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ヒトが動物の命の鍵を握っている

私は獣医師ですので
もちろん動物のことをよく観察しますが、
それと同じように
もしくはそれ以上に一緒に暮らすヒトを
観察し考えるようにしています。

それはなぜか?

動物の命をつなぐ鍵は
ヒトが握っているからです。

ヒトと共に暮らす動物は
命に関わるもののほとんどを
ヒトに任せています。

① 住むところ。
迎えられたおうちが、動物たちの住むところ。
勝手に棲みつく以外に
動物たちの意志で住まいを決めることはありません。

② 食べるもの。
カラダは食べるものから作られますし、
食欲は動物の様子を見るひとつのバロメーター。
気をつけておられる方も多いでしょう。

でも、動物たちは
1から自分でごはんを選ぶことはできません。
何を食べさせるかを、ヒトが選んでいます。
食べるタイミングや量を決めるのも、まずヒトです。
動物たちができることは、
食べたくないものを食べないこと、
食べたくない時間に食べないこと。
それだけです。

全く食べなければ、
または、いつも通り食べなければ、
ヒトが心配をして
食べそうなものを追加することも多いでしょう。
おやつかもしれないし、
いつもより豪華なものをあげるかもしれません。

いずれにせよ、
動物たちが食べるものの権限は
ヒトが握っています。

③ 具合が悪そうな時。

家で寝てようか、仕事や学校を休もうか、
病院に行こうか、薬を飲もうか。
何を食べ、どんなお手当にするか、
おとなならば自分で決めるでしょう。
家族なら会話したり様子をみて相談して、
決めることになるでしょう。

でも、動物は??

病院に行くかどうか、行くタイミング、
どの病院に行くか、治療するかどうかも
ヒトが決めます。
主に、家族や獣医師によって。

動物ができることは、
飲めない薬を吐き出すことぐらい。
慣れた場所に戻りたい時に、
食事をボイコットするくらい。
あくまで私の経験段ですが、
入院中は何をしても改善しなくて
家に帰した途端に元気になったという子も
実は少なくありません。

動物病院に行くことがダメ
とか
食事が手作りでなくてはいけない
とか
そんなことを言いたいのではなくて、

動物の命に関わることの大部分を
共に暮らすヒトと関わるヒトが
握っているということです。

だからこそ、共に暮らすヒトが
どんな価値観で、どんな想いで
動物たちと過ごしているのかを考えながら、
私は動物とヒトに関わりたいのです。




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