ワンちゃんにまたなと別れを告げて移動する。

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