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乾徳山 山行

つい先日(11月22日)に、山梨県山梨市にある、乾徳山(2031m)に登ってきました。11月の下旬なのでもう紅葉は終わり登山道は落ち葉で覆われていましたが、秋の澄み切った空気と突き抜けるような晴天のもと、非常に気持ちの良い登山ができました。

乾徳山は、歴史のある山で、彼禅僧、夢窓疎石が修行したとか。麓にある恵林寺というお寺の山号にもなっています。

また、この山は、登山としても充実した内容を持った山です。樹林帯、草原、岩場、鎖場など、様々なコースが一つの山にコンパクトにまとまっていて、かつ日帰り登山が可能であるので、飽きのこない楽しい山として関東を中心に人気の山となっています(関東中心にかはわかりません。適当です)。

登山口のすぐそばに無料の駐車場があるので、そこに車を止めて登るのが一般的でしょうか。私も車で行ったのですが、三連休の中日ということもあり、ほぼ満車でした。早めの時間に行くことをお勧めします。中央本線の塩山駅からバスも出ていますが、山を登り始める時間としては少し遅い時間しかないので、少なくとも行きで使うことはお勧めしません(泊まりの山行なら別ですが)。

駐車場から15分ほど歩くと登山口につきます。そこから2時間ほど樹林帯を登ると展望の開けた美しい白樺林にでます(樹林帯の写真はとっていませんでした...)。ここから乾徳山の山頂を拝むことができます。

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白樺林を少し歩くと、国師ヶ原の分岐に着きます。そのまま山頂に向かうルートに入ってもいいのですが、分岐から歩いて3分ほどのところに高原ヒュッテという避難小屋みたいなものがあるのでそこのトイレを使わしてもらうことにしました。トイレは、バイオトイレでしたが、想像したものよりもだいぶ綺麗でした。小屋の外に独立してあるタイプではなく、小屋の中に、しかも靴を脱いで上がったところにあったので、まるで別荘のトイレのようでした。

あまりの綺麗さに思わず字数を使ってしまいましたが、そこから分岐まで戻り、山頂へのルートをしばらく歩くと、扇平という草原に出ます。なぜここが木が生えず、草原となっているかという科学的な理由はわかりませんが、童話の世界に出てくるような、ある種メルヘンな風景が広がっています。ここからは、北に乾徳山、北東に(おそらく)雁坂峠、南に富士山、西に南アルプスを見ることができ、非常に恵まれた展望スポットとなっています。

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心地よい風に吹かれて(実際には帽子が飛ばされそうになるくらいの強風でしたが)草原を抜けると、岩場が出てくる急登が始まります。途中3,4mほどの岩肌をよじ登る箇所があります。鎖があるので、慎重に登ればそんなに危険なことはありません。

髭剃岩という名前のついた岩もありました。大きな岩が、まるで刀(髭剃り)で斬られたかのように真っ二つに割れていて、人一人がやっと入れるくらいの隙間が空いています。反対側まで行くと絶壁になっていて、そこから正面に鳳凰三山と甲斐駒ヶ岳の勇姿を見ることができます。

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髭剃岩を過ぎ、さらに登っていくと山頂手前の有名なでっかい岩にたどり着きます。いきなり語彙力を喪失しましたが、多分何かしらの名前がついていると思います。この岩は、ほぼ垂直に5,6mほどあり、登り切ったところに山頂があります。鎖を握り締めつつ、岩の割れ目に上手く足を入れながら登っていきます。下は見ない方がいいでしょう。(安全のため)岩は一度に一人しか登れないので、私がついた時には6,7人ほどの列ができていて軽く渋滞していました。そのため、登る前に、先に登っている人の登り方を見ることができ、登る前に登るイメージをつけることができました。逆に自分が登るときは、後ろの人に見られることになります。格好良くスイスイ登りたいところでしたが、多少高所恐怖症なところがあるため(なんで山登りしているんだ?)、緊張で体が強ばり、かなりぎこちなくなってしまっただけならまだよかったのですが、服装だけは一端の登山者のようでしたので、下で待っている人にはさぞ滑稽に見えたことでしょう。

