居酒屋トイレの「失礼します」と広告の指向性
居酒屋のトイレに入ったときに、5店舗に1店舗くらいの割合である「トイレの中まで失礼します」というアレ、はじめに考えた人って誰なんだろうか?
居酒屋というワイワイした場所で、喧騒を逃れて一人落ち着くトイレ。
そこでぶつけられる店舗からのメッセージ。
これって、自分に言われてるんじゃないか?
今でこそ、色んなところで見るから「うるせ~~~~」って思うけど。
いろんなところで見るから陳腐化しちゃってるけど、1to1マーケティングを地で行くというか、空間をうまく活用することで成し遂げてるのがすごいよね。
今回のテーマは「広告の指向性」の話です。
「1対1になる」ということ
広告コミュニケーションにおいて、1対1になるってことは大きく2つの意味があって…。
①「お前に言ってるんやぞ!」というメッセージの強さ
②「ここだけの話なんだけど…」という強い共感
で、さらにいうと、これってメルマガとか手紙みたいな「そもそも1対1でコミュニケーションをするシーン」じゃないシーンで、不意にやられるとハッとしてしまう。
テレビのホラー番組で「お前だ!!」と言われた瞬間のような…。
そんな事例をいくつか紹介します。
1.「See how easy feeding the hungry can be? (空腹の人に食べものをあげるのが、どれだけ簡単か見てみませんか?)」
ショッピングカートの底に、食べ物を欲しがっている子どもがいる、という広告なんですが、FeedSAという慈善団体がおこなった「See how easy feeding the hungry can be? (空腹の人に食べものをあげるのが、どれだけ簡単か見てみませんか?)」というキャンペーンです。
カートに入れてお買い物をする、くらいの気持ちで、空腹に苦しむ人たちに食べ物を上げられるんだよ、というメッセージで、「ああ、これ。おれに向けて言ってるんだなあ…」という、強い気づきを得られます…。
2.Volkswagen「Eyes on the road」
映画館って、没入感があるだけにCMとかすごい観ちゃいますよね。
それを逆手にとったプロモーションで、Volkswagenの「ながら運転」防止キャンペーンがあります。
映画館に招待された客たち。
よくある車のCMかと思って見ていると突然、自分の携帯に着信が届きます。
会場の中の何人かは当たり前のように携帯をチェックしだすのですが、その瞬間――
という広告でした。おーこわ!
3.西鉄自動車学校
地元九州のユニークな例で、西鉄自動車学校のホーム広告。
何年か前にTwitterで見かけた。
これを見た、俗にいう「スマホ世代」の人は「いや、自分は見てるよ~~!」っていう気持ちになって、この自動車学校はお茶目だなあ、って思うんでしょうね…。
てかこれ、山崎まさよしのOne more time,One more chanceやんけ!っていうなんともいえない仕掛けもあるという。
4.LG「So Real It's Scary」
有名なLGのプロモーション。
とにかくきれいな液晶をアピールするために、エレベータの底が抜けるリアルな映像を作って、エレベータに乗ってる人にサプライズを仕掛けるという。
1:12~のリーマン愛してる。
実際、広告として有効なん?
どれも秀逸で、非常に面白いし、「もし自分が、この広告に触れられたら、いいな。」とは思うんですが。
「面が限られる」ということは「触れる人の母数が少なくなる」ので。
実は、一番大事なのは「2次的な広め方」だと思います。
(というか、こっちがメイン)
紹介したどの事例も、その広告自体よりも「それを収めた動画」だったり、拡散元のSNSのツイートがあったり…。
それ有りきで、準備していくことが大事だね。っていう話でした。
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