アンティフォナ "O Emmanuel" (グレゴリオ聖歌逐語訳シリーズ68)
ANTIPHONALE MONASTICUM I (2005) p. 53; ANTIPHONALE MONASTICUM (1934) p. 211; LIBER USUALIS p. 342.
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7番め (最後) のオー・アンティフォナ (O-Antiphona) で,12月23日に歌われる。
オー・アンティフォナ全般についての解説,各アンティフォナの全訳と関連聖書箇所はカトリック中央協議会のサイトにある。最重要の基本事項だけ繰り返すと,オー・アンティフォナにおいてさまざまな言葉 (今回なら「インマヌエル」など) で呼びかけられ,「来てください」と願われているのは,イエス・キリストである。
【テキストと全体訳】
O Emmanuel, rex et legifer noster, ex[s]pectatio gentium et salvator earum: veni ad salvandum nos, Domine Deus noster.
おおインマヌエル,私たちの王であり立法者である方,諸国の民の待望 (の的) でありその救い主である方よ。私たちを救うために来てください,主よ,私たちの神よ。
【対訳】
O Emmanuel,
おお,インマヌエルよ,
「インマヌエル」はイエス・キリスト降誕の預言とされるイザヤ書第7章第14節から。ヘブライ語で「神は私たちとともにいる」という意味。
rex et legifer noster,
私たちの王であり立法者である方よ,
exspectatio gentium et salvator earum:
諸国の民の待望 (の的) であり彼らの救い主である方よ。
veni ad salvandum nos, Domine Deus noster.
来てください,私たちを救うために,主よ,私たちの神よ。
別訳:(……) 私たちの神である主よ。
【逐語訳】
o おお (間投詞)
Emmanuel インマヌエルよ
rex 王よ
et (英:and)
legifer noster 私たちの立法者よ,私たちに法を与える者よ (legifer:立法者よ,法を与える者よ,noster:私たちの)
exspectatio 待望よ
gentium 諸国の民の
神の民イスラエルの対概念としての「異邦人」という含みを持つ語。
et (英:and)
salvator earum 彼らの救い主よ,彼らを救う者よ (salvator:救う者よ,earum:彼らの)
"earum" は女性形なのだが,これはこの語が受けている "gentium" (<gens) が女性名詞だからである。
veni 来てください (動詞venio, venireの命令法・能動態・現在時制・2人称・単数の形)
ad salvandum 救うために (salvandum:動詞salvo, salvareをもとにした動名詞,対格)
nos 私たちを
Domine 主よ
Deus noster 私たちの神よ (Deus:神よ,noster:私たちの)
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