No147 データ復元作業の実際(バックアップとリストア7)

今回もサーバのリストアについての話を続けます。

前回はリストア用の機器(代替機)を手配するときの課題について
解説しました。

ここまででも大変ですが、実際のリストア作業も負けず劣らず面倒
な作業になります。

今回はそのあたりの手順を見ていきましょう。


1. どんな作業が発生するのか?

さて、実際にリストア作業を行うには以下のような作業が必要です。

1. 代替機の手配(前回解説しました)
2. 代替機へのOSのインストール
3. 代替機へのアプリケーションのインストール
4. OSやアプリケーションの設定
5. バックアップデータの準備
6. リストア作業の実施

代替機の手配については前回解説しましたので、今回はそれ以降の
作業について解説します。


2. 代替機へのOSのインストール

代替機を入手できたとしましょう。
多くの場合は、OSがインストールされた状態で届きます。

ですが、次のようなケースではご自身でOSのインストールを
行う必要があります。

1. 社内の遊休資産(旧機種など)を活用する
2. レンタルなどでOSがプレインストールされていない場合

前者ではOSのライセンス違反にならないように気をつけてくだ
さい。ライセンスというのはソフトウェアの使用許諾権のことです。

「元のサーバのライセンスがあるんだからそれを使えば問題
ないでしょ」はNGの場合がありますので、特にご注意を。
WindowsOSのライセンスはかなり複雑で、その種別によっては
購入したサーバ以外では使用できない場合もあります。

ライセンスの種類や有効範囲がわからなければ、サーバを購入した
業者に確認を取りましょう。

さて、OSのインストール自体は通常の個人用PC(パソコン)と
何も違いはありません。画面の指示に従って粛々と進めてください。


3. 代替機へのアプリケーションのインストール

ファイル共有のためのサーバにたくさんのアプリケーションをイン
ストールすることは少ないと思いますが、バックアップソフトや
業務用ソフトなどをインストールすることはあるかと思います。

これも作業自体は比較的容易です。
画面の指示に従って粛々と進めましょう。

こちらについても、ライセンス違反にならないように気を付けて
ください。(一般的にOSに比べて緩やかなライセンス条項である
ことが多いです)

メディア(CDやDVD)で提供されているソフトは定期的に棚卸
をして紛失していないことを確認してください。

また、ダウンロード販売されているソフトであれば、現在利用して
いるバージョンをダウンロードしてCD-Rなどに焼いておくこと
をオススメしておきます。
利用中のバージョンが非公開でも、メーカに問い合わせれば提供を
していただける場合もあります。
サポート終了などの場合は、今のうちにソフトのバージョンアップ
を検討しましょう。リストア時に試行錯誤をしている余裕はありま
せんから、平常時にこういったバージョンアップを検証しておく
ことが大切です。

なお、これは最新バージョンが復旧対象のサーバで動作しないとき
の非常手段です。通常は最新版をダウンロードしてインストール
してください。


4. OSやアプリケーションの設定

さて、ここまではライセンスの注意事項などはあるものの、比較的
淡々と進められる作業でした。

設定作業は事前準備とその検証が非常に大切です。
また、実際にもかなり神経質で緻密な作業となります。

というのは、サーバでどんなサービス(機能)を利用していたかは
サーバによってまちまちだからです。
サービスの情報なしで元と同じ動作をするサーバを復元するのは
恐ろしく難易度が上がります。

壊れる前に、サーバ上でどんなサービスがどんな設定で動いている
のかを確認し、その一覧とそれぞれの設定内容を紙に転記して保管
しておきます。これを取りまとめたものが操作手順書になります。

と、書くのは簡単なんですが、これが漏れるんです。
もう確実にといっていいほど、記述漏れが起きます。

これを防ぐのが予行演習です。
だから何度も何度も書いているのです。
予行演習を繰り返し手順書を更新することで、手順書の精度はどん
どん上がっていきます。

もちろん予行演習でも、手順がまるごと抜けていると見落とす可能
性はありますが「この画面の手順書がない」といった記載漏れには
気づくことができます。

一番良いのは、業者にサーバ設置してもらう時には作業手順書も
提供してもらうようにお願いすることです。(有償かもしれません
が)

設置後であっても、業者自身が(事後のトラブル対応のため)作業
手順書や設定シートを社内で保管している場合もありますので、
あきらめずに問い合わせしてみましょう。

余談(画面コピーの取り方)
 PCには必ずPrintScreen というキー(PrtScrやPSと略記される
 ことも)があります。
 もともとは大型機と呼ばれる高価なコンピュータとの通信で使う
 特殊キーだったのですが、そんな使い方はしなくなったので、
 Windowsでは画面コピーを取るキーとして活用しています。
 つまり、PrintScreenキーを押せば、画面コピーが取れるのです。
 使い方は次の通りです。
  1. PrintScreenキーを押す(この時点では画面には何も出ない)
  2. コピーを貼り付けたいアプリ(例えばワープロ)を動かす。
  3. 「貼り付け」を実行すると最初に撮った画面が出てくる
 ちなみに、MacintoshでもCmd+Shift+3で同様にコピーできます。

 この技法はわかりやすい手順書を作るときには必須ですので、
 是非覚えておいてください。

ここで、特に注意しておきたいのは以下の2点です。

業者が設置した時の作業手順書を入手できたからといってそれに
全てが含まれていると考えるのは早計です。

多くの場合、サーバを導入してから自分たちで設定を変更します。
特に多いのはユーザの追加や削除です。

ここでは、どんなユーザがどんなことができるのか(Aさんはファ
イル読み取りだけだが、Bさんは書き込みもできる。Cさんは管理
者としてメンバの権限管理ができるなど)を定義しています。

これを復元しておかないとリストア後に、誰もファイルを読み取れ
なくなったり、逆に誰でもファイルを削除できるようになったり
する可能性があります。

その設定内容をバックアップしておき、それをリストアすることも
可能ですが手順も複雑ですので、ここでは原始的ですが手作業での
復元をオススメしておきます。
なお、WindowsServerの標準アプリでもユーザ情報のバックアップ
とリストアができます。興味のある方は調べてみてください。


5. バックアップデータの準備

バックアップしたデータを準備します。

何をいまさらと思われるでしょうが、いくつか注意点があります。

まず、最新のバックアップがどれかを特定してください。
バックアップは日々作成されています。
間違って古いデータをリストアしてしまうとそのあとのリカバリ
作業が非常に面倒になります。

というのは、データを間違っても最初は気づかないことが多いため
です。後で「○○のデータがない!」「△△の内容が古い」と
気づきます。こうなると大変です。リストア作業自体をやり直しに
なる上、再開してから進めた業務内容も別途対応が必要になります。

また、バックアップデータを間違って消すと取り返しがつきません。
そうならないようにコピーをとることをオススメしておきます。
なお、CD-RやDVD-Rのような書き込みできないメディアの
場合はコピーを取らなくても大丈夫です。


6. リストア作業の実施

ここまで来れば、後は淡々とリストア作業を実施をしてください。

作業が終わったら、この時点でフルバックアップを採取しておいて
ください。万一後で作業ミスが見つかった場合、この時点までは
簡単に戻せますので、作業のやり直しによるロスを少なくできます。

その後、問題なくデータにアクセスできることを確認してから
メンバにリストア作業が完了したことをお知らせしましょう。

以上で、リストア作業は完了したことになります。

リストア作業というのが、かなり気を遣いながらの作業となること
をご理解いただけたと思います。このストレスフルな作業を軽減
させるためにも作業手順書や予行演習は大切なのですね。

次回もお楽しみに。


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