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問題解決力を高める「推論」の技術 を読んで

『推論力』
未知の事柄に対して筋道を立てて推測し、論理的に妥当な結論を導き出す力

【推論力の希少性について】↔︎情報・知識


企業競争力を整理するVRIOというフレームワークがある
推論力はこの全てを満たす
Value:『推論力』は独自の価値を生み出せる
Reality:『推論力』は共有できないため、希少な価値がある
Imitability:『推論力』はすぐに習得できるものではないので模倣が困難である
Organization:『推論力』はあらゆる物事に応用が効く

3つの推論法について〜帰納法・演繹法・アブダクション〜

【帰納法】

Step1 さまざまな事実に気づく
●フォーカスを絞る
└カクテルパーティ効果・・・関連する情報への感度が高くなる
●視点を持つ
└点ではなく線(時系列)で物事を捉える
●当たり前を疑う
└バイアスを取り除く事で新たな気づきが生まれる

Step2 複数の事実の共通点を発見する
●直接的帰納法
└シンプルに複数の事実から共通点を発見する
洞察的帰納法
└複数の事実を多面的な視点で観察して共通点を発見する

Step3 結論や法則を見いだす
例「企業の有形資産は使えば使うほど、価値が減る」
⇨無形資産ではどうなるか(ノウハウ、特許、リーダーシップ、など)
⇨「企業の無形資産は使えば使うほど、価値が増える」

Step4 アナロジーを使って「法則」を応用する
アナロジー・・・既知の「法則」を別分野に応用すること
☆見えている事実から、見えない概念(法則)を見抜き、そこから発想する
└この考え方はどの分野でも通用する
└何をやらせても優秀な人が生まれる

世の中で帰納法を生かす方法

①世の中の機運を捉えて、ビジネス機会を発見する
└PEST分析(Politics、Economics、Society、Technology)

②市場の環境を分析して、戦略を策定する
└3Cフレームワーク(Customer、Competitor、Company)

③ライフスタイルの変化を捉えコンセプトワークに活かす

④複数の事実を根拠に、提案をする
└Why so?(なぜそう言える?)/So What?(だから何?)

⑤複数の事実から、問題の根本原因を発見する

帰納法をトレーニングする方法

無理なく取り組める事が習慣化するには大切(無理なダイエットは続かない)

①職場の問題を帰納法で解決する
└優れた提案であれば意思決定者を味方につける事が可能
└職位等関係なく「提案は可能」

②見聞きした物事で「思考実験」する
└「根本的で変えにくい部分」と「表層的で変えやすい部分」を見極める
例:根本的で変えにくい部分=戦略、表層的で変えやすい部分=戦術

引用:IoTNEWS「DX戦略を作るのに必須となる、5つのビジネスフレームワーク」

帰納法は例外に着目する事で情報がアップデートされ、新たな発想が生まれる

【演繹法】

演繹法の頭の使い方3Step

Step1 「前提となるルール」を見極める
以下、正しいとされているルール6つ
①目的
└目的が無い=何から始めれば良いかもわからない
②目標
└目標が無い=必要なリソースがわからない
③方針
└方針が無い=具体的な策が決まらない
④ビジネス上のセオリー
└希少性が高い=利益率が高くなるといったセオリーを念頭に置く
 フレームワークを駆使することもベター
⑤価値観・カルチャー
└企業の価値観・カルチャーも方向性を決める大きな材料
⑥法則
└社会学や統計学などから得られる法則もルールの一つ

