エルドレインの森Bo1ドラフト 環境雑感~アリーナオープンに向けて~



 

0 書いたきっかけ


 久々に発売直後のリミテッド環境をそこそこやったので、たまには何か書こうと思った。また、アリーナオープンもあるので、ぜひ感想や指摘がほしい(主目的)。
 書いている段階の経験値はシールドは6回、ドラフトは2000ジェムくらい減りながらシルバーからミシックまでいって(つまり結構負けてるので結構やった)、その後ミシックで7回くらい。ミシック上がってからさらに2000ジェム減って心折れてます。

1 環境速度

高速環境の一言。要因は主に、
・役割トークンというシステム自体が守りに向かない。特に若き英雄は、守りでは無意味だが、ついたクリーチャーが殴り出すと一瞬でゲームが終わる(というか《乱入/Cut In(WOE)》強すぎ)。唯一守り用にデザインされている呪われし者トークンは、赤白黒のアグロに対しては大したサイズダウンにならずほぼ無意味。
・攻撃的な低マナ域のクリーチャーが強い。1マナにプレイアブル以上のカードが複数あり(《ジンジャーブルート/Gingerbrute(WOE)》、《攻め立てられる槍護衛/Harried Spearguard(WOE)》、アンコまでみると《エンバレスの古参兵/Embereth Veteran(WOE)》)。2マナ域の祝祭はどれも打点が高い。中盤以降は若き英雄のタネになる。
・一点目、二点目と重なるが、適当におまけでついてくるネズミトークンは、攻めを途切れさせず、また、若き英雄のタネになったり(そればっかりだな)などそれなりに意味を発揮するのだが、守りでは(協約のタネになるくらいで)ほぼ無意味。
の三点。

2 各色の特徴


 上記で見たとおり、環境を定義づけているのは赤絡みのアグロの速さと対応困難性。
 では赤をやっていれば勝てるかというとそんなに単純でもなく、緑、というか《小村の大食い/Hamlet Glutton(WOE)》がこれを押さえつけている。飛行があまり強くないこともあり、5ターン目に《小村の大食い/Hamlet Glutton(WOE)》を出されたアグロ側は、返しで除去できなかった場合、攻勢を止められるのみならず、1、2ターンして適当に盤面を整えられたのちにこいつにそのまま殴られるのであるが、サイズがでかすぎる上にトランプルまであるので、速やかにライフが消滅して大体負ける。
それなら緑をやればいいのかというと、緑は緑で、中マナ域以降のクリーチャーのサイズに頼っていることから、呪われし者トークンやカウンター陣(《呪文どもり/Spell Stutter(WOE)》、《氷封/Ice Out(WOE)》)がぶっ刺さり、速度が落ちたところにそこそこ優秀なコモンのドロー二種(《速足の学び/Quick Study(WOE)》、《フェイの宮廷へ/Into the Fae Court(WOE)》)が機能させられてしまうと厳しく、青相手にはどうにも分が悪い。
そして、青がアグロに弱いのは説明不要だろう。
大まかには、赤を食う緑、これを食う青、これを食う赤、という三すくみの環境といえる。

