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宣言書のススメ

看取りを自宅ですると決めたのは、2024年の1月(今は2024年3月)でした。
その契機となったのは、1月に父が低血圧で緊急入院したことでした。

この時にずいぶん前に受け取った「宣言書」というものを持っていきました。

宣言
1)私の傷病が、現在の医学では治せない状態になり、死期が迫ってきたとき、いたずらに死期をひき延ばす措置は、いっさいお断りします。
2)ただし、私の苦痛を和らげるための治療は、最大限にお願いします。
3)私の意識が回復せず、植物状態に陥って回復の望みがないとき、いっさいの生命維持装置を止めてください。
以上、私の宣言に従って下さったとき、全ての責任は、この私自身にあります。
私が、ただ今心身共に健康であることを妻○○と互いに確認し合い、この宣言に署名します。
平成6年6月26日
 (署名)

父の宣言



これですねぇ、実に「葵の御紋」の効果を発揮してくれるのですよ。
これを見た方、お医者さん、看護師さん、ケアマネージャさん、介護士さんのどなたもしきりと感心されていました。
あるお医者さんは「宣言書の話はもちろん聞くし、作るように勧めもするが、実際に患者さんが持ってきたのを見たのは初めてだ」とおっしゃってました。

確かにこれを親から受け取り、ずっと(なくさず、忘れず)保管し、いざ必要な時に提示できる、となるとかなり確率は下がるのもうなずけます。

この宣言書は本当に霊験あらたかで、これを提示すれば「では点滴はしないでおきますね」とか「胃ろうは問題外ですね」といった言葉をお医者さんの方から言ってもらえます。
これにはものすごく救われました。

身内がいなくなる瀬戸際なんです。
誰だっていっぱいいっぱいです。
こんなときに「あれはどうしますか、これはどうしますか」と質問攻めにされるとホントにキツいと思うのです。
答える方は「延命が本人の望みか?」「でも延命しないと後で後悔しないか?」という堂々巡りで悩まされます。

これは医療従事者の方も同様だそうで「僕たちもこれがあると治療方針がハッキリするのでとても助かります」とおっしゃっていました。

この宣言が一枚あるだけで、質問攻めされる側も、質問攻めせざるを得ない側も、つらさが激減できます。
宣言書は自分を看取ってくれるであろう次世代(もしくは医療従事者への)への素晴らしい贈り物だと思うようになりました。

私はまだ作ってないのですが、必ず作っておこうと思います。

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