Step2 「前提となるルール」に目の前の物事を当てはめる
前提となるルールがしっかり掘り下げられているか確認
└「Why」で深掘り

Step3 結論を出してチェックする

ビジネスに演繹法を活かす方法

◆今後の市場動向の予測に活かす
└プロダクトライフサイクル(導入期、成長期、成熟期、衰退期)のそれぞれの局面で適切な施策を打ち出す事が可能になる

◆戦略や方針に基づいた企画立案に活かす
└会社のVision、Mission、Valueも同様

◆会議のファシリテーションに活かす
└会議の前提を擦り合わせてなければ、会議が紛糾する
└意見ではなく、まず前提を擦り合わせる

◆企画を提案する際のロジックに活かす
└売上拡大に「集客」と「客単価」が重要なビジネスの場合、双方の向上施策を演繹法から導き、ROIでまず取り組む課題をみつける

◆ビジネスのKPI設定に活かす
└数値を具体化する事で説得力が増す

演繹法のトレーニング方法

●日々の業務に取り込む
└上司や会社への報告、会社の会議など

●自社の戦略・施策をビジネス理論に当てはめる
└インターネットや書籍から得た情報を自社に当てはめる

●意識的に隠れた前提を探す
└メディアの情報も鵜呑みにせず、なぜその情報発信に至ったかを考える事で隠された情報を見つける事ができる

演繹法の応用テクニック

▶︎「前提」を疑う思考法=クリティカルシンキング(良い部分・悪い部分を意識的に見分け、評価・判定すること)
例:売上=顧客数×客単価×購入頻度
└顧客数を増やす施策をしてもコストがかかると本末転倒
└「前提」は『売上を上げる』ことではなく『利益を上げる』
└コスト下げる施策で利益が上がる
これらは自社の目線のため、市場や競合といった視点で捉えることも必要
└売上=市場規模×シェア
└前提に対して「True?」「Anything else?」の視点を持つ

▶︎「前提」を「概念」で捉える思考法=概念化思考
例:紙の販売量を増やす
└紙の使用用途を概念として抜き出す
└その抜き出した概念に基づく販売促進施策を打ち出す

▶︎「前提」を捉え直す思考法=ラテラルシンキング
例:エレベーターの待ち時間が長い
└AIを導入すれば待ち時間が短くなる
but導入コストが莫大にかかる
待ち時間=無駄な時間という視点を前提とすると・・・
└エレベーターの前に鏡を置くと身だしなみを整える有意義な時間になる
└エレベーターの待ち時間に対するクレームは改善される

【アブダクション】

起こった現象に対して、法則を当てはめ仮説を導き出す推論法

起こった現象:売上が落ちた
法則:買う人が減れば売上が落ちる
仮説:売上が落ちたのは買う人が減ったからだろう
演繹法=今後の推測と妥当性の確保
アブダクション=原因の把握

アブダクションの活用

◆問題発見と問題解決の局面
└目に見える「問題」に対して、アブダクションでその「原因」を仮説する

◆物事の背景を見抜く局面
└例:1万円札の実体は紙切れだが、1万円の価値がある

◆起こった現象から「法則」を発見して応用する局面
└アブダクションで立てた「仮説」を演繹法で検証する事により、法則を確かなものとする
※「思い込み」や「決めつけ」に注意

アブダクションの頭の使い方5ステップ

①「起こった現象」に自覚的になる
└目の前の変化、共通点、矛盾、プロセス等にアンテナを張る

②「起こった現象」に対して疑問を抱く
└①で気づいた現象に対して疑問を持つ

③さまざまな「法則」を当てはめて仮説を導き出す
└PEST分析や3C等のフレームワークに当てはめて仮説を導き出す

④仮説を構造化して更なる仮説を導き出す
└ロジックツリー等で整理する

⑤「仮説」と「起こった現象」との間にある「因果関係」を検証する
└優先すべき課題を具体的な数値を当てはめて検証する

ビジネスにアブダクションを活かす方法

▶︎問題の原因解明に活かす
└ロジックツリー(Whatツリー)で問題に大元を特定する
└Whyツリーで理由を把握し改善を施す

▶︎トレンドの背景を捉えてビジネスに応用する
└人気のあるコンテンツに共通点を見出す(分野が変わっても問題なし)

▶︎他社の成功事例を自社に応用する
└KFS(Key Factor for Success)を導き出す

アブダクションをトレーニングする方法

⑴日々の業務の中に組み込む
⑵世の中の事象に組み込む

まとめ

身近にある事象に対して、「帰納法」「演繹法」を用いて「法則」を探す事で推論力身に付く。
また「帰納法」「演繹法」を組み合わせる事で、社内外への提案の際にも、納得させられる内容となる。
日頃からそういった姿勢が大切だ。

参考文献:問題解決力を高める「推論」の技術

著者: 羽田康祐

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