3 各カラーコンビネーションの特徴、構築方針、意識すべきカード


3-1 赤白、赤黒

 いずれも環境最速のカラーコンビネーション。赤白は純粋に速度が高く、除去もファッティを処理しやすいのに対し、赤黒はネズミで面の攻めをしてくるので除去で御するのが難しい、という形。よって、他のアーキタイプとの相性の差異は、アグロ対策の中心がファッティになる緑には赤白のほうが強く、ピン除去中心になる青黒赤系統には赤黒の方が強い。なお、双方がぶつかると赤白の方が早く、赤黒は普通に組んでいるとネズミの関係で守りの能力がかなり低いので、赤白の方が有利になりやすい。これらの関係から、赤白の方が優秀なアーキタイプであると感じている。
 デッキの中心は、いずれも赤いカードになる。ただし、2マナ域までを赤のみで構築するのは流石に厳しいので、土地はある程度均等にせざるを得ず、《進化する未開地/Evolving Wilds(WOE)》が1枚あると嬉しい。
具体的なカードとしては、《塔の点火/Torch the Tower(WOE)》は赤が入っているデッキならなんでも欲しいので当然欲しいが、赤白及び赤黒で特に輝くのは、《乱入/Cut In(WOE)》、《攻め立てられる槍護衛/Harried Spearguard(WOE)》、《エッジウォールの群れ/Edgewall Pack(WOE)》。ある程度発生しやすいイージーウィンは、3ターン目までにクリーチャーを複数展開して、軽除去や相打ちを駆使して4ターン目にこっちのクリーチャー1体以上、相手のクリーチャー1体、という盤面を作り出し、4ターン目に《乱入/Cut In(WOE)》、そのまま押し切って勝ち。
 ところで、Bo1というゲーム全般の話になるが、土地を16以下にすると、初手調整の作用が悪い(土地4と土地2で土地2が選ばれてしまうが、土地2でキープしたいリミテッドのデッキはあまりない)ことから、アグロだろうと土地は17が基本になると考えている。他方で、当然ながら1、2マナ域はそれなりの枚数がいるので、(取消線注:計算間違えてました。必死に土地17にし続けた私の数年間は一体…。)フラッド受けのためにも、出来事クリーチャー陣をある程度確保したい(コモンで言えば、《ネズミ捕りの見習い/Ratcatcher Trainee(WOE)》、《トロッコの向こう見ず/Minecart Daredevil(WOE)》、《吼える暴れ者/Bellowing Bruiser(WOE)》あたり。特に《ネズミ捕りの見習い/Ratcatcher Trainee(WOE)》は2マナ域としても最低限の性能があり、インスタントで祝祭を誘発させる柔軟性も有用で、ぜひ欲しい。)。
 個別の話としては、赤白は、《取り籠め/Cooped Up(WOE)》が見たまんま強い。祝祭の誘発に貢献するのもあり、適当に使っても有利盤面の維持に役立つし、相性のところでも述べたとおりだが、赤に対する緑の勝ち筋である《小村の大食い/Hamlet Glutton(WOE)》を返しで除去できることはかなり大きい。とにかく《小村の大食い/Hamlet Glutton(WOE)》がきついという観点から、少し重いものの《武勇の時/Moment of Valor(WOE)》も及第点。
 赤黒は《大食の害獣/Voracious Vermin(WOE)》が強さを支えている。それと地味に強いのが《密告/Rat Out(WOE)》。環境にタフ1が多いため、相手の2マナ域とこれでトレード+展開などできることはままあり、そこまで都合よくいかなくとも、最低限のコンバットトリックになる。また、これは赤黒に限ったことではないが、同様の理由で《コイン弾き/Flick a Coin(WOE)》も見た目よりだいぶ強い。なお、そんなに《小村の大食い/Hamlet Glutton(WOE)》がきついなら《誓い破り/Shatter the Oath(WOE)》でも入れたらいいんじゃないかと思われそうだが、緑以外相手には何の役にも立たないことが多く、そもそも5マナはすっと出せるマナでもないので、あまり入れたくない。
 プラチナ以降で7勝した赤黒はサンプルを持っていないので、貼れるのは赤白だけ(なお、これ以降貼るのも断りのない限りプラチナ以降で7勝したもの)。それだけ緑がきついということのように思われる。

今見るとこの赤白、4マナ域こそ足りてないもののレア多いわイモデーンいるわでかなりやりたい放題である

 なお、赤黒は《物騒なカタパルト/Unruly Catapult(WOE)》と《荒ぶる炎の稲妻/Frantic Firebolt(WOE)》、《誓い破り/Shatter the Oath(WOE)》あたりを駆使したコントロールチックなデッキになることもあり、時々当たるが、再現性は低いように思われる。自分では苦花を引いたときだけやった(ゴールド帯なのであまり参考にもならないが、苦花強すぎて流石に7勝した)。

