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無駄なことをするのは楽しい

春は新しいことを始めるのに向いている時期だと思う。特に僕のような新一年生は何でもできるような万能感に包まれている。授業の内容を先取りしてみたり、毎日映画や小説を読んだり、料理にはまってみたりと様々なことにチャレンジしてみる。特にはまったのは読書で、小学校の時は二日に一冊のペースで読んでいたのが、中高とほとんど読む機会がなくなっていた。なので今また読書の習慣が戻ってきていると、小学校の時の僕が知ったら喜ぶのではないだろうか。僕の小学生の時期は夏は外が暑い、冬は寒いからとみんなが鬼ごっこをしているときに図書室にこもっていた。放課後も同様に家にまっすぐに帰って、再放送の相棒を見た後はずっと読書していたような覚えがある。多分そういうような無駄な生活を送れていた人はそう多くないだろう。中学受験組は塾に缶詰め、ほかにも習い事をしている人も結構いた。僕は特に親に何かをするように仕向けられなかったので、本当になにもしていなかった。ありがたい。



夜の三時に無駄に思い出を引っ張り出してしまったので、その時に読んで感動した本の紹介もしようと思う。そして寝る。
その小説はリトル・トリーというインディアンの少年の話である。古き良きインディアンである祖父母との生活の自伝的回顧録の形式をとった小説だ。少し長いが小学生でも読めるぐらいの内容である。しかし今になって読み返しても、けっして劣っているようなことはなく、どの年齢でも読めるいい作品だ。彼らの生活は自然と密接な関係にあり、太陽も木も山も鳥も蛇もすべてが敬意を払う対象なのだ。当時のアメリカの考え方は決して自然やそれを愛するインディアンに対して暖かいものではなかったが、そんな中でトリーはしなやかに生きていく術を身に着ける。この小説はとにかく自然への描写の解像度が高い。情景描写の美しさによって、僕は言ったこともないアメリカの森の上を俯瞰しているような気がしてくる。とにかく良い。我々現代人の自然観とはだいぶ違ってはいるが、その美しさは衰えているわけではない。

そんなわけで短い紹介を書かせていただいた。本当に面白いので是非読んでみてもらえたらうれしい。もう四十分もかいていたのでむだな時間は終わりにしたい。終わらせなければならない。



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