【毎週ショートショートnote】見たことがないスポーツ:応援合戦スポーツ
スポーツ財団は、赤字経営が続いていた。そこで、財団は応援する観客も楽しめる新しい競技を作った。
それが「選手を応援する競技」である。
推しの選手を応援するパフォーマンスがどれほど優れているか、美術点、熱意点、インパクト点で競うものだ。
応援競技が導入後、大会は盛り上がった。手当たり次第に選手を応援する人が続出し、チケットは飛ぶ様に売れた。更に推しグッツも販売され地元の経済は潤った。
しかし、応援の競争原理を煽った為に多くの弊害が生まれた。
有力選手以外は応援されなくなり、負けた選手は容赦なく叩かれた。選手は押し売りの応援をされた挙句、ギブアンドテイクを要求される。
また、競技メダルを諦めた選手が、応援メダルの獲得に回り、自分の競技を棄権する本末転倒な事態に発展。有力選手達の中では、推しとのやり取りに辟易し、潰れていくものまで現れた。
問題を重く受け止めたスポーツ財団は、「選手の応援する人を応援する競技」を追加した。
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