3-2 緑系

3-2-1 各組み合わせ概観
 全ての組み合わせに共通しているのは、《小村の大食い/Hamlet Glutton(WOE)》命ということである。これまで何回も書いてきたように、《小村の大食い/Hamlet Glutton(WOE)》がキーカードであり、緑の価値はそこにあるといっても過言ではない。そのため、《小村の大食い/Hamlet Glutton(WOE)》や、強アンコ(《堅いクッキー/Tough Cookie(WOE)》、《甘歯村へようこそ/Welcome to Sweettooth(WOE)》、《アガサの勇者/Agatha’s Champion(WOE)》など)をピックしてから緑には入りたい。
 緑絡みの中では、まず赤緑、白緑が攻めに寄っており、赤白と赤黒に次いで速い。マジックの金言「一歩遅いデッキが有利」がここでも当てはまり、赤白と赤黒に有利…と言いたいところだが、白緑はいかんせん役割トークンに寄ってしまっている関係で防御面に難があり、明確に有利と言い難い。かといって、白緑のほうが遅いアーキタイプに有利かというと特にそんな要素があるわけでもなく、基本的には赤緑のほうが優秀なアーキタイプであると思われる。結局赤が強い。(実は白緑は自分でやったことはなく、相手をしていて感じている内容。専用アンコがあるわけでもないので入り方がよくわからない。)
 残りの青緑と緑黒は序盤耐えて後半まくるデッキ。基本的には緑黒のほうが食物シナジーでまとまっており、専用アンコも強い(《お菓子を狩る者/Gingerbread Hunter(WOE)》と《大嵐の雄鹿/Tempest Hart(WOE)》、《甘歯村の断罪人、グレタ/Greta, Sweettooth Scourge(WOE)》と《度胸ある冒険者、トロヤン/Troyan, Gutsy Explorer(WOE)》をそれぞれ見比べると涙が出る)上、青の強みのはずのドローも《ローアンの陰惨な調査/Rowan’s Grim Search(WOE)》のせいでそこまで大きい差はない。食物は当然ビートダウンに強いので、緑黒の方がトップメタの赤系に圧倒的に強い(どころか、青は序盤に難があるので赤に有利と断言し難い)。このようにしてみると青緑って何?というのが基本的な状況であるが、流石に緑対決だとカウンターの強さで有利がつきやすいのと、そもそも青自体が安くカードが集めやすいのとで、青のレアから入って緑が流れてくるときなどは青緑をやることも肯定される。
 一応四色の組み合わせで記載してはいるが、《僻境との対峙/Brave the Wilds(WOE)》が後半も腐らない色マナ安定源であり、《根乗りのフォーン/Rootrider Faun(WOE)》もマナフィルターになり、青緑と緑黒なら《僻境からの帰還/Return from the Wilds(WOE)》も十分プレイアブルであることから、タッチは容易である。ただ、タッチで使いたいレアというのはあまりなく、出来事クリーチャーの関係で土地を一枚入れる、くらいが多い。
 緑は速度の焦点をどこにあわせるかが腕の出るところで、私は現状全然できてないと感じている。具体的には、赤相手を取りこぼさないようにしつつ、同型や青相手をどこまで意識するか、というバランス感覚の発揮。例えば、青にそこそこ強いが赤には最低限の働きしかしない《やんちゃなアウフ/Troublemaker Ouphe(WOE)》を採用すべきなのか、いくら緑黒が赤にベース有利といっても《ローアンの陰惨な調査/Rowan’s Grim Search(WOE)》まで入れてしまって大丈夫なのか、等等。これらの例も無論デッキ全体のバランスで決まるものなので、あしからず。
3-2-2 個別
 赤緑は、大きく分けて、マナクリーチャーや《豆の木のワーム/Beanstalk Wurm(WOE)》から4、5マナ域に繋ぐ構成と、《攻め立てられる槍護衛/Harried Spearguard(WOE)》などまで採用して攻めに寄せる構成の2つに分けられるが、そもそも緑の軽マナ域の殴り要素が優秀というわけではなく、《小村の大食い/Hamlet Glutton(WOE)》もマナあるいは協約のタネを用意しづらいなど、赤白と赤黒の劣化になりやすい。基本的にあまり攻めに寄せすぎるべきではないだろう。サンプルは以下のとおり。

正直これは位置取りが微妙だったのでデッキ自体はいまいちで、《狩人の贖罪/The Huntsman's Redemption(WOE)》と《レッドキャップのどぶ住まい/Redcap Gutter-Dweller(WOE)》いっぱい引いただけだった気がする

 白緑はよくわからないので割愛。
 緑黒は、シナジーが明確なので、ポジションさえよければ適当に流れてきたカードをまとめていけばデッキになるので、前述したデッキ全体のバランスだけ意識していればそんなにおかしなことにはならない印象。ただ、中速の定めというか、デッキ内のレア度に完成度が依存しやすく、コモン中心になると完成度の高い赤、青及び同型に勝つのがやや難しいためか、勝ち越しはしやすいのだが、7勝できたことがない。どうでもいいが、《グリフィンの高楼/Griffin Aerie(M21)》をタッチしておくと食物からものすごい数のグリフィンが湧く。
 青緑は、「5マナ以上」というよくわからないテーマを当てられてしまっているので、あまりシナジーに拘らず、レアを半ば前提に、《呪文どもり/Spell Stutter(WOE)》やドロー、ファッティを組み合わせる。シナジーに拘らないとは言ったが、シナジーカードのような顔をしている《ストームケルドのこそ泥/Stormkeld Prowler(WOE)》は、序盤は最低限の相打ち要因でありつつ、5ターン目には大体4/3になって急にライフを詰め始めて、6/5くらいなら珍しくないなど、パッと見の印象より強い。サンプルは以下。