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登り切ると、ゴツゴツとした岩場の、狭い山頂に到着です。山頂からは、360°の展望が広がっています。見える山は扇平とあまり変わりませんが、山頂の方が奥秩父の山々を多く見ることができます。間違っているかもしれませんが、西の方に金峰山や瑞牆山も見えたかと思います。東を向くと、奥秩父の山がしわのよったくすんだ褐色の絨毯のように延々と広がっています。山頂に着くとついアルプスや富士山のような有名な高山に目が行ってしましますが、雲海ならぬ山海とでもいうような穏やかながらも雄大な景色もまたこれで味わい深い物がありました。

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本当なら山頂で昼食を取りたいところでしたが、ただでさえ狭く、平らなところがあまりない上に、食事ができそうなところは既に他の登山客に占拠されていたので仕方なくそのまま下山して、扇平で取ることにしました。

扇平は草原の中に、ちょうど炬燵くらいの大きさの岩が点在していたので、その上で荷物を解いて昼休憩を取りました。昼は、単独登山ということもあって、なにか調理する気も湧かなかったので、代わりにお湯を沸かして、来る時にコンビニで買った、お握りとパンと小さいカップうどんとチーズを食べることにしました(こう書くとかなりの量がある)。さて、お湯が湧いていざカップうどんを作ろうと思ったら、箸がないことに気がつきました。麺ですので、箸を使わず飲むというわけにもいきません。あたりを見回しても代わりになりそうな枝はありませんでした。20mほど離れたところで他の登山客がランチをしていたので、使い終わったものでいいので箸をいただけませんかと声を掛けようかとも思いましたが、人見知りな性格と、使用済みの箸を無心するという行為の気味の悪さもあり、やめておくことにしました。沸かしたお湯はそのまま捨てるわけにはいかないので、水筒に残っていた水を捨て、代わりに入れて白湯として飲むことにしましたが、なぜか非常に不味かったので、その後、冷めてきたらすぐに捨てました。

昼食をとって一休みしたら、扇平から国師ヶ原の分岐まで戻ります。そこから来た道を戻ってもいいのですが、折角なので、道満尾根のコースで下ることにしました(当然高原ヒュッテのトイレは使わせてもらいました)。

分岐から5分ほど歩くと、「関東の富士見百景」と書かれた立札がありましたが、枯木立の隙間からうっすら見える程度でしたので、夏は全く見えないでしょう。富士山がハッキリと見える場所は、関東にはいくらでもあるので、あえてよく見えない百景が一つはあってもいいという前衛的な評議員に選ばれたのかもしれません(2,3分歩いた先ではちゃんと見えました)。

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この道満尾根のルートは、分岐からしばらくは林道みたいになっていて非常に歩きやすくなっていました。高原ヒュッテに物資を運び込む車が使うのでしょうか。こっちのコースは楽だな、行きもこっちにすればよかったか、と思いながら軽快に林道を歩いて行きましたが、それも長くは続かず、15分ほどで山道に戻りました。山道に戻ってからは、むしろ行きのルートよりも急なのではないかと思われるくらいの道を降りていきます。ただ急ならいいのですが、そこに道が見えなくなるくらい大量に落ち葉が積もっていたので、非常に滑りやすく危険でした(実際に一度滑りました)。

枯葉の洪水に難渋しながら進んでいくと、途中に道満山というこの尾根の名前になった山があります。山といっても尾根の途中にあるのでちょっとした起伏があるなと感じる程度のものです。道満山はこのルートの中間地点にあるので、登山口まではあともう一踏ん張りです。

道満山からさらに降りていくと、40分ほどで徳和峠の登山口にたどり着き、無事下山できました。登山口の標高が900mくらいなので標高差1100mほどでしょうか。標高はそれほど高くない山なのですが、登りごたえのある山で、結構疲れました。

帰路の途中、折角なので恵林寺もよっていきました。境内は広々としており、庭は手入れが行き届いていて綺麗でした。甲斐源氏武田の菩提寺でもあるので、それ関連の展示もありましたが、少し面倒くさくなったので見ずに帰りました。団体の観光客が来ていたので、多分面白いものがあるのだと思います。

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乾徳山は、昔から登りたいと思っていつつもなかなか登れずにいましたが、この機会についに登ることができてよかったです。天気も快晴だったので申し分ありませんでした。難易度も中程度なので、東京を明け方出発し、乾徳山に登り、恵林寺など武田に関する名所・古刹などをめぐり、ほったらかしの湯で疲れを癒し、東京に戻るなんていう日帰り旅もいいかもしれません。みなさんぜひ。

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