年間第33週・拝領唱(グレゴリオ聖歌逐語訳シリーズ7)

TEMPUS PER ANNUM: HEBDOMADA TRIGESIMA TERTIA 年間第33週

CO[MMUNIO] 拝領唱


【対訳】

Amen dico vobis,
アーメン,私はあなたたちに言う,
元テキスト:マルコによる福音書第11章第23節,イエスが弟子たちに向かって言う言葉。同節には続けて「誰であれこの山に向かって『動いて海に入れ』と言い,疑わず,言った通りになると信じるならば,その人においてはその通りのことが起こる」と書かれているが,この拝領唱では省略されている。

quidquid orantes petitis, credite quia accipietis,
何であれあなたたちが祈り求めるものについては,それを受け取ることになると信じなさい,
元テキスト:同,第24節。もとの福音書では,上述の「山をも動かす信仰」の話を受けて「だから,私はあなたたちに言う」と言われてからこの言葉が続く。Vulgataでは "quidquid" でなく "omnia quaecumque" となっているが,ニュアンスはともかく意味は同じである。

et fiet vobis.
そうしたらそれはあなたたちに与えられる(あなたたちのために起こる)ことになる。
元テキスト:同上,ただしVulgataでは "fiet" でなく "evenient" となっている。意味はほぼ同じ。前者は単数で後者は複数なのだが,これは上で "quidquid" が単数なのに対して "omnia" が複数であることに対応しているだけのことである。


【逐語訳】

Amen アーメン
dico 私が言う(動詞,直説法・能動態・現在時制・1人称・単数)
vobis あなたたちに
quidquid 何であれ~するもの(すべて)を(英:whatever。不定関係代名詞,中性・対格。単数扱い)
orantes 祈りながら,祈って(動詞,現在能動分詞。次の "petitis" の主語である「あなたたちが」に合わせて複数・主格になっている)
petitis あなたたちが得ようと試みる,欲する,乞う,要求する(動詞,直説法・能動態・現在時制・2人称・複数)
credite 信じなさい(動詞,命令法・能動態・現在時制・2人称・複数)
quia ~ということを(英:接続詞that)
● "Quia" はふつう「なぜなら」という意味だが,教会ラテン語・比較的新しい時代のラテン語では単にこういう意味のことがある。
accipietis あなたたちが受け取ることになる(動詞,直説法・能動態・未来時制・2人称・複数)
et(英:and)
fiet それが成ることになる,起こることになる(動詞,直説法・能動態・未来時制・3人称・単数)
vobis あなたたちに,あなたたちのために

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