今見てもめっちゃ弱そうだが、あまり負ける気配がなかった。《創意の神童/Ingenious Prodigy(WOE)》、《エッジウォールの宿屋/Edgewall Inn(WOE)》、《眠らずの蔓茎/Restless Vinestalk(WOE)》が強かっただけかもしれない。

3-3 青赤、青黒

 対緑に優秀な2つの組み合わせ。いずれも青のカウンター、ドロー、呪われし者を持ちつつ、青赤なら《荒ぶる炎の稲妻/Frantic Firebolt(WOE)》、青黒なら《がぶりんご飴/Candy Grapple(WOE)》協約や《誓い破り/Shatter the Oath(WOE)》など、場に出てしまったファッティの処理も難しくない。
青赤は実質的には2つのタイプがあり、赤のクリーチャーをカウンターやバウンスでバックアップするアグロ構成と、赤はほぼ火力と《物騒なカタパルト/Unruly Catapult(WOE)》目的となる中速の構成がある。どちらも悪くないのだが、アグロはカウンターのタイミングがずれると《小村の大食い/Hamlet Glutton(WOE)》などで即死する危うさがあり、また、そもそも青のコモンの攻めるクリーチャーが貧弱すぎて赤に頼りすぎるきらいがあるなど、安定性、再現性が低い。よって、王道は中速。入り方としては、赤の火力を取っているところに《遊び戯れの使い魔/Frolicking Familiar(WOE)》や《見習い魔術師、ジョハン/Johann, Apprentice Sorcerer(WOE)》などが流れてくるなど。特に《遊び戯れの使い魔/Frolicking Familiar(WOE)》は《密告/Rat Out(WOE)》のところで述べたように1点火力が強い関係で序盤中盤終盤隙がない状態なので、初手で取ってしまっても問題ない印象。サンプルは以下。

レアが多い。《エンバレスの古参兵/Embereth Veteran(WOE)》はもうちょっとなんかなかったのかという感じがする。カタパルトでもよさそう。

青黒は、苦花でもない限り、フェアリーっ気を出すと大抵赤に蹂躙されてボロボロにされる。除去とドローとファッティ(大体《襲クリーム/Scream Puff(WOE)》)というドラフト青黒の伝統的戦略に忠実に従うことが重要……いや、私は勝ったことないんですが、ライザさんの動画見てるとそんな感じを受ける。

3-4 避けるべき色(白黒、青白)

 青白は、タップという初めてのテーマで面白いし、内容としても他の環境なら悪くなかったんじゃないかと思われるが、この高速環境ではまずかった。赤相手にソーサリータイミングでクリーチャーをタップしている場合ではない。また、タップされたクリーチャーをタップすると効果が発揮されないというのも辛い。唯一、神話レアの《氷冠のヒルダ/Hylda of the Icy Crown(WOE)》だけは異常な強さなので、初手ヒルダから卓一青白で、青自体も空いていて《氷造の歩哨/Icewrought Sentry(WOE)》もちゃんと流れてくる、といった条件が重なったときだけはやってもいいような気がする。
 白黒はやばい。本当にやばい。まずテーマのエンチャント死亡というのが、手間がかかりすぎてどうしてそれがテーマになると思ったのかわからないし、肝心の効果も大したことがない。このテーマに沿ったアンコモンの《鳩の騎士/Knight of Doves(WOE)》、《アショクの死神/Ashiok’s Reaper(WOE)》などを見てると呆然とする。マルチの《悪夢に追われる者、ネヴァ/Neva, Stalked by Nightmares(WOE)》は書いてあることは強そうなのだが、白黒でグレイブディガーしても大したものは拾えない。唯一勝つのは、相手の動きが芳しくない中で白と黒の軽マナ域でなんとなくビートダウンするときだが、赤に勝る要素がない。触れるべからず。

4 あとがき


 さっさと上げないと意味がなくなると思ってほぼ一筆書きでそのままアップしているのだが、大体赤が強い、《小村の大食い/Hamlet Glutton(WOE)》が強い、しか言ってない記事になってしまった。異論反論お待ちしております。



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